23 / 34
教国編
銀行強盗
しおりを挟む
~「しなの」艦橋~
「そういえば、教国が日本に攻めてこようとしているらしい」
「急になんすか」
「いや、内調の友人から聞いてさ」
「それ情報漏洩じゃありません?」
「たぶんそう。部分的にそう」
「ア〇ネーター?」
「ちなみにその友人とは連絡が取れなくなってる」
「消されてるじゃないですか」
「まあ、冗談だろうけどね」
「はぁ」
「しかし寒いな……」
「その格好で言われても説得力皆無ですよ」
木村はひざ掛けにあったかそうな上着、足元にはヒーター。
ついでにマフラーと耳当てもしている。完全防備だ。
「私寒がりなんだよね」
「寒がりってレベルじゃねぇぞ!」
「上司に向かってその口調はダメでしょ」
「すんませんでした」
「よろしい」
***
~夢見市・魔法犯罪対策課夢見支部~
『銀行強盗発生。犯人は3~4人のグループと思われる。なお、グループ内には魔法使いがいる可能性あり。第三小隊出動せよ』
魔法犯罪対策課。通称魔対課。
魔法を悪用した事件を専門に捜査する警視庁警備部内の部隊だ。
「了解!第三小隊員は直ちに出動せよ!」
隊長の号令により隊員たちが一斉に動き出す。
そして、すこし形の違うパトカーが走り出した。
このパトカーは異世界で発見された新鉱石「オリハルコン」が装甲に使われている。
「オリハルコン」というのは、異世界では世界一硬い鉱石として知られていた。
この鉱石にはそれ以外にも特徴があり、「魔法を打ち消す」というものがある。
その性質を使って開発されたのが、魔法無効化装甲である。
魔法犯罪対策課のパトカーは、魔法に対応するためこの装甲が使われている。
そのため、すこし形が違うのだ。
***
~夢見市~
白いバンが銀行の扉をぶち破り、逃げ始める。
「おい!早くしろよ!」
「わかってるわよ!!」
運転席の男と助手席の女が言い争う。
「いい加減にしてください!!あなた達が遅いんですよ!!!」
後部座席に座っている女が怒鳴った。
彼女らが乗るバンのトランクには、大量の札束が詰め込まれていた。
銀行から奪ってきた新札である。
「うるせぇ!こっちだって必死なんだよ!!」
運転手が叫んだ、その時。
『前のバン、止まりなさい!』
パトカーのサイレンと共に、拡声器越しの声が届く。
「チッ……止まれっつっても止まるわけねぇだろ!」
男がアクセルを踏み込むと同時に、タイヤから煙が上がった。
「おまえ、魔法で足止めしとけ!」
「わかりましたよ!」
後部座席の女が扉を開けると、杖を振り上げた。
すると、杖の先から炎が放射され、パトカーを包む。
だが、パトカーはすこしすす汚れただけだった。
「嘘!?効いてないんですか!?」
***
「本部!PITマニューバの許可を!」
パトカーに乗る警官が、無線機にそう叫ぶ。
『許可する!』
PITマニューバ。車両を被疑車両にぶつけてスピンさせるなどし、逃走の継続を阻止する強制停止措置の名前だ。
「おらぁ!」
警官はハンドルを切ると、パトカーをバンにぶつける。
しかし、バンは少しふらついただけで止まらなかった。
「やっぱり止まらないか……仕方ない、Aモードに変更しろ!」
「わかりました」
Aモードとは、Attacker Modeの略だ。
どういうモードなのかは、見てもらえばわかるだろう。
「ぽちっとな」
助手席に乗っていた巡査がボタンを押すと、ボンネットの一部が開く。
そして、バルカン砲が出てきた。
……いや、これ明らかに過剰武装だろ。
「目標、前方のバン。撃てーっ!」
物凄い音とともに銃弾が発射される。
ちなみにこのバルカン砲は、貫通しにくいようにホローポイント弾が使われている。
もちろん実弾だ。
「うわっ!?」
乗り出していた女が体を引っ込めるが、弾がタイヤに当たったようでスピン。
そのままガードレールに衝突し、パトカーに退路をふさがれた。
警官が中を見ると、衝撃で犯人たちは気絶しているようだ。
「よし、とりあえず引っ張り出すぞ」
数人の警官が三人を引っ張り出したその時、違う警官が叫んだ。
「爆発するぞ!逃げろ!」
次の瞬間、バンが爆発炎上。周辺に一万円札が散らばった。
奇跡的に周辺にいた警官や、引っ張り出された犯人たちにケガはなかったのだが。
「お札の雨なんて初めて見たよ……」
一人の警官が、降ってくる一万円札を見ながら言った。
***
転移後、異世界人によるこのような犯罪が増加傾向にあった。
日本政府はそれに対応しようと、新たな組織を発足。それが魔法犯罪対策課である。
「そういえば、教国が日本に攻めてこようとしているらしい」
「急になんすか」
「いや、内調の友人から聞いてさ」
「それ情報漏洩じゃありません?」
「たぶんそう。部分的にそう」
「ア〇ネーター?」
「ちなみにその友人とは連絡が取れなくなってる」
「消されてるじゃないですか」
「まあ、冗談だろうけどね」
「はぁ」
「しかし寒いな……」
「その格好で言われても説得力皆無ですよ」
木村はひざ掛けにあったかそうな上着、足元にはヒーター。
ついでにマフラーと耳当てもしている。完全防備だ。
「私寒がりなんだよね」
「寒がりってレベルじゃねぇぞ!」
「上司に向かってその口調はダメでしょ」
「すんませんでした」
「よろしい」
***
~夢見市・魔法犯罪対策課夢見支部~
『銀行強盗発生。犯人は3~4人のグループと思われる。なお、グループ内には魔法使いがいる可能性あり。第三小隊出動せよ』
魔法犯罪対策課。通称魔対課。
魔法を悪用した事件を専門に捜査する警視庁警備部内の部隊だ。
「了解!第三小隊員は直ちに出動せよ!」
隊長の号令により隊員たちが一斉に動き出す。
そして、すこし形の違うパトカーが走り出した。
このパトカーは異世界で発見された新鉱石「オリハルコン」が装甲に使われている。
「オリハルコン」というのは、異世界では世界一硬い鉱石として知られていた。
この鉱石にはそれ以外にも特徴があり、「魔法を打ち消す」というものがある。
その性質を使って開発されたのが、魔法無効化装甲である。
魔法犯罪対策課のパトカーは、魔法に対応するためこの装甲が使われている。
そのため、すこし形が違うのだ。
***
~夢見市~
白いバンが銀行の扉をぶち破り、逃げ始める。
「おい!早くしろよ!」
「わかってるわよ!!」
運転席の男と助手席の女が言い争う。
「いい加減にしてください!!あなた達が遅いんですよ!!!」
後部座席に座っている女が怒鳴った。
彼女らが乗るバンのトランクには、大量の札束が詰め込まれていた。
銀行から奪ってきた新札である。
「うるせぇ!こっちだって必死なんだよ!!」
運転手が叫んだ、その時。
『前のバン、止まりなさい!』
パトカーのサイレンと共に、拡声器越しの声が届く。
「チッ……止まれっつっても止まるわけねぇだろ!」
男がアクセルを踏み込むと同時に、タイヤから煙が上がった。
「おまえ、魔法で足止めしとけ!」
「わかりましたよ!」
後部座席の女が扉を開けると、杖を振り上げた。
すると、杖の先から炎が放射され、パトカーを包む。
だが、パトカーはすこしすす汚れただけだった。
「嘘!?効いてないんですか!?」
***
「本部!PITマニューバの許可を!」
パトカーに乗る警官が、無線機にそう叫ぶ。
『許可する!』
PITマニューバ。車両を被疑車両にぶつけてスピンさせるなどし、逃走の継続を阻止する強制停止措置の名前だ。
「おらぁ!」
警官はハンドルを切ると、パトカーをバンにぶつける。
しかし、バンは少しふらついただけで止まらなかった。
「やっぱり止まらないか……仕方ない、Aモードに変更しろ!」
「わかりました」
Aモードとは、Attacker Modeの略だ。
どういうモードなのかは、見てもらえばわかるだろう。
「ぽちっとな」
助手席に乗っていた巡査がボタンを押すと、ボンネットの一部が開く。
そして、バルカン砲が出てきた。
……いや、これ明らかに過剰武装だろ。
「目標、前方のバン。撃てーっ!」
物凄い音とともに銃弾が発射される。
ちなみにこのバルカン砲は、貫通しにくいようにホローポイント弾が使われている。
もちろん実弾だ。
「うわっ!?」
乗り出していた女が体を引っ込めるが、弾がタイヤに当たったようでスピン。
そのままガードレールに衝突し、パトカーに退路をふさがれた。
警官が中を見ると、衝撃で犯人たちは気絶しているようだ。
「よし、とりあえず引っ張り出すぞ」
数人の警官が三人を引っ張り出したその時、違う警官が叫んだ。
「爆発するぞ!逃げろ!」
次の瞬間、バンが爆発炎上。周辺に一万円札が散らばった。
奇跡的に周辺にいた警官や、引っ張り出された犯人たちにケガはなかったのだが。
「お札の雨なんて初めて見たよ……」
一人の警官が、降ってくる一万円札を見ながら言った。
***
転移後、異世界人によるこのような犯罪が増加傾向にあった。
日本政府はそれに対応しようと、新たな組織を発足。それが魔法犯罪対策課である。
3
あなたにおすすめの小説
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる