終末革命ギア・フィーネ〜転生先が婚約破棄した聖女を追放してザマァされる悪役王子なんだが、破滅したくないので彼女と幸せになります!〜

古森きり

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18歳編

国の終わらせ方(2)

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 言い聞かせるように頭を抱えているが、そうではない現実が目の前に迫っている。
 今その認識を完全に砕けなければ、一ヶ月間の市中引き回しと磔で思い知らされることになるだろう。
 こちらとしても、あまり気分がいいものではないので回避できるのならしてほしい。
 ただ、その回避には彼女がこの現実との齟齬をしっかりと受け止めて、猛省してもらわなければ。

「で、どうします? あなたが民草を顧みなかった結果をどのように受け入れるかにより、我々の対応も幾分変えようかとも思うのですが」
「本来ならあり得ない。民をここまで蔑ろにして反感を買った王族・皇族は、討たれることに意味がある。ヒューバート、他国の王族であるお前が、責務を放棄した皇族を助けてやる義理はないぞ」
「まあ、それは本当にそうなんだけどね。セドルコ帝国には俺が生まれる前から、何回も攻め込まれてるし。今回の件は絶対落とし前つけてもらわないと、俺も気が済まないし」

 ラウトの厳しい意見はごもっとも。
 しかし、自死することなくここまでついてきたのだから、責任くらい取るつもりはあるんじゃない?
 ただ死ぬのが怖かっただけなのかもしれないけどさ。
 それでも生き汚く生きるつもりがあるのなら、生き地獄を生きてもらいたいわけです。
 それは別に一ヶ月間の市中引き回しと磔、という苦悶の凝縮でなくていい。
 ただ、贅沢な暮らしなど二度とできない範囲のものでいいのではないだろうか。
 ステファリーが直接殺した者の家族ぐらいだろう、彼女の命を奪ってもいいのは。

「ど、どうしろというの……私は、皇族よ!? セドルコ皇帝一族の、次期皇帝候補……ざ、罪人ではないわよ!」
「いや、罪人ですよ。少なくともうちの国では侵略者として捕えてますし。ただ、帝国で作られた石晶巨兵クォーツドールに興味があって無傷で手に入れたかったのと、あなたを裁く権利はセドルコ帝国の民にこそあると思ったからまだ殺してないだけで」
「ヒューバート様、帝国産の石晶巨兵クォーツドールはご覧になったんですか?」
「それがまだジェラルドとファントムがバラして調べてるって見てなくて……。持ってきたの俺なのに……」

 ジェラルドはあまりファントムの影響とか受けないでほしい。
 ピュア無垢なままでいてくれ、ジェラルド。
 でも本当、この辺の件が片づいたら一つくらい残ってるであろう帝国産石晶巨兵クォーツドールをしっかり見せてもらおう。
 Cデータで作られた現物だもん、楽しみだね!

「あ、話を戻しますけど、どうします? 黙ってセドルコ帝国代理政権の提案を受け入れて帰りますか? 引き渡すだけでうちの国はセドルコ帝国の新政権樹立に関わり、多分援助を求められるので実質セドルコ帝国の後継国を属国にできるんですけど……援助を断って見捨ててもいいんですよね。セドルコ帝国が今までルオートニスへ行ってきた度重なる侵攻を理由に、どのツラ下げて援助してくださいとか言ってんのって感じで。そうなったら元セドルコ帝国は更なる長期的な資源不足、食糧不足に悩まされることでしょうね。宇宙からの支援も見込めないでしょうし」
「っ……!? な、なぜ」
「え、だって“セドルコ帝国”はなくなるんですよ? 宇宙との関係もリセットでしょう。無関係になった——なんなら嫌われた元第一皇女からの支援を新たな国は受け取れるわけがないですし、その元第一皇女も宇宙でどの程度の地位にいるかも怪しいところ。むしろセラフィ元殿下の性格を考えると、宇宙に新国への支援など申し入れないかもしれませんよね」

 相当プライド高そうだしね。
 と、俺がそこまで言うとデュレオが顔を出してきた。

「ねえ、話を割ってごめんね。気になってたんだけど、ルオートニスへ向かう難民を第一皇子が殺していたと言うじゃない? そのあとの難民たちってどうしてたの? もしかして宇宙で引き取ったりとかしてない?」
「!?」
「え? え、ええ……難民支援として、クリードと私で宇宙の民との婚姻を推奨していたけれど……それがどうしたの?」
「あ、ふーん。そう、やっぱり」

 もういいよ、と俺に笑顔で頷くデュレオ。
 デュレオが言いたいことも、よく理解できました。
 半年という間でそれなりの数のセドルコ国民が宇宙に獲られたのだろう。
 頭を抱える。
 ということは新国となっても宇宙との関わりを完全に断つのは難しいな。
 すでに子を得た人がいたとしても、妊娠六ヶ月かぁ。
 宇宙からの支援はあくまで“ボランティア”や“善意”の範囲内で行われる可能性はあるってこと。
 そして、宇宙側としても国の規模ではなく国民の規模に留められる。
 半年程度の関係性で国へ支援を嘆願できるほどの数は集まらないし、地上民との“サンプル”は十分すぎるしね。
 え? 下手したらラウトが衛星兵器を帝都に落とすのも想定の範囲内だった?
 あるいは——衛星兵器の軌道を自然落下に見せかけて帝都に落とす予定だった、とか?
 それは考えすぎかなぁ?

「一応国民人気を気にしてはいたんだ?」
「私は民のために皇帝を目指していたのよ……! 民のためになることを率先してやったわ、当たり前でしょう! それなのに、それなのに、こんな……処刑だなんて! 裏切りだわ!」

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