【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

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第18話

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 しかし、赤毛の世話係には「出来るだけ休まずに拡張を続けられた方がよろしいかと」と言われて新しい張り型を手渡された。
「これは内緒です」とも釘を刺されて。
 つまり、本来ならばヒオリに渡してはいけなかった代物。
 黒曜帝が最初にヒオリに贈ってきた張り型よりも幾分細い、男根を模した張り型。
 それを手にしてドキドキと胸を高鳴らせたものだ。
 あの細く、球がたくさんついている張り型も奥まで届いて気持ちいいのだが……数日で物足りなさを感じてきたところだった。
 まるで見計らったようにこれを贈ってきた赤毛の世話係。
 さすが調教師でもある、というところだろうか。
 しかし、ヒオリにこれを渡したのがバレたら一発でクビになる。
 なのでこれは使い切り、と付け加えられた。
 確かに素材がこれまでのものよりもしっとりとしていて色もやや黒っぽい植物の茎。
 潤滑油をたっぷりつけて、奥まで入れると堪らないらしい。
 二つ目の細さに物足りなさを感じていたが、最初の張り型はまだ大きすぎて苦しいと思っていた。
 この中間の張り型はおそらく物足りなさを解消しつつ、更に尻の奥を拡張し、最初の張り型を『少し苦しい』くらいに感じられるようにしてくれるはず。
 ごくん、と生唾を飲み込み、部屋を見回す。
 当たり前だが、誰もいない。
 下の中の処理を手早く終わらせて、ベッドに戻るとほどよく冷めた湯で尻を拭く。
 潤滑油をたっぷり張り型につけ、残りで尻の穴の周りから湿らせていった。
 四つん這いになり、後ろから黒曜帝に指を挿れられるところを想像しながら一本、二本と増やしていく。
 時折潤滑油を指ですくって足し、奥の方まで滑りを広げる。

 じゅ、じゅっく……じゅる、ぐちゅ。

 なんともいやらしい音が響くようになる頃、ヒオリの息も上がり始め、下半身のモノも頭をもたげ始めていた。
 黒曜帝が、お尻をあの指で弄っていると想像する。
 それだけでも十分に体は解れ、快楽を待ち望むようになるのだからヒオリは自分の体をなんとも簡単だ、と思った。

「は、はぁ、はあ……」

 そして、浸した張り型を取り出す。
 もういいはずだ。
 期待で尻の穴の奥がキュンキュンとする。
 ぬる、と明かりに艶めかしく光る張り型は男根の形そのもの。
 これを今から、挿れる。

「……っ……は、はぁ……はぁ……んっ」

 押し当て、角度を調整しながら挿入していく。
 圧迫感。
 しかし、痛くはない。
 むしろ、奥の方が期待している。
 先端はなだらかな山のように尖り、それを過ぎればきゅうとキノコのようにしぼんでいく。
 その下は逞しい竿がある。
 男の一物の形を、正確に模したそれを……ゆっくりと奥へ進めた。
 まるで先端が狭い穴を押し広げていくように進み、だんだんと拡げていく。
 尻穴の内壁は柔らかくその形を呑み込み、味わうように絡みついて形を包む。
 その形が、内壁で感じられるようだった。

「……っ、ぁ……」

 背筋がゾクと、痺れる。
 想像した。
 この張り型が黒曜帝のものだとしたら……自分は今、その形を感じているのだと。
 ゆっくりと押し込まれた熱い肉棒を締めげ、形そのままを……。
 これが黒曜帝の形。
 自分の太腿でしか感じなかった熱の塊。
 程よい弾力と硬さ、そして凶悪な大きさでヒオリの腿をぐしょぐしょに濡らす。
 あれがようやく、ヒオリの中に。

「ふ、ふぅ、ふぅ……」

 想像すると、体の中心も熱くなっていく。
 しかし、これで終わりではない。
 ここからだ。
 息を一度整えて、ヒオリは手を動かし始めた。
 自分で考えていたよりも力が必要だったが、クッと奥まで張り型を押し込む事に……成功する。

「ううううぅっ!」

 苦しい。
 痛い。
 しかし、あの一番大きな張り型では到達し得ない場所まで入った。
 そして、二番目にもらった張り型よりもその衝撃は凄まじい。
 身を裂かれるような、とまではいかないが、一瞬で疲労感と性器がへたん、と垂れてしまう。
 腕で上半身を支えている事も出来ず、ベッドに沈み込む。

「は、はぁ……はぁ、はぁ、」

 この張り型でこれほど。
 これに慣れれば、あの一番大きな張り型で『練習』が出来る。
 あの一番大きな張り型に慣れれば……。

「……っ」

 動かすのは少し怖いが、意を決してゆっくり引っ張ってみる。
 ぴったりと張り型に張り付いていた肉壁がぐちょ、ぐに、と動く。
 ぞぞぞぞぞ……と背筋が奇妙な感覚に見舞われた。

「ふぅ、ふ……くっ、うっ、あ……っ!」

 声が漏れる。
 不慣れなそれもまた快感に変わるのだろうか。
 必死に出し入れを繰り返し、気がつけば下半身に力は入らずガクガクと腰が揺れていた。
 息は上がり、よだれは滴り、目の前はチカチカと達したあとのようになっている。
 もどかしさが迫り上がった。
 これではない。
 もっと深いところを……もっと逞しく熱い肉棒に……。

「……はぁ、はあ……ぁ、あ……へ、いかぁ……っ」

 なぜ、あの人はここにいないのだろう。
 あの人が支えて、そして今自分で弄んでいる場所をいじめ抜いてくれたなら——。
 我ながらなんとはしたない事を、と思いながら手を離す。
 息を整えて、虚ろな目で桶を見上げる。
 それ自体に意味はない。
 ただ、その向こう側に扉があるだけ。
 手を伸ばして、ゆっくり張り型を引き抜く。

「…………」

 明日も来ないようなら、最初に貰った張り型を試そう。
 もう一度……そして、入ったならば今度こそ。
 あの方と離れてしまう前に。
 あの方と、会えなくなる前に……。
 そう心に決めて息を吐き出す。

「陛下……お会いしたいです……」

 この締めつけるような、切ない気持ちはなんなのか。
 ヒオリには明確な言葉が出てこない。



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