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番外編 【シーツの波間でカメが鳴く】

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 どうしてそう言えるんだろう? 海さんに比べたら、僕の身体なんてひょろいし、男らしくもない。比較されることが恥ずかしくて、僕は胸元からお腹にかけて手を乗せて、隠すようにした。

「あんまり、見ないで……」

「なんで隠すの」

「だって……き、傷とか、残ってるし……」

 二年前の事故で残った傷は額だけじゃない。身体のあちこちに額ほどじゃないけれど色んな傷が残っている。もちろん、手術をした痕も。だから余計に海さんの綺麗な身体を見ると、隠したくなってしまう。

 でも海さんはそんな僕の身体を見た後、優しくありつつもすごく格好いい笑みを浮かべた。

「綺麗だよ」

 思わず見惚れてしまう顔。たくさん見てるはずなのに、いちいち恰好いいなって思ってしまう。これが惚れた弱みってやつなのかな。恥ずかしくっても、何されてもいいやって思ってしまう。うう~……ずるいよぉ。

「んん……」

 見惚れている内に、何度目かしれないキスをされる。唇を啄まれ、舌を舐められ、角度を変えて何度もキスをされる。気持ちいい……もっと頂戴って夢中になっていると、いつの間にか僕の足は大きく開かれて、赤ちゃんがオムツを替えられる時のような格好にさせられていた。さすがに、裸の状態でそんな格好にされるのはすごく恥ずかしくて、何されてもいいやって思った自分を撤回したくなった。

 海さんの胸元を押さえながら、体勢を変えて欲しいと涙ながらに懇願する。

「や、やだ……恥ずかしい、よ……やあっ」

「ちゃんと抜いてあげるから、いい子にして……ね?」

 でも海さんは自分の下肢を、浮かせた僕のお尻に密着させて僕の首元や鎖骨にキスを落としていく。その間、海さんの手は僕のアレを再び上下に扱き始めた。

「んっ……はあ……」

 気持ちいい。自分でやってもこんな感じにならないのに、海さんにされるとどうしても変な声と息が上がってしまう。濡れそぼつ先端の部分を指で擦られるとビクビクと身体が震えた。それだけでもすごく気持ちいいのに、出ちゃいそうになるとまたもそれを止められてしまう。
なんで意地悪するの? と、小さな悲鳴を上げて訴えると、何か別のモノが僕の昂るそれに宛がわれた。

「や……、なに……え?」

 視線を落とすと、僕のにピッタリとくっつくように、もう一つのソレがあった。

 誰の? なんて、決まっている。僕がたくさん喘いでいる間に、海さんはもう一方の手でベルトとズボンの前を開いて自分のソレを出していた。初めて目にする海さんのソレは、僕とは全然違った。大きさとか、形とか、色とか、熱さとか、とにかく全部なんだけど……ああ、そっか。これがいずれ僕の中に入るんだなって、どこか他人事みたいにぼんやりと思った。

 僕ほどじゃないけど、少しだけ呼吸が上がる海さんが僕の手を優しく取って、海さんのソレへと触れさせた。そして僕の手を含めて握り込むようにすると。

「一緒に触れて」

 それを合図に上下に扱き始めた。

「んぁ……はあっ……海さっ……はあっ……」

 湿った水音に何かを擦り合う音。

 軋むベッド。

 そして互いに上がる喘ぎ声。

 様々なものが交り合いながら、僕の頭の中は「真っ白」になっていく。

「海さんっ……あっ、はあっ……もう……だめ、出るっ……い……イっちゃう……」

「いいよ……はあっ……一緒に……」

「あっ……海さっ……んっ、んんぅ……!」

「……っ!」

 達する直前、口を塞ぐようにキスをされながら、僕は背を大きく仰け反らせ精を吐き出した。同時に僕のお腹に熱いものが飛び散り、身体中に白濁の液が残された。

 大きく呼吸を繰り返していると、覆い被さる海さんが僕の上で同じく荒い呼吸を繰り返していた。こんなに耳元で海さんの激しい呼吸を聞くの、初めてだ。

「かい、さん……」

 名前を呼ぶと、海さんは僕の額にキスを落としてから自分の脱いだカッターシャツを掴んで僕のお腹にかかっているどちらともわからない体液を綺麗に拭った。シャツが汚くなっちゃうよって言うと、僕の身体を綺麗にする方が大事だからって気にした様子もなく。

「風呂、入ろうか」

 そう静かに言って、僕をお風呂場へと連れて行った。

 まさかそこで、さらにえっちな展開が待っているとも知らず……。
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