攻略なんてしませんから!

梛桜

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上位試験開始

さぁ、決勝戦です。



 やはりと言うか、ゲーム補正を入れたとしても想像通りでしたが、決勝に残ったのは聖獣の加護を持っている私とルチルレイの組となりました。

(そうなるかなー?とは思っていたけど、最終的にぶつかるとやり難いことこの上無いですね)

 アトランティ兄妹は水系属性が中心で、近距離攻撃はアズラのみ。ハウライトはどちらかと言えば補助と回復メインなので、戦闘は後衛となってしまいます。オブシディアンは昼間なので人型を取れない。猫の姿で戦闘をしなくてはいけないので、今まではアズラと連携させるかアイクお兄様の補助をしていました。

「やっぱり、ラズ殿下達が相手だね」
「アイドクレーズ様、このままアリアを指揮官で望んでは如何でしょう?アリアの光魔法とまだ使っていない闇魔法もありますし」
「ですけど、向こうには闇魔法だけでなく人型になれるギベオンも居ましてよ?光魔法はリィ様が出来ますし」
「ギベオンは確かに怖いかな、ジャスパーは私が抑えるよ」

 試合開始前に三人で対策を考えていますが、接近戦の不利は今更だし、此方が有利になる事といえば魔力と光と闇両方を仕えるのと、何と言ったって家族というのが強いだろう。魔法攻撃が怖いのは、炎魔法を使うラズ様です。

「ラズ様が指揮ですわよね?」
「今まで観戦してきた中では全てラズーラ殿下が指揮をとってました、こちらは意外性のアメーリア姉様で推し進めるのが良さそうです」
「マウシット様の考察も含め、何か考えはあるでしょうが…」
「そうだね、接近戦はアズラとジャスパーになるのは同じかな」
「が、頑張ります!」

 向こうの参謀がマウシット様なら、こっちはマーカサイト様が作戦資料を集めてくださっています。回復も超級ですので、参加出来ない一年生なのが本当に残念です。

「何もおこらないのが、一番なのですけどね」
『アリア?』
『アリア、次も勝てます!ギベオンは私達が相手します!』

 ハウライトもオブシディアンもやる気なのはいいですが、私は表に出てきていないリィ様が一番怖いですわ。ルチルレイもギベオンの力を最大限にだしてしまえば最強なんです。ゲームでのルチルレイの必殺技なんだったけなー?アメーリアはギベオンを人型に変化させて、接近戦攻撃とか闇魔法を使って幻術繰り出したり……。

(あ、そうか)

「オブシディアン、ハウライト。最終戦は貴方達の力を大いに借りますわ」
「何か案が出たようだね」
「僕も!役に立ちます。決勝まできたんだし」
「ええ、アズラにもしっかりと活躍して頂きますわ」

 にっこりと微笑みを浮かべた私に、アズラが若干怯えた顔をしましたが見てませんからね、見てないみてない。いけるいける。
 決勝戦を始めると、二つの組を呼ぶ声が聞こえて来る。最終試合は、魔法特進科と騎士科の生徒は出入り自由。貴族科と普通科は関係のある生徒のみ観覧可能となっているので、今までと違いとても静かです。

(うんうん、試験はこうでないとね。あまり歓声が多いとアズラの鼓膜がやばいことになりますから)


『決勝戦開始!』


 風の魔法により告げられた、決勝戦開始の声。ルチルレイのチームはやはりラズ様が指揮官です。この流れなら、リィ様とルチルレイはリィ様の光魔法の防御壁の中です。リィ様の防御壁が苦手なギベオンはルチルレイから離れています。

(チャーンス!)

「アイクお兄様、氷魔法で『氷の城壁ロックキャッスルウォール』展開。その後ジャスパー様に集中して『水撃弾ウォーターショット』連投で展開お願いします」
「ジャスパーだけでいいの?」
「はい、アズラに風魔法『俊足クイック』展開。リィ様の小袋を狙ってください」
「え、アレってリモナイト殿下のお菓子袋だよ!?」
「ええ、『光の壁リヒトウォール』を壊しませんとね」

 にっこりと微笑みを浮かべつつも、何処か真っ黒のオーラを纏う私と、楽しそうに魔力を練るアイクお兄様。ハウライトとオブシディアンは『まだ?まだ?』と待てをしています。ああ、可愛い。尻尾振り振りしてて楽しそうにしてます。

「ルチルレイに怪我をさせてはいけませんよ?ですが、火魔法がくるならお呼びなさい、水魔法で補助します!アズラ行きなさい!」
「わかったよ!」

 走り出すアズラに合わせて、アイクお兄様が『氷の城壁ロックキャッスルウォール』を展開させ、突っ込んでこようとしたジャスパー様に向かって容赦の無い『水撃弾ウォーターショット』が連続で向かっていきます。アイクお兄様楽しそうだけど、ちょっとやりすぎじゃないですか?まぁ、楽しそうなアイクお兄様が可愛いからいいか。

(それに、アイクお兄様それ『水撃弾ウォーターショット』じゃありませんわ。いつの間にか上位魔法の『氷華の矢シーヴルプファイル』展開してます。ジャスパー様ご愁傷様です)

「ハウライト、アズラの周囲に補助『光の壁リヒトウォール』展開」
「はい!」
「オブシディアン、ギベオンが動きそうになったら言って!」
「にゃあ!」

 五対五なのは同じ、お互いに守護聖獣も居る。違うのは主とする属性が水系は火系かの違い。だけど、ずっと指揮官をしていたのはラズ様で、その対策は沢山あるのです!

 私もオブシディアンと協力して、闇魔法を使おうとした瞬間、視界の端を白い法衣が横切りました。



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