ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい

古森きり

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ゲーム内アイテムが普通にあるらしい

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「危なかったわー! 真宵ちゃんのおかげでなんとかなっちゃった!」
「はい? はい……はい?」

 なに?
 戻ってきた十夜母さんが額の汗を拭いながらにこにこ笑顔で「悪魔になりかけていた悪霊がいたの」と言われた。
 お、え、お……?
 あ、悪霊が、悪魔に……なりかけ!?

「悪霊って悪魔になるんですか……!?」
「悪霊から悪魔になる個体もいるわ。元々人間だった頃から悪魔になっている人もいるけれど、まあ……そういう、才能があったってことなのよね。死んでからさらに拗らせたり、反転巫女の祟りの影響を強く受けて……ってのもあるけれど。もちろん悪魔からさらに悪鬼になって、完全に魂が人間ではなくなり最終的に祟り神にまでなる個体もいるわ。そうなるともう、助けられなくなるのよね」

 そうなんだ……ただ『悪霊』『悪魔』とか種類分けされているだけだと思っていた。
 秋月みたいに、『悪鬼』から『座敷童子』のような神になっている者もいるから、よく考えればそういう進化や変化はあり得るものなのか。
 しかし……死後に人間でなくなってしまうって怖いな。
 自分の魂が変質して、歪んで、人間でなくなる……それが『宵闇の光はラピスラズリの導きで』の公式悪役令嬢、千頭山せんずやま真宵まよいなんだ。
 ゾッとして思わず腕を手でさすってしまう。

「悪霊から悪魔になりかけになってたの?」
「ええ、悪霊になったばかりのが三体だと思って油断していたわ。木の上の方に隠れていたやつがいたの。そいつが悪魔になりかけていた、三メートルぐらいに膨れ上がってたわ。真宵ちゃんが浄化した空気を林に入れてくれなかったら、違和感に気がつかなかったかもしれない。そうなっていたら、上から乗っ取られていたかも……」
「えー! あっぶなーい!」
「そうなのよ! 本当に危なかったの!」
「っ……!!」

 まさか、まさかこの仕事が十夜母が悪魔に乗っ取られて行方不明になる事件だった?
 もしかして、私……十夜のお母さんが悪魔に攫われるのを回避する手伝いが、できたの!?
 だとしたら安心できるんだけど……。
 十夜のゲームのプロフィールに、明確に『何歳の時に~』的な記述がないんだよなぁぁああああ!

「だから本当にありがとう! 真宵ちゃんのおかげよ! こんなに優秀な女の子滅多に見ないわ! 本当に……いつかお嫁さんに来てほしい~」
「お嫁さん……」
「う……いや、あの……」
「わかってるわ! ご家庭の事情もあるものね! でも、もう少し大きくなったらぜひ考えてね!」

 無茶苦茶言い出してるってぇ。
 家の事情で無理です、無理です、とふるふる首を横に振る。

「あ……そ、そうだ、あの……」
「はい? なにかしら?」
「お鈴を鳴らしていた時、私の霊力の乗り方がいつも使っているお鈴とは違うのですが……」
「まあ、そうなの? そのお鈴持ってきている?」
「はい」

 お鈴とお香は持ってきている。
 お香の方は十夜母が火をつけてくれたけれど、一応どちらも学校で配布されたもの。
 それを見せるとすぐに「学校配布のやつね」と頷かれる。

「多分、子ども向けのものだからだと思うわ。新品だし、霊石の割合も少ないのよね」
「れ、霊石……?」

 知らん知らん知らん……いや、知ってる!
『宵闇の光はラピスラズリの導きで』のガチャ回す時の課金アイテムやないけえええええ!
 ちなみに一つ分が霊石、霊石十個分が虹霊石一個と区分されており、霊石一個が五百円。
 ガチャ十一連一回が霊石十個。
 一見すると他のソシャゲに比べると石の数がなかなかお安い、と錯覚するが一個五百円だと思うと結構ぼったくってる気はする。
 そんな一個五百円のそこそこいい値段がする霊石って、アイテムの素材になっているの!?

「ママー、霊石ってなにー?」
「霊力が物質化したものをそう呼ぶの。白い石なんだけれど、霊がたくさんいた場所によくあるのよ。悪霊や悪魔、悪鬼を倒すと、それらがいた場所に落ちているの。未加工のものがこれね」

 と、手のひらにある霊石を見せてくれた。
 今さっき倒した悪霊が落としていったという霊石。
 め、めちゃくちゃゲームすぎる……!
 ゲーム内でもガチャ以外のアイテム――『数珠の腕輪』『数珠のネックレス』『錫杖しゃくじょう』『袈裟』『お鈴』『お香』『経本』『結界石』『霊力回復薬』などが販売されていた。
 アイテムの中にもランクがあり、お高いものは効果も高い。
 でも一個五百円の霊石を使うと思うと、どのアイテムも最低五百円……。
 実際アイテムがなくてもストーリーは余裕でクリアできるし、ガチャを回してキャラクターカードを手に入れてレベルを上げたらそっちの方がお得感があるというか。
 でもアイテムがあるとヒロインの『魅力値』が上がる。
『魅力値』が上がるとストーリーの選択肢好感度が上がりやすくなったり、修行効果がアップしたり、本来好感度が下がる選択肢を選んでも、下がる好感度率が軽減されたりと恩恵が意外にでかい。
 特に下がる好感度率の軽減は、バッドエンド回避に必須と言っても過言ではなかった。
 一応一人の攻略対象につき三周していた私にとっても、一度あのバッドエンドを喰らったあとだと……ねぇ。

「きれーい」
「そうでしょう? 反転巫女の祟り神はたくさんの人を殺してしまったけれど、霊石は唯一の恩恵と言われているわ。霊石を混ぜて作られたものは、霊力をとても通しやすいの。お鈴は特に霊石を混ぜて作るととても広範囲に霊力を広げてくれるから、真宵ちゃんくらい霊力の高い、使い方を知っている子なら安いもので一つ買っておいてもいいかもね」
「どこで買うんですか?」

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