「【限界突破】なんてやばいスキル誰が使うんだ(笑)」と言われて放置されてきた俺ですが、金級ギルドに就職が決まりました。

古森きり

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報告会

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 その日の夜。

「なに? 儂が出かけてる間にそんな奴らが来たのか?」
「はい。けれどコロシアムの方にご案内しました。エルンさんはそのあといかがでしたか?」
「王都の地理を覚えに出かけました。あ、シシリィさんから借りたノート、すごく助かりました! 本当に色々わかりやすく書かれていて、知らないことも多いし……勉強になります!」
「明日からも頑張ってくださいね!」
「うっ……は、はい」

 受付のある場所から、本棚で区切られた奥にあるテーブルとソファー。
 朝礼引き継ぎをやったり、職員の休憩所になっているそこで、エルンは一日の報告会をギルマスに行っていた。
 ギルマスは実際今日迷宮に出張しており、不在。
 その間ギルドのサブマスターの一人であるシシリィが、ギルドの最高責任者代理を務めていた。
 ギルドのサブマスターは三人おり、他に冒険者担当とコロシアム担当がいる。
 ギルド内であれば、実務担当のシシリィは冒険者担当と比べてあまり強い方の権限があるわけではない。
 が、今日はギルマスと共にその冒険者担当のサブマスター不在であった。
 その冒険者担当のサブマスは——。

「で? この街中で襲われたっていうのは?」
「えっと、狙いはタータだったみたいです」
「なるほどね。ラッキーエアリスは珍しい。無理もないね」

 露出が、すごい。
 犬の獣人であるベリーヌは、元白金級冒険者。
 元々はシシリィの母と、ギルマスと三人でパーティを組んでいたらしい。
 けれど魔獣大量発生の時にシシリィの母の魔力が枯渇し、自身の生命力を魔力に変換する禁術まで使って治癒を施し生きながらえたことで冒険者を引退。
 現在の地位に落ち着いたという。
 そして露出がすごい。
 おっぱいがめちゃくちゃ揺れる。
 つまりこの人がシシリィの母の死の原因。
 ベリーヌ自身がそれをひどく気に病んでいるので、誰も触れはしないが、その分ギルマスとシシリィへの忠誠度は誰にも負けない。
 露出がすごい。
 おっぱいとお尻と太ももがムチムチですごい。
 思考がぶちぶち中断させられる露出。

「騎士団のやつらにも困ったもんだな。最近本当に街中の仕事をしやがらないな」
「騎士団のやつらから言わせれば、街に屯ってるゴロツキどもはみんな冒険者崩れだ。冒険者ギルドの方でなんとかしろってことらしい。そういう理屈で、冒険者崩れが冒険者を襲うのに関与したくねぇってのが本音だろう。王都の住民なら対応も違うだろうな」
「はあ? なんだよそれ。職務怠慢だな!」
「俺もそう思うが——冒険者崩れのゴロツキが増えてるのは、冒険者ギルドとしてもちぃと痛い部分でもある。才能がない者を諦めさせて、仕事の斡旋もして、できる限りサポートしてきたつもりだが……」

 それでも冒険者崩れのゴロツキは増える一方。
 そこまでしていたのにも驚いたが、そこまでしてもらってるのにゴロツキになるやつらもどうかと思う。
 結局のところ、ゴロツキになるやつはゴロツキになるやつなのでは。

「ま、明日もタータを連れて行くなら気をつけろよ」
「は、はい」
「父さんたちの方はどうだったんですか? 新しい迷宮が見つかったそうですけど……」
「新しい迷宮……!」

 らしい。
 ギルマスとサブマスが出張るほどの用事とは、新たな迷宮の出現。
 この世界の迷宮は、すべて星緑樹が進化したもの。
 星緑樹は伐採が基本。
 しかし、ギルドの中庭にあるもののように、伐採されずに残っているものも中にはある。
 かなり巨大化した星緑樹は、伐採も難しくなるためだ。
 それはなにかがきっかけで、巨大樹の姿をした迷宮となる。
 ギルドの中庭にる星緑樹も、いつ迷宮進化してもおかしくない大きさだという。
 迷宮に進化すると上へ上へと螺旋状の道ができ、明確な部屋ができる。
 扉があり、壁があり、床がある部屋。
 一際強い魔獣が一体だけ待ち構え、それを倒すと次の層に進むことができる。
 通常ボス部屋。
 ボス部屋は迷宮が成長すれば上に向かって、より強いものが出現するようになる。
 現在確認されている最大迷宮はこの国にあるタガヤ迷宮。
 雲に届くほど巨大なその迷宮は、未だ誰一人最上階のボス部屋に入った者はない。
 上へ上へと成長する迷宮は、いずれ天空にいる女神の敵——創星神タパロンのもとへと続いているのではないか、と言われている。
 その時こそ、女神と“ヒト族”が創星神タパロンのもとへと討ち入り、倒す好機。
 長い長い、戦いの歴史を終わらせる希望。
 そう、迷宮とは創星神タパロンへの“道”にすぎないのだ。
 その新しい“道”の出現。

「ああ、かなりの規模だった。デカさだけならすでに銀級迷宮並みだな。魔獣の強さも5から7と、強い」
「銀級から白銀級冒険者向きの迷宮だったな」
「あ、あの、新しい迷宮って、どこに出たんですか?」

 実は一度も迷宮に入ったことのないエルン。
 自分のやるべきことや、やりたいこともまだ朧げではあるが、それに関してもう一つ思っていたことがある。

 ——迷宮に入ってみたい。

 冒険者として登録後、ずっとトリニィの町のギルドに置き去りにされていたエルン。
 一度も冒険に出かけたことがない。
 戦闘系の職業『見習い』もたくさん習得したが、それ以後レベル上げはしていなかった。
 向いていないのは自分でも自覚しているのだが、それでも冒険者として一度も迷宮に入ったことがないのは気になるところ。
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