【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

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第33話

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「兵たちに告げてこよう。まずは貴殿を一度満足させてから、夕餉と湯浴み……。……その後、もう一度存分に朝まで蕩けさせてやる」
「……!」

 甘さを多分に含んだ低い声がヒオリの耳元で囁いていく。
 その声が脳に媚薬でも振り撒いたように、全身から力を奪う。
 舌舐めずりする皇帝は、一度ヒオリから離れて入り口の兵を呼び出して「夕食は後で良い。お前たちもしばらく離れていろ」と命じる。
 それは、これからこのテントで行われる艶事を暗に告げていると同義だった。
 心臓が飛び出しそうなほど、うるさく鳴り響く。
 ようやくだ。
 ついに、黒曜帝と本当の意味で繋がる。
 その期待に目眩がして、口を両手で覆う。
 足音が近づいてくる。
 もう直ぐ、後少し……。

 ぎしり。

 黒曜帝の膝が、ベッドの縁へと載る。
 見下ろすのは獣の目だ。
 獲物を喰らう、捕食者の目。

「……陛下……」
「言っておくが挿れるのは夕餉の後だ。まずは貴殿の熱を一度落ち着かせる」
「え、え?」
「当然だろう? 貴殿とは万全の状態が好ましい。……一度で治るものでもなさそうだからな」 
「…………」

 カァ、と顔が熱くなる。
 だがおそらくその通り。
 ヒオリの身に渦巻く熱は、一度や二度で治るものではない。
 ここ数週間、溜まりに溜まったものなのだ。

「特別に口でしてやろう。なに、貴殿ならすぐにすっきりしてしまう」
「え? 口? お、お待ちください!」

 まさか、と驚いた時にはもう下半身の布は全て剥ぎ取られていた。
 ヒオリの体をすっぽりと覆うように黒曜帝が乗り上げてくる。
 膝を持ち上げられて、左右に開かれればそこにはすっかり勃ち上がったヒオリの一物。
 恥ずかしさに両手で隠そうとするが、あっさりと両手をまとめて頭の上に拘束される、

「隠す必要などない。なんとも熟れて美味そうな事になっているではないか」
「……い、言わないでください……」
「どれ、では早速頂くとしよう。覚悟はいいな? ヒオリ」
「! …………、……はい」

 両手首を片手で一纏めにされ、足を大きく開かされた状態のヒオリの下半身。
 晒されたそこへ、黒曜帝の舌が伸びる。
 なんとも楽しげに開いた口でヒオリの一物を食んでゆく。

「————っぅ!!」

 熱い!
 最初に感じた途方もない熱。
 人の口の中とはこんなにも熱いのか。
 目を見開いて、仰け反った。
 口が開いて「ああ!」と声が出る。
 腰が浮かび、押しつけるようになるがその瞬間、黒曜帝の口がヒオリのものから離れていく。

「っ、ううっ! ううっ……」
「刺激が強かったか? そういえば貴殿のモノを咥えるのは初めてだったな。まあ、一口目で達しなかっただけ褒めてやろう」
「あ……あぁっ、お、お待ちください……お待ちください……! お許しください、それは、あ、熱くて、熱くて……! すぐに達してしまいます……!」
「この後もっと狂いそうなほど熱くなるのだぞ? この程度は耐えよ」
「そんっ——ひっ! あ、あああぁっ!」

 再び黒曜帝がヒオリのものを口に含んだ。
 その熱に呆気なく達する。
 しかしすぐにハッとして上半身を起こそうとした。
 ヒオリが出したのは、黒曜帝の——!

「へ、陛下! 申し訳……!」
「これで終わりと思うてか」
「あっ!」

 たらり、と黒曜帝の口の中からヒオリの出したものが垂れる。
 赤い咥内に、白い粘液。
 それがそのまま、再びヒオリのものを覆うのだ。
 達したばかりのヒオリの性器を、強い力で吸い上げる。

「ひっ! いいやぁ! あぁっ、だ、だめ、だめだめぇ! またぁ! またすぐに、イっ……ひいっ! いや……へい、かぁ!」

 じゅる、じゅる、じゅぶ。
 いやらしい音が休む事なく耳の奥まで響いてくる。
 前戯と呼ぶにはあまりにも激しい。

(あ、ああっ、ど、どう、してぇ!)

 だというのに尻の奥がなんと熱い事か。
 前だけでは物足りなさが増していく。
 後も弄って欲しい。
 しかし、両手は拘束されて動かせない。
 自分で尻穴を解す事さえ出来ない状況。
 黒曜帝はヒオリが足を閉じないようにする為に、もう片手を使っている。
 あれは尻を弄るつもりはなさそうだ。

(ち、違う、違う! 後ろに欲しい、後ろに欲しいんですぅ! あぁっ、お尻の奥に……!)

 腰を捻るが、黒曜帝の頬裏から喉へ呑み込まれてしまい涙を流して声を上げた。
 のたうち回りたい程の快感なのに、背後への刺激が欲しくて上手くイク事が出来なくなっていた。
 それに気づいたのか、黒曜帝が口を離す。
 その表情は……凶悪だった。

「ああ、腹の奥に欲しいか。そうか、もはや前だけでは楽に達せなくなったのだな?」
「っ……う、は、はい」
「クククッ……では、準備をしよう。ロンシ、良いぞ入れ!」

 黒曜帝が声を上げ、テントの入り口を見やる。
 ヒオリもよろよろとそちらを向くと、白髪の世話係が入ってくるところだった。
 手の拘束が外れ、兄弟らしき世話係も食事と大きな桶、湯と体を拭く布を持って入ってくる。

「一度休憩……食事と水を存分に摂り、支度を整えろ。良いな、ヒオリ。……わざわざ自ら俺の夜伽に志願してきたのだ。今宵は眠れると思うなよ」
「……、……は、はい」


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