11 / 65
一章 -幼少時代-
-小さな出逢いと別れ- 4
しおりを挟む
フィリフィリ料理を食べ終えて店を出た一行は、荷馬車を引き取って人通りの多い市場通りに向かった。そして空いてる一角を見つけるとそこに荷物を下ろして広げ、その場所に露店を立てた。
バーノ達の露店の品を見た二人は、並べられている品を見て目を輝かせた。
「わぁあ! 綺麗だね!」
露店には色とりどりの宝石が付いたアクセサリーやシルバーアクセサリーが沢山並べられていて、太陽の光を受けてキラキラと輝いていた。
そんな宝石達の輝きに負けない二人のキラキラした眼差しに、ニッとバーノが笑って二人にアクセサリーを見せた。
「綺麗だろう? だけどこの宝石はな、全部硝子玉を加工した物なんだ。職人が削れば、硝子でも綺麗になるんだぞ? それに、硝子だから宝石よりも安価で買えるし、その分安く売れる。こういうのは年頃のお嬢ちゃんによく売れるんだ。こっちのシルバーアクセサリーは男向けだな。銀の質はまあ、装飾店の物に比べりゃ少々劣るが、決して悪いもんじゃねぇ。うちはリーズナブルな値段で若者向けにアクセサリーを売ってるんだ」
「へぇ~、凄いね!」
バーノの説明を聞きながらドラゴンは一つのアクセサリーを手に取り、無邪気な笑顔でそう言った。
バーノは「だろ?」と笑い、パンっと手を叩いてニヤッと笑った。
「さーて、今日も沢山売るぞ。寒さも吹き飛ばす最高の笑顔と達者な口で客を引き寄せろ!」
「分かってるって、バーノ」
「おう! ゼノ、どっちが客を多く寄せられるか勝負するぞ」
「いいよ。まあ、勝負は目に見えてるけどね」
「はっ、寝言は寝て言いやがれ!」
バーノの意気込みを受けて、二人は互いに闘志を燃やすと、どこかへ走り去って行った。その様子を、ザギとドラゴンはポカンとしながら眺め、ザギは満足そうに笑うバーノを仰ぎ見た。
「僕達は何をすればいいの?」
「ん? お前らは俺と一緒に店番だ。お客さんが来たら俺と一緒に「いらっしゃい」って言って迎えるんだぞ」
笑顔でわしゃわしゃと二人の頭を撫でながらそう教えると、二人ともやる気に満ちた表情で大きく頷いた。
「分かった!」
「僕も、バーノおじさんと兄ちゃんと頑張る!」
「がっはっは! 頼もしいな! よーし、頑張るぞー!」
「おー!」
バーノが拳を上げると、ザギとドラゴンも楽しそうに笑いながら声を揃えて拳を上げた。
そんな微笑ましい光景を町行く人達は微笑みながら眺めていった。
そしてしばらく客を待っていると、三人の女性に囲まれながらこっちに向かってくるゼノが見えてきた。ゼノは爽やかな笑顔で女性達と談笑していて、話上手なのか女性達はとても楽しそうにゼノの隣で笑っていた。
「いらっしゃい、お嬢さん方。ゆっくり見ていってくれな!」
「い、いらっしゃい…!」
「い、い、いらっちゃい! …!」
バーノは慣れた様子で、会話を邪魔しない絶妙なタイミングを見計らって女性達に声を掛けたが、初めての二人は恥じらいもあって噛んでしまい、ドラゴンはかぁーっと顔を赤くして俯いてしまった。
「可愛い~! 『いらっちゃい』だって~」
「赤くなって俯いちゃう所も可愛いよね~。ねえ、小さな店員さん、どれがオススメ?」
「あ、私もこっちの男の子に選んで貰おうかな~。ねえねえ、私に似合うアクセサリーはどれだと思う?」
キャーキャーとザギとドラゴンを見て盛り上がる女性達に、二人は圧倒されて軽くパニック状態になり、ドラゴンに至ってはバーノの後ろに隠れてしまった。
「すまんなぁ、お嬢さん方。この子達は今日初めて店に立つ子達なんだ。似合いのアクセサリーはゼノに選んで貰えば、まず間違いなくお嬢さん方の魅力が二割増しくらいになるだろうな! なぁ、ゼノ」
「勿論だよ。お姉さん達、試しに俺に任せてみない? 俺、お姉さん達の魅力を引き出すアクセサリーをしっかり選ぶし、試すだけでもいいからさ」
その笑顔から金粉でも出ているのではないかと思うほど、女性受けするキラキラとした笑顔でゼノがそう言えば、女性達は少しも悩むことなく頷き、ゼノは礼を言うと好みを聞きながら一人ずつ丁寧にアクセサリーを選んでいき、見事三人にアクセサリーを売った。
そして再びゼノは客集めに繰り出していき、そのあともちらほらと通りかかった人達やゼノが連れてきた女性にアクセサリーを売っていった。
店を出してから二時間程経つと、ようやくレッジが沢山の男性を連れて帰って来た。
「おーう、バーノ。お客さんいっぱい連れてきたぜ~」
「ったく、遅いぞレッジ。何処まで行ってたんだ」
「ちょっと色々と声をかけて歩いていたら、町外れまで行っちまってな。そこで偶然、彼らに出会ったって訳だ」
ニッと自慢げに笑うレッジにバーノはやれやれと言わんばかりの表情で肩をすくめつつも「いらっしゃい、ゆっくり見ていってくれ」とレッジが連れてきた客に声をかけた。
「へー? 種類が結構豊富にあるんだな!」
「露店って品が少ないイメージだったけど、以外とあるもんなんだな」
「お、俺これにしようかな!」
賑やかに笑いながらアクセサリーを選ぶ男性達は皆同じような服を着ていて、何かのグループのようだった。そんな男性達にバーノは興味をそそられ、邪魔にならないタイミングを見計らって男性達の一人に声をかけた。
「皆さんお揃いの服を着てるようだが、何かのグループなのかい?」
「あぁ! 俺達は拠点を持たないダンスチーム『グレイホース』だぜ! グレイホースは、各地を回ってお客さんを楽しませているんだ」
「カッコいい…!」
バーノの後ろで話を聞いていたドラゴンが、ヒョコッとバーノの肩から顔を出してキラキラと瞳を輝かせた。
「ハハッ! ありがとう、僕」
「グレイホースか。聞いたことがあるな。キレのあるダンスと一糸乱れぬ美しい動きで世界中に多くのファンを持つ、神出鬼没のダンサー集団…だったか?」
「そこまで凄くないさ。でも、知ってくれていたとは光栄だな」
そう微笑みながらバーノの前に来たのは、純白の美しい長髪をサラサラと揺らし、微笑み方や動きの全てが上品な、どこか神々しいオーラを纏う四十代くらいの男性だった。
「アンタがグレイホースのリーダーかい?」
「いかにも。最近新しいダンスを練習していてな。そのための衣装に合わせるアクセサリーを探していたんだ。リーズナブルでデザイン性の高いアクセサリーを沢山売ってくれた事、感謝する」
「ほう、新作衣装にうちのアクセサリーを合わせてもらえるなんて光栄だな。それに、うちとしても売り上げがグッと上がるから、大歓迎だぜ。沢山買ってくれたことだし、少し値引いてやろう!」
ニッと笑いながら気前よくそう言うバーノに、グレイホースのリーダーは「有難い」と言って懐から金の入った袋を取り出した。
「店主よ、いくらだ?」
「そうだなぁ。合計八万六千ヤーツでいいぞ」
「そんなに安くしてもらえるのか。十万ヤーツは軽く越えると思っていたんだが」
グレイホースのリーダーは少し目を見開いて驚きながらそう言い、丁度の金額をバーノに渡した。
『ヤーツ』とは、私達の世界で言う「円」や「ドル」と言った通貨単位であり、このスカイラインでは、ヤーツのみが通貨単位として定められている。そして通貨も種族や国を問わずに世界共通の通貨が定められていて、どの国でも共通の価値でやりとりできるため、商人達は安心して各国で物を売買することが出来るのであった。
「確かに受け取ったぜ。…で、安くした見返りと言っちゃぁセコいかも知れねぇが、一曲見せてもらうことは出来るか? ザギもドラゴンも言葉には出さねぇが、さっきから見てみたいってオーラを出してんだ。時間があるなら見せてやってくれねぇか?」
バーノがザギとドラゴンの頭を撫でながら笑うと、グレイホースのリーダーはクスッと笑ってから「お安いご用だ」と快諾した。
「今夜『微睡みの小鹿亭』に来てほしい。今夜そこのステージを借りて公演を行う予定なんだ。だから貴方達には特等席を用意しよう」
「本当!? 兄ちゃん、やったね!」
「うん、楽しみだね!」
グレイホースのリーダーの言葉にザギとドラゴンは手を叩いて真っ先に喜び、その可愛らしい無邪気な喜び方に、大人達はほっこりと癒されていた。
「じゃあ、俺も今夜のダンス、楽しみにしようかな!」
「そうと決まれば、宿を取らねぇとな。レッジ、適当に取ってこい」
「任せろ!」
バーノの指示に、レッジは即座に立ち上がって頼もしくそう言うと、ダッと宿屋が集まる場所へと走っていった。
グレイホースのリーダーはそれを見送ると、柔和な表情のままバーノに向き直り、握手を求めて手を差し出した。
「良ければ、名をお聞かせ願いたい。私はグレイホースのリーダーを務めているダーナン・リリックだ」
「俺は、バーノ・ラガノールだ」
バーノも名乗りながらしっかりと握手に応えて笑顔で名乗ると、グレイホースのリーダー、ダーナンはバーノの名前を聞いて一瞬驚いた表情を浮かべながらも、握り返してどちらともなく手を離した。
「では、今夜バーノ殿達が公演を見に来てくれるのを待っている」
ダーナンはそう言い残すと、ダンサー達を引き連れて何処かへ行き、バーノもダーナン達を見送ると減った分のアクセサリーを荷台から取り出して露店に並べた。
ザギとドラゴンはうきうきとした様子でバーノの手伝いをし、テンションが上がった二人はそれから、多少積極的にお客さんと言葉を交わすようになった。
そして夕方には露店を片付けてレッジが取った宿に荷馬車を預けると、五人で微睡みの小鹿亭に向かい、夕食を食べながら世界的に有名なグレイホースのダンスを存分に楽しんだのだった。
バーノ達の露店の品を見た二人は、並べられている品を見て目を輝かせた。
「わぁあ! 綺麗だね!」
露店には色とりどりの宝石が付いたアクセサリーやシルバーアクセサリーが沢山並べられていて、太陽の光を受けてキラキラと輝いていた。
そんな宝石達の輝きに負けない二人のキラキラした眼差しに、ニッとバーノが笑って二人にアクセサリーを見せた。
「綺麗だろう? だけどこの宝石はな、全部硝子玉を加工した物なんだ。職人が削れば、硝子でも綺麗になるんだぞ? それに、硝子だから宝石よりも安価で買えるし、その分安く売れる。こういうのは年頃のお嬢ちゃんによく売れるんだ。こっちのシルバーアクセサリーは男向けだな。銀の質はまあ、装飾店の物に比べりゃ少々劣るが、決して悪いもんじゃねぇ。うちはリーズナブルな値段で若者向けにアクセサリーを売ってるんだ」
「へぇ~、凄いね!」
バーノの説明を聞きながらドラゴンは一つのアクセサリーを手に取り、無邪気な笑顔でそう言った。
バーノは「だろ?」と笑い、パンっと手を叩いてニヤッと笑った。
「さーて、今日も沢山売るぞ。寒さも吹き飛ばす最高の笑顔と達者な口で客を引き寄せろ!」
「分かってるって、バーノ」
「おう! ゼノ、どっちが客を多く寄せられるか勝負するぞ」
「いいよ。まあ、勝負は目に見えてるけどね」
「はっ、寝言は寝て言いやがれ!」
バーノの意気込みを受けて、二人は互いに闘志を燃やすと、どこかへ走り去って行った。その様子を、ザギとドラゴンはポカンとしながら眺め、ザギは満足そうに笑うバーノを仰ぎ見た。
「僕達は何をすればいいの?」
「ん? お前らは俺と一緒に店番だ。お客さんが来たら俺と一緒に「いらっしゃい」って言って迎えるんだぞ」
笑顔でわしゃわしゃと二人の頭を撫でながらそう教えると、二人ともやる気に満ちた表情で大きく頷いた。
「分かった!」
「僕も、バーノおじさんと兄ちゃんと頑張る!」
「がっはっは! 頼もしいな! よーし、頑張るぞー!」
「おー!」
バーノが拳を上げると、ザギとドラゴンも楽しそうに笑いながら声を揃えて拳を上げた。
そんな微笑ましい光景を町行く人達は微笑みながら眺めていった。
そしてしばらく客を待っていると、三人の女性に囲まれながらこっちに向かってくるゼノが見えてきた。ゼノは爽やかな笑顔で女性達と談笑していて、話上手なのか女性達はとても楽しそうにゼノの隣で笑っていた。
「いらっしゃい、お嬢さん方。ゆっくり見ていってくれな!」
「い、いらっしゃい…!」
「い、い、いらっちゃい! …!」
バーノは慣れた様子で、会話を邪魔しない絶妙なタイミングを見計らって女性達に声を掛けたが、初めての二人は恥じらいもあって噛んでしまい、ドラゴンはかぁーっと顔を赤くして俯いてしまった。
「可愛い~! 『いらっちゃい』だって~」
「赤くなって俯いちゃう所も可愛いよね~。ねえ、小さな店員さん、どれがオススメ?」
「あ、私もこっちの男の子に選んで貰おうかな~。ねえねえ、私に似合うアクセサリーはどれだと思う?」
キャーキャーとザギとドラゴンを見て盛り上がる女性達に、二人は圧倒されて軽くパニック状態になり、ドラゴンに至ってはバーノの後ろに隠れてしまった。
「すまんなぁ、お嬢さん方。この子達は今日初めて店に立つ子達なんだ。似合いのアクセサリーはゼノに選んで貰えば、まず間違いなくお嬢さん方の魅力が二割増しくらいになるだろうな! なぁ、ゼノ」
「勿論だよ。お姉さん達、試しに俺に任せてみない? 俺、お姉さん達の魅力を引き出すアクセサリーをしっかり選ぶし、試すだけでもいいからさ」
その笑顔から金粉でも出ているのではないかと思うほど、女性受けするキラキラとした笑顔でゼノがそう言えば、女性達は少しも悩むことなく頷き、ゼノは礼を言うと好みを聞きながら一人ずつ丁寧にアクセサリーを選んでいき、見事三人にアクセサリーを売った。
そして再びゼノは客集めに繰り出していき、そのあともちらほらと通りかかった人達やゼノが連れてきた女性にアクセサリーを売っていった。
店を出してから二時間程経つと、ようやくレッジが沢山の男性を連れて帰って来た。
「おーう、バーノ。お客さんいっぱい連れてきたぜ~」
「ったく、遅いぞレッジ。何処まで行ってたんだ」
「ちょっと色々と声をかけて歩いていたら、町外れまで行っちまってな。そこで偶然、彼らに出会ったって訳だ」
ニッと自慢げに笑うレッジにバーノはやれやれと言わんばかりの表情で肩をすくめつつも「いらっしゃい、ゆっくり見ていってくれ」とレッジが連れてきた客に声をかけた。
「へー? 種類が結構豊富にあるんだな!」
「露店って品が少ないイメージだったけど、以外とあるもんなんだな」
「お、俺これにしようかな!」
賑やかに笑いながらアクセサリーを選ぶ男性達は皆同じような服を着ていて、何かのグループのようだった。そんな男性達にバーノは興味をそそられ、邪魔にならないタイミングを見計らって男性達の一人に声をかけた。
「皆さんお揃いの服を着てるようだが、何かのグループなのかい?」
「あぁ! 俺達は拠点を持たないダンスチーム『グレイホース』だぜ! グレイホースは、各地を回ってお客さんを楽しませているんだ」
「カッコいい…!」
バーノの後ろで話を聞いていたドラゴンが、ヒョコッとバーノの肩から顔を出してキラキラと瞳を輝かせた。
「ハハッ! ありがとう、僕」
「グレイホースか。聞いたことがあるな。キレのあるダンスと一糸乱れぬ美しい動きで世界中に多くのファンを持つ、神出鬼没のダンサー集団…だったか?」
「そこまで凄くないさ。でも、知ってくれていたとは光栄だな」
そう微笑みながらバーノの前に来たのは、純白の美しい長髪をサラサラと揺らし、微笑み方や動きの全てが上品な、どこか神々しいオーラを纏う四十代くらいの男性だった。
「アンタがグレイホースのリーダーかい?」
「いかにも。最近新しいダンスを練習していてな。そのための衣装に合わせるアクセサリーを探していたんだ。リーズナブルでデザイン性の高いアクセサリーを沢山売ってくれた事、感謝する」
「ほう、新作衣装にうちのアクセサリーを合わせてもらえるなんて光栄だな。それに、うちとしても売り上げがグッと上がるから、大歓迎だぜ。沢山買ってくれたことだし、少し値引いてやろう!」
ニッと笑いながら気前よくそう言うバーノに、グレイホースのリーダーは「有難い」と言って懐から金の入った袋を取り出した。
「店主よ、いくらだ?」
「そうだなぁ。合計八万六千ヤーツでいいぞ」
「そんなに安くしてもらえるのか。十万ヤーツは軽く越えると思っていたんだが」
グレイホースのリーダーは少し目を見開いて驚きながらそう言い、丁度の金額をバーノに渡した。
『ヤーツ』とは、私達の世界で言う「円」や「ドル」と言った通貨単位であり、このスカイラインでは、ヤーツのみが通貨単位として定められている。そして通貨も種族や国を問わずに世界共通の通貨が定められていて、どの国でも共通の価値でやりとりできるため、商人達は安心して各国で物を売買することが出来るのであった。
「確かに受け取ったぜ。…で、安くした見返りと言っちゃぁセコいかも知れねぇが、一曲見せてもらうことは出来るか? ザギもドラゴンも言葉には出さねぇが、さっきから見てみたいってオーラを出してんだ。時間があるなら見せてやってくれねぇか?」
バーノがザギとドラゴンの頭を撫でながら笑うと、グレイホースのリーダーはクスッと笑ってから「お安いご用だ」と快諾した。
「今夜『微睡みの小鹿亭』に来てほしい。今夜そこのステージを借りて公演を行う予定なんだ。だから貴方達には特等席を用意しよう」
「本当!? 兄ちゃん、やったね!」
「うん、楽しみだね!」
グレイホースのリーダーの言葉にザギとドラゴンは手を叩いて真っ先に喜び、その可愛らしい無邪気な喜び方に、大人達はほっこりと癒されていた。
「じゃあ、俺も今夜のダンス、楽しみにしようかな!」
「そうと決まれば、宿を取らねぇとな。レッジ、適当に取ってこい」
「任せろ!」
バーノの指示に、レッジは即座に立ち上がって頼もしくそう言うと、ダッと宿屋が集まる場所へと走っていった。
グレイホースのリーダーはそれを見送ると、柔和な表情のままバーノに向き直り、握手を求めて手を差し出した。
「良ければ、名をお聞かせ願いたい。私はグレイホースのリーダーを務めているダーナン・リリックだ」
「俺は、バーノ・ラガノールだ」
バーノも名乗りながらしっかりと握手に応えて笑顔で名乗ると、グレイホースのリーダー、ダーナンはバーノの名前を聞いて一瞬驚いた表情を浮かべながらも、握り返してどちらともなく手を離した。
「では、今夜バーノ殿達が公演を見に来てくれるのを待っている」
ダーナンはそう言い残すと、ダンサー達を引き連れて何処かへ行き、バーノもダーナン達を見送ると減った分のアクセサリーを荷台から取り出して露店に並べた。
ザギとドラゴンはうきうきとした様子でバーノの手伝いをし、テンションが上がった二人はそれから、多少積極的にお客さんと言葉を交わすようになった。
そして夕方には露店を片付けてレッジが取った宿に荷馬車を預けると、五人で微睡みの小鹿亭に向かい、夕食を食べながら世界的に有名なグレイホースのダンスを存分に楽しんだのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる