「【限界突破】なんてやばいスキル誰が使うんだ(笑)」と言われて放置されてきた俺ですが、金級ギルドに就職が決まりました。

古森きり

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ギルド職員への道

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 創星神タパロンは逆ギレして星緑樹を地上に突き刺した。
 星緑樹は魔獣を絶えず生み出す禍の木。
 女神エレメンタルは憤慨たが、逆に星緑樹を利用して地上に生きるすべての“ヒト”に魔力と魔法の使い方を伝えて、身を守る術——『職業』と『スキル』、『固有ギフトスキル』を与えた。
 これにより、長きに渡る創星神タパロンと女神エレメンタルプリシスの戦いが始まったのだ。
 “ヒト”とは人間、獣人、亜人、巨人、魔人など二足歩行する種族の総称。
 “ヒト”は女神エレメンタルプリシスを信仰の神として崇め、同じく創星神タパロンと対峙することを選択した。
 故に与えられた“職業”は戦闘系か生産系のみ。
 ギルド職員や王宮の官、王侯貴族に至るまで女神の与えた職業として認められない
 女神が対創星神タパロンのために“ヒト”に与えたもの以外は、ステータスに表示されないのだ。

「まあ、ステータスに表示されずとも腕章やタグ、カードなんかで身分証は作れる。問題はない。でもステータス無職のままはもったいないからな、オススメは『地図作り師見習い』と『付与師見習い』『占術師見習い』なんかの生産、サポート職系だ。担当部署によっては勝手にレベルが上がるから、戦闘にも役立つことがある」
「そ、そうなんですね」
「では、エルンさんはうちのギルドで働いてくださるんですね!?」
「うっ、は、はい、可能ならば」
「それでは、こちらの契約書にチェックとサインをお願いします。こちらは職員用寮の契約書です。エルンさん、今夜泊まる場所もありませんよね? それとも、どちらか宿に泊まっておられますか?」

 え、と驚いてシシリィを見る。
 涙は無くなり、にっこり微笑まれた。
 すごい、なにもかもお見通しであるかのようだ。

「……と、泊まるところ……ないです」
「なかなかに無計画だな、お前さん」
「す、すみません」
「まあ、それならシシリィの言う通り寮部屋住まいにしとけ。ギルド職員なら家賃はいらん」
「あ、ありがとうございます!」

 かなり至れり尽くせりではないか。
 シシリィが優しく、かつわかりやすく契約書の内容を説明してくれる。
 とりあえずざっくり言うと、エルンの固有スキルはおそらく未発見の金級スキル。
 詳細調査のためにこのギルドで実験を行いながら、職員として生活してもるう。
 住む場所はギルド職員用の男子寮。
 お給料は月額。有休あり。
 また、三ヶ月間の研修中はやや給料が安い。
 冒険のサポートと冒険者ギルドの総括も行なっているため、部署が他のギルドよりも多岐に渡っており、希望があれば極力聞いてくれる。

「シ、シシリィさんは、どこの部署なんですか?」
「わたしは接客……主に受付を担当しています」
「……お、俺にもできるでしょうか?」

 シシリィの少しでも側で、という下心。
 けれど、それを聞いてシシリィは難しい顔をした。

「そうですね……受付は接客の他にクエストの受注、依頼書の作成、張り出し、冒険者への紹介、冒険者登録、会場、緊急時は避難指示、避難経路確保、怪我人の治療など幅広い知識といかなるものにも冷静に対処しなければいけない柔軟性も必要な最前線職員です。花形のように思われていますが、血の気の多い冒険者に絡まれることも多いですし、特にうちのギルドは星緑樹もあるので万一に備え、戦闘職のスキルを五十以上保有していないと危険だと思います」
「…………」

 ちょっと聞いただけで気が遠くなる。
 さらに他の仕事としては——。

 ・王都近郊の地理の把握
 ※冒険者に依頼先の場所を聞かれたりするため。
 ・王都の地理の把握
 ※冒険者たちが宿や装備を整えるための店を即座に案内できるようにするため。
 ・治療院への連絡
 ※緊急時に速やかに治療院へ冒険者や町の人を運べるよう訓練もする。
 ・王侯貴族への対応
 ※王侯貴族が自身のキャリアのためにしょっちゅう訪れるため。
 ・騎士団との調整
 ※王侯貴族の護衛や、魔獣討伐について騎士団と蟠りをつくらないように調整を行う。

「他にも、王都近郊の冒険者ギルドへの依頼の割り振りや、冒険者の昇級試験受付、討伐証明確認、買取……あらゆる分野での知識が必要となり……」
「あ、あの……お、俺にはちょっと無理……かなぁって……」
「あ、そうですか? そ、そうですよね、受付って本当覚えることが多いですもんねー。おかげで万年人手不足なんで、エルンさんが希望してくれたの嬉しかったんですけど……」

 そう言われると「やっぱりやってみようかな」と思いそうになるのだが、今までの説明でさえすべてではないと思うと……。

「シシリィさんはすごいんですね」
「あはは! いえいえ、わたしは王都育ちのギルド育ちですから、普通の人より土台ができてたので全然! むしろ、王都の外から来たのに一から勉強して受付にいる人たちの熱意がすごくて……わたしじゃ敵いません」

 謙虚だ。
 そして、そんな同僚のことを思い出したのか、目を細めて微笑む姿に思わず見惚れる。

(ああ、この人は……人の努力を尊べる人なんだ……)

 感心、感動のレベルだ。
 可愛らしいだけでなく、性格もいい子。

「「…………」」

 ただ、隣の“お父様”が強面すぎるくらいで。
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