奴隷令嬢は御主人様に寵愛される~奴隷契約から始まる溺愛ライフ~

白雪みなと

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第一章

第三話 未来など他人が決めるもの

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    私を奴隷として売ると決められてから、家族や私を虐めていた使用人は更に私を罵り殴る蹴るの暴行を加えるようになり、今まで私に優しくしてくれた使用人は更に優しくなった。
    同情の滲む優しさはその度に私を傷つけ、身体に痛みを感じる度心は冷えていった。
    だが、今のうち心を凍らせていた方がいいのかもしれない。
    奴隷というからには、今よりも待遇が悪化することであろう。(まあ今も奴隷のようなものではあるが)
    ならば、何をされても傷つくことのないように、新しい御主人様を怒らせないようにするために氷の心を持っていた方が吉だろう。
    それに、もしかしたら、本当にもしかしたらだがーーいつか幸せな生活を送れるとなったときに、まだあまり傷ついていない心のまま暮らせるかもしれない。要するに解凍だ。
    まあ、そんな日は来るとは思えないが。

「ほらほら!    手が止まっているよ!」
「使えないのよあなた!」

    クズハ、お前は使用人だろうが。働けよ。
    あっ、精神年齢五歳の方に頼むような内容じゃなかったわね。精々カスタネットなどを使ってお遊戯でも楽しんでもらいたいわ。こんな悪趣味なお遊戯ではなく。

「ああもう、イライラさせんじゃないよ!」

    お義母様が汚い声でギャーギャー喚き散らしながら私の背中を蹴る。
    その間にも手を止めることなく床を吹かなければならないのは辛いものがあるな。

「申し訳ございませんでした」

    そんな時はただ謝罪の言葉を唱えるだけだ。
    そうしたら早く心が冷えてくれるから、この技は結構重宝している。

「謝罪しか言えないグズが!    お前なんかさっさと出ていけッ!」

    その謝罪すらマトモに出来ない使用人って何なのかは今一度考えた方がいいと思うのだけれど。

「あらあら、惨めですこと!」

    高らかに笑いながらこちらへ近づいてくる妹。この人たちもっと有意義な時間の使い方が出来ないのかしら?

「そんなお義姉様にプレゼントですわ」

    そう言って、手に持っていたバケツを思いっきり放り投げる。
    中身はーー泥だった。
    どうして私はこんな事をやらないといけないのだろう、と思ってしまったあたりまだまだなのかもしれないな。
    ぶちまけられた泥へ吸い寄せられるように近づく。もはや本能レベルで奴隷精神が身についてやがる。
    ポケットに入れていた紙袋に泥を入れようとすると、突然誰かに頭を押さえ付けられ、泥まみれにされる。
    もうこんな事で何か思っていたら生きていけない。
    半ば機械的に手を動かし続ける。

「お義姉様、似合っておりますわ。その雑な泥パック!」
「ありがとうございます」

    全然ありがたくはないのだが、なぜか口から勝手に言葉が滑り出した。ゴールは近い。

「そうそう、その調子ですわ!    お義姉様は感謝だけしててくださいまし!」

    虫のいいヤツだ。
    だが、こんなクズーーいや、ゴミクズみたいなやつでも悠々自適な生活を送っていけるのだ。こんな理不尽な事もそうそうなかろう。
    一体私は何をしたというのだろうか。
    この人たちを怒らせた?
    前世自殺をした?
    内心この人たちをバカにしている?
    答えは出てこない。見つけたくもない。
   ただ私に出来るのは、手と足と背中にかかる圧力を感じながら顔を使って掃除するだけであった。
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