9 / 31
5歳
俺が死んだ日
しおりを挟むほんの少しだけ痛い描写が入ります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
兄様!
「月都兄様!」
この小さな部屋に俺の声が響く。
……ってあれ?月都?…誰だっけ…?
あぁ。夢か
寝ぼけて夢の中の人物を叫んでしまったらしい。にしてもリアルな夢だったな……
「ふぁあ」
ねみ
てか俺まだ制服じゃん
学校から帰ってきて寝ちゃったんだ
…着替えよ
着替えも終わり部屋のドアを開けて1階へと降り、リビングへ向かう。
「あら、明。今呼びに行こうとしてた所よ。もう夕飯だから手洗ってらっしゃい」
あきら?明……?あぁ。俺だ。
自分の名前を忘れるなんてどうかしてる。俺の名前は緒方 明だ。そうだよ。うん。
……まだ寝ぼけてんのかな……
あれ?
「今日母さん早いね。仕事は?」
今は夕方の18時30分、仕事のある日なら20時なんてざらでそういう日は兄と交代でご飯を作る。
そのため平日のこんな時間にエプロンを着て台所へ立っている母を見て驚いた。
「今日やっと納品出来たのよ……怒涛だったわ……」
グラフィックデザイナーとして広告代理店で働いている母は、いつも忙しそうだけど凄く楽しそうにしている。
本当は子供が出来たら辞めようと考えてたらしいが、思ったよりも手のかからない子供達でそのままずっと仕事を続けていると言っていた。
「そうなんだ、おつかれさまー」
「父さんは?母さんと一緒に帰ってないの?」
父も母と同じ会社で働いているので一緒なのかと思った。
「あぁ。父さんは部下のミスを尻拭い中よ…ずっとニコニコしてるから部下に頼られちゃって大変なのよ」
うん。確かに。一年中と言っても過言ではないほどニコニコしている父はものすごく優しい。俺もそんな父が大好きだ。
「おい明」
後ろから憎たらしい声が聞こえる。
「はぁ……何幸兄」
「コンビニでコーラ買ってこい」
「あ、僕もチョコアイスー!」
和兄もかよ!
…この2人の兄は無駄に顔が良いのが腹が立つ。
長男の緒方 幸 は素晴っらしく外面の良いイケメンだ。
4歳上の20歳で国立の大学に通っている。
真っ黒な髪に三白眼で目尻がきりっと上がっていて少し威圧感がある目は、普段はニコニコしているため分かりにくい。
俺をパシリにする主犯なわけで本当に嫌い……とまではいかないがとてもムカつくのだ。
そして隣であわよくば自分もと乗りかかってくるのが次男の緒方 和。俺の3歳上19歳だ。
こっちの兄も顔が整っているわけでそれを活かしてモデルなんかをしちゃってる。
アッシュオリーブに染めた髪にパッチリした大きな瞳、お人形さんみたいな顔をしていて結構人気があるらしい。
でも俺は違う。
「やだよ、自分達で買いに行けば」
「却下」
と言いながらお金を渡してきてさっさと行けと目が行っている。
「あ、明。ごめん醤油切れちゃってたんだついでに醤油もいいかしら?」
母さんもかよ!!
おつりでお菓子かなんか買っていいからとお札を1枚渡された。
……子供じゃないんだし…
はぁ
「分かった行ってくるよ。和兄、金!」
そう言うと嬉しそうにお金を持ってきて俺に差し出した。
いってきまーす
ほんと人使い荒いんだから、そろそろ自分でコンビニくらい行って欲しいよ。
家から近いんだし。
文句を散々頭の中で吐き出しながら歩いていると、目の前の酔っぱらったおじさんが目に入る。
うわ、こんな時間から酒かよ。
めっちゃフラフラしてるし……大丈夫かな………いや、あんま酔っぱらいと関わらない方が………………ああもう!!!
「大丈夫ですか?」
酔っぱらいに近づいて少し大きな声で喋る。
その途端フラッとしたので腕を貸そうと右手を前に出した瞬間ものすごい力で胸を押されて電柱にぶつかった。
ガンッ!!!!!
いたいっ……!
やばい
いたい
やばい
頭がかち割れそうなほど痛い!!!!!!
だめだ意識が朦朧としてきた。
立てる力もなく地面に座り込んで横へ倒れた。
熱い……
おれ……死ぬのかな?
ーーーーーーーーーー
ゆう
聞き慣れた声に気づいて目を開けると兄達4人が俺の顔を覗いていた。
……?あれ?じゃあさっきのは夢?
いや、違う。
あれは明が死んだ日の記憶だ。
俺あんなに呆気ない死に方だったのかよ……酔っぱらいを助けようとして死ぬとかどんなだよ……。
なんか悲しくなってきた……
「ゆう?……よかったあ……」
泣きそうな目をして俺の頭を撫でる直哉兄様。
「あ、にぃ……げほっ、げほっ」
喉が痛くて喋れない。
「ゆう!大丈夫?!喉が痛いのかい?すぐにお水とお薬を用意するからね!」
「兄様落ち着いてください。今お医者様が来てくれますわ」
「優…大丈夫か?」
心配そうに眉を下げる寿人兄様はなんだが可愛い。
コクっと頷くと嬉しそうな顔をしてくれた。
「さて優?本当に心配したんだよ?どうしてあんな所に居たのかな?」
月都兄様……
ニコッと笑っているが目が全く笑っていない。
……おれ2回死ぬのかな?
210
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる