51 / 74
1
48
しおりを挟む
ソヴァンと別れたロゼは、洗濯物を干すジャンの所へ行った。ジャンはロゼがこちらに来ているのに気づくと、一度手を止めてロゼを迎えに行くように駆け寄った。
「おう、ロゼ。酷い顔じゃねぇか。ソヴァンに怒鳴られたのが効いてるのか?」
「女性に向かって酷い顔は失礼よ。というか、聞こえてたのね」
「そりゃな。ロゼが俺達を呼ぶ音を聞き逃さないように常に耳を澄ませているし、結構大きな声だったからな。みんな聞こえたんじゃないか?」
ジャンの言葉通り、少し落ち込んだ様子のロゼをジャンは当たり前のように片腕で抱き上げ、仕事をしていた所まで戻ると適当なところに腰を下ろさせた。
「ソヴァンがあそこまでアリアナにぞっこんだとは思わなかったわ。アリアナもソヴァンも愛しているから、とても複雑な気持ちよ。アリアナを愛してくれる事は嬉しいけど、愛する人が一人私から離れてしまったようで…これは悲しいものね」
自分の感情を吐露し、ロゼは体を少しそらせて青い空を見上げる。のんきに流れる白い雲が少し憎たらしく思った。
「まあ、ソヴァンにとってロゼは雇い主のような存在だったのだろうな。元傭兵だし」
バサッと服のしわを伸ばし、ロープにかけながら淡々と自分の意見を言うジャンに、ロゼは姿勢を直して苦笑をしながら「そうね」と同意した。
「ソヴァンは私が一方的に愛していたような節があったわ。セックスはするけど、それはお互いの欲を満たすだけの行為であって、愛を確かめ合うようなものではなかったのは事実」
「じゃあ別にくよくよする案件じゃねぇだろ。ソヴァンの好きなようにさせておけばいいんだ。言っておくが、少なくともネオと俺はロゼを愛してるぞ。まあ、アリアナは可愛いが、ロゼとアリアナのどちらかを選べと言われたら俺はロゼを選ぶ。俺が一目惚れした女はロゼだからな」
いつの間にか洗濯物を干す手を止めていたジャンが、ロゼの前に片膝をついて真剣な表情で真っすぐな愛を告げる。その表情の中にはありありと「俺を見ろ」と顔に書いてあり、そんな素直なジャンの愛にロゼは思わず笑みがこぼれた。
「私も、愛してるわ。ジャン、ありがとう」
言ってからロゼはジャンの唇にチュッと軽くキスをして抱きしめた。ジャンはそんなロゼを抱きしめ返すと海の香りがするロゼの髪の毛に顔をうずめて胸いっぱいにその香りを堪能した。
「…っし。じゃあ俺、ちょっとソヴァンを殴ってくるわ」
「こらこら、なんでそうなるのよ。ソヴァンはケガ人なんだから止めなさい」
ロゼから離れ、すでに拳を作って肩を回すジャンに、ロゼは笑いながらジャンの腕をつかんで止めた。
「だって、殴られるのは当たり前だろう? ソヴァンはロゼを悲しませたんだから」
「別にいいわよ。これがアリアナ以外の女だったら女を殺すところだったけど、ソヴァンが選んだ子はアリアナだもの。この船に乗る全員には幸せでいて欲しいから、私かアリアナ以外の女を選ばない限り、私が強く憤ることもなければ悲しむこともないわ」
「……ロゼはめんどくせぇな」
ロゼの答えに、ジャンは言葉と同様に表情も面倒くさいと言わんばかりに眉間にしわが寄り、そんなジャンに対してロゼは挑発的に笑いながら「でも、そんなめんどくさい女が好きなんでしょ?」と言う。
「まあな」
ロゼの言葉にジャンはすぐに誇らし気な笑顔になり、今度はジャンからロゼを抱きしめた。
「おう、ロゼ。酷い顔じゃねぇか。ソヴァンに怒鳴られたのが効いてるのか?」
「女性に向かって酷い顔は失礼よ。というか、聞こえてたのね」
「そりゃな。ロゼが俺達を呼ぶ音を聞き逃さないように常に耳を澄ませているし、結構大きな声だったからな。みんな聞こえたんじゃないか?」
ジャンの言葉通り、少し落ち込んだ様子のロゼをジャンは当たり前のように片腕で抱き上げ、仕事をしていた所まで戻ると適当なところに腰を下ろさせた。
「ソヴァンがあそこまでアリアナにぞっこんだとは思わなかったわ。アリアナもソヴァンも愛しているから、とても複雑な気持ちよ。アリアナを愛してくれる事は嬉しいけど、愛する人が一人私から離れてしまったようで…これは悲しいものね」
自分の感情を吐露し、ロゼは体を少しそらせて青い空を見上げる。のんきに流れる白い雲が少し憎たらしく思った。
「まあ、ソヴァンにとってロゼは雇い主のような存在だったのだろうな。元傭兵だし」
バサッと服のしわを伸ばし、ロープにかけながら淡々と自分の意見を言うジャンに、ロゼは姿勢を直して苦笑をしながら「そうね」と同意した。
「ソヴァンは私が一方的に愛していたような節があったわ。セックスはするけど、それはお互いの欲を満たすだけの行為であって、愛を確かめ合うようなものではなかったのは事実」
「じゃあ別にくよくよする案件じゃねぇだろ。ソヴァンの好きなようにさせておけばいいんだ。言っておくが、少なくともネオと俺はロゼを愛してるぞ。まあ、アリアナは可愛いが、ロゼとアリアナのどちらかを選べと言われたら俺はロゼを選ぶ。俺が一目惚れした女はロゼだからな」
いつの間にか洗濯物を干す手を止めていたジャンが、ロゼの前に片膝をついて真剣な表情で真っすぐな愛を告げる。その表情の中にはありありと「俺を見ろ」と顔に書いてあり、そんな素直なジャンの愛にロゼは思わず笑みがこぼれた。
「私も、愛してるわ。ジャン、ありがとう」
言ってからロゼはジャンの唇にチュッと軽くキスをして抱きしめた。ジャンはそんなロゼを抱きしめ返すと海の香りがするロゼの髪の毛に顔をうずめて胸いっぱいにその香りを堪能した。
「…っし。じゃあ俺、ちょっとソヴァンを殴ってくるわ」
「こらこら、なんでそうなるのよ。ソヴァンはケガ人なんだから止めなさい」
ロゼから離れ、すでに拳を作って肩を回すジャンに、ロゼは笑いながらジャンの腕をつかんで止めた。
「だって、殴られるのは当たり前だろう? ソヴァンはロゼを悲しませたんだから」
「別にいいわよ。これがアリアナ以外の女だったら女を殺すところだったけど、ソヴァンが選んだ子はアリアナだもの。この船に乗る全員には幸せでいて欲しいから、私かアリアナ以外の女を選ばない限り、私が強く憤ることもなければ悲しむこともないわ」
「……ロゼはめんどくせぇな」
ロゼの答えに、ジャンは言葉と同様に表情も面倒くさいと言わんばかりに眉間にしわが寄り、そんなジャンに対してロゼは挑発的に笑いながら「でも、そんなめんどくさい女が好きなんでしょ?」と言う。
「まあな」
ロゼの言葉にジャンはすぐに誇らし気な笑顔になり、今度はジャンからロゼを抱きしめた。
0
あなたにおすすめの小説
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる