18 / 38
第18話
しおりを挟むしかし、赤毛の世話係には「出来るだけ休まずに拡張を続けられた方がよろしいかと」と言われて新しい張り型を手渡された。
「これは内緒です」とも釘を刺されて。
つまり、本来ならばヒオリに渡してはいけなかった代物。
黒曜帝が最初にヒオリに贈ってきた張り型よりも幾分細い、男根を模した張り型。
それを手にしてドキドキと胸を高鳴らせたものだ。
あの細く、球がたくさんついている張り型も奥まで届いて気持ちいいのだが……数日で物足りなさを感じてきたところだった。
まるで見計らったようにこれを贈ってきた赤毛の世話係。
さすが調教師でもある、というところだろうか。
しかし、ヒオリにこれを渡したのがバレたら一発でクビになる。
なのでこれは使い切り、と付け加えられた。
確かに素材がこれまでのものよりもしっとりとしていて色もやや黒っぽい植物の茎。
潤滑油をたっぷりつけて、奥まで入れると堪らないらしい。
二つ目の細さに物足りなさを感じていたが、最初の張り型はまだ大きすぎて苦しいと思っていた。
この中間の張り型はおそらく物足りなさを解消しつつ、更に尻の奥を拡張し、最初の張り型を『少し苦しい』くらいに感じられるようにしてくれるはず。
ごくん、と生唾を飲み込み、部屋を見回す。
当たり前だが、誰もいない。
下の中の処理を手早く終わらせて、ベッドに戻るとほどよく冷めた湯で尻を拭く。
潤滑油をたっぷり張り型につけ、残りで尻の穴の周りから湿らせていった。
四つん這いになり、後ろから黒曜帝に指を挿れられるところを想像しながら一本、二本と増やしていく。
時折潤滑油を指ですくって足し、奥の方まで滑りを広げる。
じゅ、じゅっく……じゅる、ぐちゅ。
なんともいやらしい音が響くようになる頃、ヒオリの息も上がり始め、下半身のモノも頭をもたげ始めていた。
黒曜帝が、お尻をあの指で弄っていると想像する。
それだけでも十分に体は解れ、快楽を待ち望むようになるのだからヒオリは自分の体をなんとも簡単だ、と思った。
「は、はぁ、はあ……」
そして、浸した張り型を取り出す。
もういいはずだ。
期待で尻の穴の奥がキュンキュンとする。
ぬる、と明かりに艶めかしく光る張り型は男根の形そのもの。
これを今から、挿れる。
「……っ……は、はぁ……はぁ……んっ」
押し当て、角度を調整しながら挿入していく。
圧迫感。
しかし、痛くはない。
むしろ、奥の方が期待している。
先端はなだらかな山のように尖り、それを過ぎればきゅうとキノコのようにしぼんでいく。
その下は逞しい竿がある。
男の一物の形を、正確に模したそれを……ゆっくりと奥へ進めた。
まるで先端が狭い穴を押し広げていくように進み、だんだんと拡げていく。
尻穴の内壁は柔らかくその形を呑み込み、味わうように絡みついて形を包む。
その形が、内壁で感じられるようだった。
「……っ、ぁ……」
背筋がゾクと、痺れる。
想像した。
この張り型が黒曜帝のものだとしたら……自分は今、その形を感じているのだと。
ゆっくりと押し込まれた熱い肉棒を締めげ、形そのままを……。
これが黒曜帝の形。
自分の太腿でしか感じなかった熱の塊。
程よい弾力と硬さ、そして凶悪な大きさでヒオリの腿をぐしょぐしょに濡らす。
あれがようやく、ヒオリの中に。
「ふ、ふぅ、ふぅ……」
想像すると、体の中心も熱くなっていく。
しかし、これで終わりではない。
ここからだ。
息を一度整えて、ヒオリは手を動かし始めた。
自分で考えていたよりも力が必要だったが、クッと奥まで張り型を押し込む事に……成功する。
「ううううぅっ!」
苦しい。
痛い。
しかし、あの一番大きな張り型では到達し得ない場所まで入った。
そして、二番目にもらった張り型よりもその衝撃は凄まじい。
身を裂かれるような、とまではいかないが、一瞬で疲労感と性器がへたん、と垂れてしまう。
腕で上半身を支えている事も出来ず、ベッドに沈み込む。
「は、はぁ……はぁ、はぁ、」
この張り型でこれほど。
これに慣れれば、あの一番大きな張り型で『練習』が出来る。
あの一番大きな張り型に慣れれば……。
「……っ」
動かすのは少し怖いが、意を決してゆっくり引っ張ってみる。
ぴったりと張り型に張り付いていた肉壁がぐちょ、ぐに、と動く。
ぞぞぞぞぞ……と背筋が奇妙な感覚に見舞われた。
「ふぅ、ふ……くっ、うっ、あ……っ!」
声が漏れる。
不慣れなそれもまた快感に変わるのだろうか。
必死に出し入れを繰り返し、気がつけば下半身に力は入らずガクガクと腰が揺れていた。
息は上がり、よだれは滴り、目の前はチカチカと達したあとのようになっている。
もどかしさが迫り上がった。
これではない。
もっと深いところを……もっと逞しく熱い肉棒に……。
「……はぁ、はあ……ぁ、あ……へ、いかぁ……っ」
なぜ、あの人はここにいないのだろう。
あの人が支えて、そして今自分で弄んでいる場所をいじめ抜いてくれたなら——。
我ながらなんとはしたない事を、と思いながら手を離す。
息を整えて、虚ろな目で桶を見上げる。
それ自体に意味はない。
ただ、その向こう側に扉があるだけ。
手を伸ばして、ゆっくり張り型を引き抜く。
「…………」
明日も来ないようなら、最初に貰った張り型を試そう。
もう一度……そして、入ったならば今度こそ。
あの方と離れてしまう前に。
あの方と、会えなくなる前に……。
そう心に決めて息を吐き出す。
「陛下……お会いしたいです……」
この締めつけるような、切ない気持ちはなんなのか。
ヒオリには明確な言葉が出てこない。
4
あなたにおすすめの小説
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?
米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。
ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。
隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。
「愛してるよ、私のユリタン」
そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。
“最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。
成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。
怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか?
……え、違う?
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました
芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」
魔王討伐の祝宴の夜。
英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。
酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。
その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。
一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。
これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる