ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい

古森きり

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一緒にデビューを目指す人

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五花いつかお姉ちゃんは霊媒師なんだけれど、お給料のほとんどをおんきょーきざいに使っているんだよ。市内に自分のスタジオを持ってるんだ~」
「へー、収録スタジオを持っていらっしゃるってこと?」
「そうよ! 楽器はまったくできないけれど、楽器の出す音は大好きなの! 音ってすごいのよ。機材によっても出る音が未知数なの! もちろん人間が出す音も興味深いわ。そういう音をmixで最高にするのも面白いの! その『歌ってみた』製作、私にやらせてくれない!? 曲の演奏は知り合いのバンドに頼むから! そういう伝手とかないでしょう?」
「あ……」
 
 確かに、そこまで考えていなかった。
 そうだよね、なんかライブ動画とか見ると『権利関係がー』みたいな話が時々出ていた。
 前世では海外の曲とか、ミュージカルに使われている曲とか、権利を持っている団体から許可が出ないとか、許可を得るために支払うお金がものすごくて払えなかったり、なんか色々あるとかあったな。
 カラオケみたいに簡単に歌えるものじゃないんだっけ。
 カラオケも一曲お客さんが歌うと使用料数十円がなんとか団体に入り、それが歌っている人や曲を作った人に入る仕組みとかなんだったような……?
 そのあたりのことも調べておかなきゃだめだよね。
 デビューしてもいきなり大炎上とか冗談じゃないし!
 
「で、なにを歌いたいの? どんなMVを作りたいとか、考えているものはあるかしら?」
「あ、あの、でも私、こ、子どもだから……」
「そんなもんお姉さんがなんとかしてあげるわよ! 任せなさい!」
「ほ、ほええええ……」
 
 頼もしいがすぎる。
 
「とりあえずアニメーションふうにする! 絵は俺が描くから合わせよう!」
「いいわね! まさか一夜にいと合作することになるなんて!」
「ところで、私のライブ2Dは……」
 
 満月夜ミミタソというVtuberがこの世に爆誕したのは喜ばしいと思うのだが、私の……秋月あきつきマヨの方もどうなっているのか教えてほしい。
 恐る恐る聞くと、一瞬の沈黙。
 え? な、なにその反応。
 ま、まさか自分の立ち姿を優先して、私の秋月あきつきマヨのライブ2Dはまだ作っていない、とか……!?
 
「もちろん作ったぞ! しかし、なかなか動きが鈍くなってしまってな。正直最初から作り直したい」
「どんな感じなのかだけでも見せてもらえませんか?」
「もちろんだが……ガッカリされると悲しい!!」
「ガッカリしないようにします!」
 
 いや、なんだ『ガッカリしないようにする』って。
 そんなん実物見るまでわからないだろうって。
 我ながら意味のわからないことを言っているな。
 でも、まあ、そこは小学一年生だから許されるだろうってことで。
 一夜さんがノートパソコンをスイスイ操作すると、画面が変更されて差し出される。
 一部変更されてはいるが、黒髪ロングの美少女がゆらゆらしていた。
 う、うわーーーーーーーーーーーー!!
 
「わ、わ、わ、わ……わあ、わあ……」
 
 語彙が死ぬとはこういうことか。
 自分の分身が動いて笑顔のまま上下左右にふわふわ動いている。
 それがこんなに嬉しくて、感動して、どうしていいのかわからない気持ち。
 なんて表現すればいいのだろう?
 とりあえず、何時間でも眺めていられる……!
 めっちゃ可愛いいいいいいいいい!!
 
「ガ、ガッカリしたかな!?」
「し、しないです。すごいです。可愛いです。可愛い……!! わ、私、私……こんなに可愛いの……動いている……」
「気に入ったかな!?」
「はい!!」
 
 全力で感動を伝えたくて力強く頷くと、一夜さんもニコー! っと満面の笑み。
 カメラを手前に差し出される。
 私の表情をカメラで写し、笑ってみるとノートパソコンの中の秋月あきつきマヨが微笑む。
 頭を傾け、目を閉じた笑み。
 困った顔をしたり、悲しい顔をしてみたり、怒った顔をしてみたり、頬を膨らませたり、眉を動かしてみたり、ウインクしてみた。
 全部そのまま秋月あきつきマヨに反映される。
 か、可愛い~~~!
 
「どうですか!? どうですか!? か、可愛いです!」
「可愛いか!? そうかそうか! しかし、やはりもっとなだらかに動けるような気がするな。うむむ。もう少し調整したい!」
「ええ~……持ち帰っちゃだめですか?」
「差分を増やしてみたいのだ!」
 
 こ、こだわり~~~。
 なんか職人魂が出ちゃっている。
 まあ、よくなるのならそれがいい。
 仕事に関しては信頼して任せるのが一番だし、お任せしよう。
 本当にプログラミング初挑戦の人がここまで
 
「納期に関してだが、差分を加えてさらに調整をさせてほしい! 必ず納得のいくものにさせてみせる!」
「は、はい! わかりました!」
 
 プログラミングの基礎も知らなかった人が気合いでここまでやったのだ。
 純粋に尊敬するし、本人のやる気の上限がなさそうなので任せて大丈夫だろう。
 そう思えるくらい、一夜さんの『美少女になりたい!』という気持ちは強いらしい。
 その熱意があるのなら、きっと大丈夫。
 今日のところは進捗を見せてもらったってことで。
 
「なんだか、人生の楽しみが増えました! ありがとうございます!」
「な、なにやら大袈裟だな。いやいや、それは俺も同じだ! 君のおかげで絵を描くことで慰められていた夢を諦める気持ちが救われた! 俺は美少女になれるのだ、という希望、夢が現実になろうとしているのは、君のおかげだ! 改めてありがとう! デビューまでまだ時間がかかってしまうだろうが、ともに目指そう!」
「はい!」

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