20 / 50
看板ライバー茉莉花
しおりを挟む意外といい意味のカードが出たってこと?
驚いていると、唄貝がもう一枚引くと「審判の正位置ですね」と俺の方に差し出した。
「精神的な成長や新しい出会いや再出発などの意味があります。甘梨さんにとってはいい流れみたいですね」
「そうなのか……」
「はい。でも不安定ですね。話し合いをするなら、早い方がいです。でも、織星さんは――『太陽』。うん、見た目通りの人ですね。裏も表もない人です。見たまんまの人です」
あいつ、あのままなのか。
逆にすげぇ。
「相性も悪くないので、エンターテインメントとして恋愛がどうこうっていうのを本人たちがどう思うか、ですかね。正直新しい恋愛の形って言われたらそれはそうだな~、と思いますし」
「確かに。ある意味、今風かもしれない」
会社としても、二人の恋の行方はエンターテインメントとしてリスナーからの指示が広がっている。
織星のアーカイブはツブヤキッタ――で少しづつ共有され、「恋愛相談が面白い」と若年層から支持を集めるのだ。
実はワイチューブは年齢層が上がるほどに広告収入割合がアップする。
そのためぶっちゃけると若年層はあまり直接的な収入源として微妙。
しかし若年層の拡散能力はどんな年代よりも最強。
若年層から上の世代に興味を持ってもらえれば、スパチャも増えるだろうしガンガン拡散してもらいたい。
織星とアマリ……甘梨リンへの恋模様は、少女漫画や恋愛ドラマをリアルタイムに鑑賞している感じなんだろう。
そういうのは「片思いの時が一番面白い」のだ。
アマリと織星の相性も現状も悪くなく、織星自身も裏表のない誠実な男。
しかしながら、そのマジな恋をエンターテインメントとして提供するのはいいことなのか。
「お疲れ様~。唄貝くん、今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
そんな時に、茉莉花がスタジオに入ってきた。
友達の部屋の掃除に行くと言っていたが、着替えて髪型まで変わってる。
気持ち、化粧も変えてきたか?
「あれ、なんか午前中と服やメイクが違うな?」
「うん。思ったより掃除に時間がかかったの。友達の浮気彼氏の証拠写真撮って、弁護士紹介してきれいに掃除してきたの。ガン泣きされて服が鼻水と涙でぐしゃぐしゃになってきたから一度帰って着替えてきたの。メイクは気分転換かな。香水も変えてきたんだけど、椎名さんどお?」
「え? ああ、うん。爽やかでいい匂いだな」
林檎みたいな甘いのに爽やかな匂い。
うん、こういう匂いは好きだ。
「えへへ。そうでしょう? 多分こういうのが好きだと思ったのよね」
「でも、茉莉花はジャスミンの匂いが一番好きって言ってなかったか?」
「……覚えてたの?」
「そりゃ、茉莉花のライバーネームはジャスミンの花が好きだからって言ってたし」
と、言ったら、やけに嬉しそう。
うちの看板ライバーの茉莉花は、ガワもジャスミンの花がイメージ。
白い五枚の花弁の花。
茉莉花はガワも香りもそういうイメージだった。
茉莉花の好きな花だから、そういうガワを希望したのだ。
名前も、だから茉莉花。
「そのくらいは覚えてるさ。茉莉花は大事なビジネスパートナーだしな」
「……あー、うん。そうね!」
なんか今一拍変な間、なかった?
気のせいかな?
「それじゃあ始めましょう。これ、今日の台本」
「え、茉莉花さんが台本作ってきたんですか?」
「ええ、自分の番組だから、台本は自分で作るようにしているの。台本が作れると他の箱のライバーとのコラボでも重宝するから、作り方教えましょうか?」
「いいんですか!? ぜひ!」
唄貝が思いの外食いついた。
茉莉花は後輩に頼られるのも嬉しいらしくて、今日一番嬉しそうな顔をする。
こういう世話好きなところも、大手の箱と何度もコラボする秘訣なんだろうな。
「ところで唄貝くんって呼べばいいのかな?」
「好きに呼んでください」
「じゃあ唄貝くんって呼ぶわね。……わたしも今度占いしてくれる? お金払うから」
「え? あー、自分の番組でもしませんでした……?」
「今度は私生活の……私情! 唄貝くんの占い番組では仕事運を占ってもらったでしょ? でも違うのよ。私生活を占ってほしいの」
「ああ……別にいいですよ」
「茉莉花、なにか悩みでもあるのか?」
え、と驚いて台本を一度テーブルに置きながら聞いてみると、茉莉花は謎にムッとした表情。
仕事のパートナーなんだから、たとえ私生活のことでも仕事に支障をきたしそうなら相談してくれてもいいんだぞ、と言うが「大丈夫よ」と唇を尖らせるた。
あれぇ?
「なるほど」
「え? なにが?」
俺にはわからないが、唄貝は茉莉花の悩みがわかったのか謎に頷いた。
やはり占い師っていうのは普通じゃわからないものまで見えるのだろうか。
心底不思議そうに唄貝を見ていたが、すぐに茉莉花に「ここにSEを入れてほしいの」と台本を指さしてきた。
おっと、いかん。
打ち合わせの最中だった。
「あとはいつも通り字幕を編集で入れてもらえれば、大丈夫だと思うの」
「うん、大丈夫だと思う」
「唄貝君はなにか質問あるかしら?」
「結構アドリブあるんですね……不安です」
「そう? フォロー頑張るわね。動画編集するから、カットしてほしいところとかあったら椎名さんにお願いするといいわ」
「わかりました。よろしくお願いします」
0
あなたにおすすめの小説
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる