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ⅩⅩⅩⅢ.Queen of Pentacles
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「……オレも、吸血鬼にしてくれ」
次の日。
ラファエルの部屋に訪れたセスクが決意を滲ませてそう言うのに、シェリルは慌てて首を振っていた。
「だ、だめ……っ!」
「どうして」
向けられる真剣な眼差しに、シェリルは泣きそうに大きな瞳を揺らめかせる。
「……だって、必ず成功するとは限らない……っ。もし失敗したら……っ」
「でも、今のままじゃシェリルと一緒に生きられない」
「だからって……っ!」
人間を吸血鬼にする術は、術者の腕に関係なく、成功するかどうかは賭けになる。
相性などがあるのかどうか、原因は一切わからない。
ただ、術に失敗した時の代償は、単純に"吸血鬼になれない"などということではなく、生命を失うことと同義だった。
「このままだと、オレはどんなに長生きしたって、50年後にはシェリルを置いて逝くことになる。シェリルはそれでいいの?」
「……そ、れは……。でも……」
真摯な瞳で見下ろされ、シェリルは戸惑いに唇を震わせる。
――一緒に生きたい。
この人と共に生きていくことを、決めた。
けれど、その方法はまだわからない。
「……その時は、私もすぐに追いかけるから……」
もう、この人がいなければ生きていけないから。
セスクを失うようなことがあれば、自分も命を絶とうとは思っている。
「シェリル……」
「……術を施したら死んじゃうかもしれないのに、そんなこと……」
ぎゅっ、とセスクの腕を掴んで、シェリルはふるふると緩く首を振る。
セスクの場合、どちらにせよ術をかけなければ命を落としていたシェリルの時とは違う。
けれど、純血種のラファエルが健康なセスクに術を施したとしても、恐らく成功率は五分五分以下。
「それに……」
それに、ラファエルがセスクを吸血鬼にするということは。
「主従関係になるのなら、オレはシェリルにそうして欲しいんだけど」
シェリルの言いたいことがわかったのか、あっさりとそう言って微笑むセスクに、シェリルは益々泣きそうな表情(かお)になる。
セスクの気持ちは嬉しい。
本当に、嬉しいけれど。
愛しい人を失ってしまうかもしれない恐怖にはとても耐えられない。
「……それはもっとダメ……ッ。純血種のラファエルに比べたら、私の方が成功率は低いのに……っ」
「でも、コイツと"主従関係"になるのはちょっと抵抗が……」
シェリルも、人間を"仲間"とすることはできるという。
ただ、もちろん、シェリルがその術を今まで行使したことはないし、そもそもラファエルにその術を教わったこともなかった。
自分を吸血鬼にした主の命は絶対。
そこにはセスクも抵抗がないわけではない。
ラファエルが理不尽な命令を下すとも思えないが、どんな気まぐれを起こすかはわからない。
それでも、背に腹は変えられないとは思うけれど。
「……全く、貴方方は……。これでは埒が空かないですね」
そんな二人の遣り取りを今まで黙って見ていたラファエルは、やれやれと呆れたように大きな吐息を吐き出した。
そうしてセスクを見、シェリルをみつめ。
「いっそのこと、シェリル、貴女が人間に戻りますか?」
淡々と、第三の提案を口にしていた。
次の日。
ラファエルの部屋に訪れたセスクが決意を滲ませてそう言うのに、シェリルは慌てて首を振っていた。
「だ、だめ……っ!」
「どうして」
向けられる真剣な眼差しに、シェリルは泣きそうに大きな瞳を揺らめかせる。
「……だって、必ず成功するとは限らない……っ。もし失敗したら……っ」
「でも、今のままじゃシェリルと一緒に生きられない」
「だからって……っ!」
人間を吸血鬼にする術は、術者の腕に関係なく、成功するかどうかは賭けになる。
相性などがあるのかどうか、原因は一切わからない。
ただ、術に失敗した時の代償は、単純に"吸血鬼になれない"などということではなく、生命を失うことと同義だった。
「このままだと、オレはどんなに長生きしたって、50年後にはシェリルを置いて逝くことになる。シェリルはそれでいいの?」
「……そ、れは……。でも……」
真摯な瞳で見下ろされ、シェリルは戸惑いに唇を震わせる。
――一緒に生きたい。
この人と共に生きていくことを、決めた。
けれど、その方法はまだわからない。
「……その時は、私もすぐに追いかけるから……」
もう、この人がいなければ生きていけないから。
セスクを失うようなことがあれば、自分も命を絶とうとは思っている。
「シェリル……」
「……術を施したら死んじゃうかもしれないのに、そんなこと……」
ぎゅっ、とセスクの腕を掴んで、シェリルはふるふると緩く首を振る。
セスクの場合、どちらにせよ術をかけなければ命を落としていたシェリルの時とは違う。
けれど、純血種のラファエルが健康なセスクに術を施したとしても、恐らく成功率は五分五分以下。
「それに……」
それに、ラファエルがセスクを吸血鬼にするということは。
「主従関係になるのなら、オレはシェリルにそうして欲しいんだけど」
シェリルの言いたいことがわかったのか、あっさりとそう言って微笑むセスクに、シェリルは益々泣きそうな表情(かお)になる。
セスクの気持ちは嬉しい。
本当に、嬉しいけれど。
愛しい人を失ってしまうかもしれない恐怖にはとても耐えられない。
「……それはもっとダメ……ッ。純血種のラファエルに比べたら、私の方が成功率は低いのに……っ」
「でも、コイツと"主従関係"になるのはちょっと抵抗が……」
シェリルも、人間を"仲間"とすることはできるという。
ただ、もちろん、シェリルがその術を今まで行使したことはないし、そもそもラファエルにその術を教わったこともなかった。
自分を吸血鬼にした主の命は絶対。
そこにはセスクも抵抗がないわけではない。
ラファエルが理不尽な命令を下すとも思えないが、どんな気まぐれを起こすかはわからない。
それでも、背に腹は変えられないとは思うけれど。
「……全く、貴方方は……。これでは埒が空かないですね」
そんな二人の遣り取りを今まで黙って見ていたラファエルは、やれやれと呆れたように大きな吐息を吐き出した。
そうしてセスクを見、シェリルをみつめ。
「いっそのこと、シェリル、貴女が人間に戻りますか?」
淡々と、第三の提案を口にしていた。
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