21 / 132
全部解決するために
しおりを挟む新興宗教って、前世の世界でもトラブル多かったから当時はよりその辺りの警戒心が強かったとかなんだろうけれど。
まさかその差別が今も続いてるってことなの?
「それも相まって、家格が一番下なのです。千頭山家は霊力の高さもさることながら、祈祷師をどこよりも数多く輩出しているため、我が家以外の六家……善岩寺家、御愚間家、大離神家、安倍家に娘を嫁がせて権威を強化し、今の地位に上り詰めました。もちろん、やはり古来よりこの国を陰陽の力で守り続けてきた安倍家とその分家となる大離神家は立場的にも別格ではありますが……安倍家と大離神家のご当主は愛妻家というか……一途なのが特徴らしく、千頭山家から来た霊力の高いお嫁さんを相当大事にしてきておられてですね」
なるほど、大好きなお嫁さんの実家には頭が上がりづらいわけか。
それを重ねてきて、家の力関係が今のように歪んだ、と。
だって安倍ってあれだよね?
陰陽師の――私でも知ってる超有名なアレだよね?
あの超有名陰陽師の……だよね!?
それが千頭山家に家格で負けるなんて姑息なことをしたとしか思えない。
嫁に出して家格を逆転させるなんて……っていうか、お嫁さんに一途な属性が家系の特性って……!
乙女ゲームの登場人物として完璧か?
「じゃあ、マヨイのばーちゃんは誰にも助けてもらえないの?」
「いや? さすがに安倍家と大離神家から言われたら……とは、思うが……なにかしら策は必要だろう。そもそも、最近は公の場に出ていないから、まずははそこからというか……」
引っ張り出さなきゃいけないってことか。
確かに、あのババアいつどこでなにしてるのか全然わからないんだよなぁ。
「君がそこまで考える必要はないよ。それは僕らのような大人が考えることだから。もちろん、君の今後の生活も」
「はい……」
真智の叔父さん、私の生活まで考えてくれている。
とてもありがたい。
ここまで他人が考えてくれているのに、私は……自分の家のことなのに。
「私……あの、私も……自分の家を立て直したいと、考えています。だから、私……」
家を立て直さないと。
お金がない。
私の年齢でも稼ぎつつ、修行もしつつ、学校にも行きつつ……。
そのために――私は。
「私! Vtuberになろうと思います! だから、どうか私にインターネットをください! 機材や色々は、自分でなんとかするので!」
「「「ぶいちゅー、ばー?」」」
鬼ババアはドケチ。
そして粦にお給料を支払いつつ、自分の生活も守るために……いえ、なによりも破滅エンドを回避するために自分を鍛えなければいけない。
禊は毎日すれば伸びる子であるということはわかった。
でも、秋月に抱き締めてもらった時に私は気づいたのだ。
私……いえ、“私”と“真宵”は母のようになりたくない。
娘の記憶にすら残らないような死に方はしたくない。
そして“私”と“真宵”には、『誰かに認められる経験』が圧倒的に足りていない!
秋月だけじゃ満足できないくらい、私たちの心は承認欲求で溢れている。
無理もない。
一番甘えたい、構ってほしい時に家を立て直さなきゃいけないだの、修行して強くならなきゃいけないだの全部引っくるめて、なおかつ承認欲求を手に入れられる方法!
「はい! 私がVtuberになって稼ぎつつ修行しつつ千頭山家の祈祷師として働くことで、お祖母様に“圧”をかけます」
目を見開かれる。
小学生がそこまで考えるとは、思わないだろう。
だが、すぐに「……?」と不思議そうな顔をされる。
「その、ぶいちゅーばー、というのはなにかな?」
「バーチャルワイチューバーです。ワイチューバー、ありますよね?」
「ワイチューブ……聞いたことはありますけれど……」
よかった、やっぱりワイチューブは存在するんだ。
そしてワイチューブがあるってことはワイチューバーもいるはず!
「我々はそのような界隈と接してこなかったので、関わりがないというか……それがどうしてそうなるのかというか」
「そうですよね。わかります。私もまだちゃんと調べてないんです。だからこそインターネットで調べたいんです。私に今必要なのはインターネットなんです!」
「インターネット……」
めちゃくちゃ真智と真智の家族を困惑させてしまう。
でも私がこうこうこういう事情で、と母の自死のことを含め、でも秋月のことは伏せつつ話すと三人は神妙な面持ちになってから非常にどうしてもいいのかわからない顔で見合わせている。
そうだよね、困惑だよね。
でも、この世界でVtuberをやることで私の破滅フラグは全部破壊できると思う。
「身内ではない我々には、少し難しい。だから我が家に来た時、自由に使って構わないよ。こちらにおいで」
「え、は、はい」
真智の叔父さんに案内されたのは書斎。
そこには私が買ったものよりも、わかりやすくスペックの低いノートパソコン。
マジで調べものならこれでいけそう!
「ちなみに真宵さんちは回線あるのかな?」
「ないです。おとなの人じゃないと契約できないって」
「あ、ああ……」
そりゃあ当然のことですよね。
でも、正直百年前にそこまで世界がめちゃくちゃになっているのに、インターネットやパソコンがあるところがミラクルな気がする。
どうぞ、と電源を入れて差し出されたノートパソコンに、感動した。
「使っていいんですか!?」
「ど、どうぞ。我々は仕事の受注などにしか使わないので……」
「ありがとうございます!」
6
あなたにおすすめの小説
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる