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見習い
しおりを挟む「エルンさん、私の担当している『弓士』の子にもあなたのこと紹介していいかしら?」
「弓士?」
「ええ。本当は『装飾師』っていう、生産職がよかったらしいの。でも、『エルフ族』だから『魔法使い』や『弓士』の才能しか現れなかったみたいで……。わかっていたこととはいえ、って、泣いちゃったの。種族によって向き不向きがあるとはいえ、だからって夢を諦めなきゃいけないの、悲しいじゃない?」
「……そうですね」
種族ゆえに。
確かに、エルフならば魔法か弓矢、というイメージが強い。
でも、全員が全員その職業を好むかといわれればきっとそうではないのだ。
性格、趣味趣向というものがある。
「その人が、興味を持ってくれたなら、ぜひ!」
「ありがとう。今日来たら話してみるわ」
一通り、自己紹介を終えるとエルンはギルマスに呼ばれた。
これからエルン自身の適性の見極めを行うのだ。
「まずは王道、剣、弓、槍で『剣士見習い』『弓士見習い』『槍士見習い』を得てもらう。お前さん自身がしっくりこねーようなら杖で『杖使い見習い』、『魔法使い見習い』や『僧侶見習い』を得てみよう」
「杖使い?」
「簡単に言えば鈍器使いのことだ。金棒とかな。あれは『杖使い』の上位職になる」
「へ、へぇ……そうだったんですね」
上位職は『見習い』から一人前になり、さらにレベルを上げて職業スキルを得て行くと取得可能となる職業のことである。
それ以外であれば、『騎士見習い』『斥候見習い』『兵士見習い』『銃士見習い』『盾使い見習い』『召喚士見習い』『魔獣使い見習い』『鞭使い見習い』など。
戦闘職がしっくりこないのならば、今度は生産職。
『鍛治師見習い』『装飾師見習い』『付与師見習い』『家事師見習い』。
さらにそれでも適性がなければ、サポート職。
『踊り子見習い』『鑑定師』『魔獣博士』など。
「お、踊り子、とは?」
「簡単に言やぁ、応援だな。つっても効果はでかい。攻撃力上昇、防御力上昇、魔法攻撃力上昇、魔法防御力上昇、幸運値上昇、異常状態耐性上昇などなど、付与師と違い戦ってる本人のステータス値を数分間底上げする」
「え! ほ、本当にすごいですね!」
「ただ、踊り子は条件が厳しくてなぁ……特に男の踊り子は野郎どもから『いまいちやる気が出ない』と言われがちでなぁ」
「アー……なるほど……?」
これだから男子は、という案件である。
なんにせよ、職業は今挙げたものばかりではない。
多くの職種を経験して、自分の適性を探す。
本来であれば、冒険者に登録した二年前にやらねばならないことであった。
木剣を持たされ、訓練場に連れて行かれる。
本来は冒険者登録をする者の、最低限の戦闘能力を測るための場所。
冒険者になった時にエルンも戦った相手。
「プチスライム!」
「さて、知ってると思うがスライムは基本的に魔法及び魔法強化した武器でなければ倒せない、危険度黄、難易度5の魔獣だ。さらに色つきになると、特定の属性魔法以外受け付けない危険度橙、難易度7に跳ね上がる。本当ならドのつくド素人が手も足も出ない魔獣だ」
「は、はい!」
物理攻撃で倒すことができるのは、プチスライムのみ。
プチスライムは透明で、核も大きく、防御力が低いのでゼリー状の体を貫いて攻撃がからだ。
プチスライムからレベルアップで進化するとスライムになるが、スライムになると核が小さくなり、攻撃が届きにくいばかりかゼリー状だった体が大きく、粘着質になって物理防御力が上がる。
そのため魔法で表面を焼いて、核を破壊しなければならなくなるのだ。
そのスライムの上位種、カラースライムは魔法耐性まで上昇する。
赤ならば火に耐性があり、水色ならば水に耐性がある、といった具合だ。
レッドスライムならば水魔法に弱いが、都合よく水魔法を持っているかどうかは話が別。
「で、カラースライムの上位が全属性魔法に耐性のあるブラックスライムなわけだが……まあ、それはいい。魔獣に関する知識は追々覚えてもらう。ギルド職員として、冒険者に依頼を振る場合、その冒険者と魔獣の特性を比べて考えなきゃならんから、魔獣知識は必須科目だからな」
「は、はい」
ギルド職員、マジで覚えることが多すぎないだろうか?
これほど大変な職種だと思わなかった。
女神様に『ギルド職員』という項目をマジで追加してほしい。
間違いなくあらゆる職業の上位職——エキスパートである。
「ともかくギルド職員たる者、戦闘は最低限行えなければならない。プチスライムごときに遅れを取るようでは、星緑樹のあるこのギルドでは働かせるわけにはいかん」
「はい!」
「まずは剣! プチスライムを倒してみろ!」
「はい!」
剣ならば扱ったことがある。
ぷよん、とギルマスが召喚したプチスライムを、上段から振り下ろした木剣で倒す。
「どうだ?」
「『剣士見習い』のレベルが2に上がりました!」
「……そ、そうか。まだレベル2か。ま、まあ、今日はあらゆる『見習い』を会得してもらうのが目的だからな……。よし、次は槍だ!」
「はい!」
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