16 / 25
自称勇者様
猫精霊様のお仕置き
しおりを挟む罪状の読み上げはそれほど掛かりませんでした、途中から泣き叫び許しを請い、壊れだす手前になったので。まぁ、簡単に言ってしまえば、お母様も兄様達も厭きたのです。じわじわと追い込むのが好きなものですから、あまりの無様な様に興味が無くなったのでしょう。
「聞くまでも無いと思いますけど、精霊様的な心象では如何です?」
『せやなー、猫やのーて狼っ子やけど、アレは流石にあかんわ』
『可愛い子をいじめちゃつまらんよねー?』
『最高んお仕置きゅ選んじゃろうね』
『……猫精霊の、偉大なる王がら、お仕置ぎされろ』
因みに、クオン・オウガ・リンディン・スイの順番です。ここまで言われてしまっては、有罪決定ですね。周りの皆には『にゃん』とか『うにゃあ』としか聞こえていませんが、私には四匹とも方言で聞こえています。
あ、スイは雪国を思い出す白銀の虎柄でモッフモフ毛並みをした人見知りの激しいニャンコさんです。懐いて貰うまでは本当に苦労しましたわ。
「兄様方、後は私にお任せ下さいませ」
「セラ」
「精霊様方も、お怒りのようですので」
にっこりと微笑みを浮かべ輝く精霊の腕輪を掲げると、嵌めこまれた精霊石も光だし体からいつも以上の魔力が抜けていくのを感じます。
「『猫精霊を統べし精霊の王よ、我が声に応え賜え』ケット・シー召喚!」
室内なのに風が舞い上がり、ふわりと身体が浮かび上がったかと思えば、私は既にケット・シーの腕の中に居ました。猫のふわふわ毛並みに抱き上げられています、滅茶苦茶至福です!このまま眠ってしまいたいですが、出来ないのが哀しい!
精霊の腕輪は同じ種族の精霊石を四つ集めると、その種族の王を召喚できます。クオンが昔『四つは欲しい』といっていたのは、このためです。
『久しいな、セラフィナ』
「はい、お久し振りですわケット・シー様。相変わらずの至福の毛並みで御座います」
『今回は、またえらく小者よ』
「この者達に、監視と戻る場所を奪ってくださいませ」
にっこりと微笑みかけると、ケット・シー様の瞳がゆっくりと三日月のように弓形へと変わる。楽しそうに笑うのは、久し振りの召喚を喜んでいらっしゃるのでしょう。
『我が愛し子の願い、聞き届けたり。『王者の爪痕』!』
床へと転がされた四人の足や背中に、猫の爪痕にはやや大きなものが付けられる。コレは回復魔法や回復ポーションでは消えることはありません。其の身に残り続ける獲物の証です。
『迷宮の旅路』
続いて四人にかけられたのは、帰りたい場所へと帰ることの出来ない、永久迷子の魔法です。ケット・シー様専用の補助魔法ともいえますわね。街や村には辿り付けますが、自分が思い描く場所には絶対に帰れません。つまり、ギルドで依頼を受けても、成果を出すのは別の場所まで行かないと報酬も貰えません。どこかで定住しても、家に帰ることが出来なくなるのです。
(そもそも、冒険者としても抹消されそうですけどね。フローライト家の権力で)
精霊の種族を束ねる王の魔法は、結構かなり容赦がありません。その王を召喚するくらい、猫精霊を怒らせたのですから、自業自得ですわよね。一生迷子になっているといいですわ。勿論、フローライト領地には住み着かせませんけど。
「気を失っているようですわ、ルシアン兄様王都へと運びますの?」
「そうだね~、一応連れて行くよ。終わったら直ぐに王都追放かなぁ?」
「今度はもっと手応えのある奴を連れて来いよ、ルシアン」
「え~、フォル兄さんの腕っ節に勝てるのなんて、そうそういないよ~?」
唇を尖らせて文句をいいつつも、四人を浮遊の魔術で浮かせ外へと運び出す。あっという間のご帰還でしたが、用件が用件でしたので仕方有りませんわね。
私はケット・シー様にお礼を言い、地下室からはクレイオ兄様に横抱きされて部屋へと向かいました。魔力を結構使いましたので、自分では歩けなかったのです。流石にケット・シー様の補助魔法を二つも使うと厳しいですわね。
(精霊王様を召喚するには、まだまだ未熟という事ですわね…)
「クレイオ兄様、ありがとうございます」
「セラフィナ姫のためでしたら、いつでも喜んで」
にこにこと微笑みを交わしていますが、背後ではその役目をしたかったフォルス兄様(腕力にモノを言う為却下)とルシアン兄様(既に魔法で幾人も浮遊させているので却下)の嫉妬のオーラを感じます。リアン兄様が来てくださったら、クレイオ兄様には悪いですが代わっていただきましょう。
さて、次は第一王子様ですわね。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる