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第一章
聖なる力の秘密 8
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「プロテクトがかかっているな。二……いや、三層か。それもかなり強固な……」
「……? ぷ、ろ……てく?」
不意にシンが口を開き、聞き慣れない単語を発した。復唱しようにも言葉がわからない。
そしてレイヴンの疑問に答えることなく、シンは質問を始めた。
「今、この村でレイヴンのような力を持つ人間は、あとどれくらいいる?」
「こ、この村では……僕だけ、です」
「過去にこういった力を持ったやつは現れた?」
「それは僕です」と言いかけそうになるのを堪え、レイヴンは唾を飲み込んでから「はい」と答えた。
「じゃあ最後。自分が記憶喪失、という自覚はあるか?」
(どうしてそんなことまでわかるんだろう?)
シンはレイヴンの心臓を揺らすことが得意なようだ。いよいよ彼の正体が予言者だと信じざるを得なくなり、レイヴンは底知れぬ恐怖を感じつつも、ポツリポツリと告白する。
「…………い、今より…………すごく、すごく、昔の記憶が……思い、出せなくて…………」
もちろん、今ここにいるレイヴンの、幼き頃の話ではない。その重い口を開き告白したのは、苦しき罰から決して逃れることのできない大罪を犯した、始まりの聖女のことだ。
言い終えるなり震えるレイヴンを前に、シンは瞼を開いた。
「なるほど……ちょっとだけ弄るか」
そう言うと、シンは額を離して頬に添えていた両手をレイヴンの蟀谷までずらし上げる。
「シン、さん?」
レイヴンが目を開き視線を上げると、パチン! と頭の中で何かが弾ける音が聞こえた。
痛みはなく、ただ音が鳴っただけ。それだけだった。
「少しだけ開けやすくしといた」
シンはレイヴンから手を離すと、疲れたとばかりに細く長い息を吐いた。
「まあ、これ以上はオレも魔……体力を消耗するし、今は止めておくよ」
「……? はい」
言っていることはわからなかったが、レイヴンは頷くしかなかった。
「……? ぷ、ろ……てく?」
不意にシンが口を開き、聞き慣れない単語を発した。復唱しようにも言葉がわからない。
そしてレイヴンの疑問に答えることなく、シンは質問を始めた。
「今、この村でレイヴンのような力を持つ人間は、あとどれくらいいる?」
「こ、この村では……僕だけ、です」
「過去にこういった力を持ったやつは現れた?」
「それは僕です」と言いかけそうになるのを堪え、レイヴンは唾を飲み込んでから「はい」と答えた。
「じゃあ最後。自分が記憶喪失、という自覚はあるか?」
(どうしてそんなことまでわかるんだろう?)
シンはレイヴンの心臓を揺らすことが得意なようだ。いよいよ彼の正体が予言者だと信じざるを得なくなり、レイヴンは底知れぬ恐怖を感じつつも、ポツリポツリと告白する。
「…………い、今より…………すごく、すごく、昔の記憶が……思い、出せなくて…………」
もちろん、今ここにいるレイヴンの、幼き頃の話ではない。その重い口を開き告白したのは、苦しき罰から決して逃れることのできない大罪を犯した、始まりの聖女のことだ。
言い終えるなり震えるレイヴンを前に、シンは瞼を開いた。
「なるほど……ちょっとだけ弄るか」
そう言うと、シンは額を離して頬に添えていた両手をレイヴンの蟀谷までずらし上げる。
「シン、さん?」
レイヴンが目を開き視線を上げると、パチン! と頭の中で何かが弾ける音が聞こえた。
痛みはなく、ただ音が鳴っただけ。それだけだった。
「少しだけ開けやすくしといた」
シンはレイヴンから手を離すと、疲れたとばかりに細く長い息を吐いた。
「まあ、これ以上はオレも魔……体力を消耗するし、今は止めておくよ」
「……? はい」
言っていることはわからなかったが、レイヴンは頷くしかなかった。
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