ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい

古森きり

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夏休みの宿題!(2)

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「それと、りんから真宵が精神的な面も鍛えたいと言っていたそうだけれど」
「あ、うん。そう。この世界では前世の世界とは違って、感情や気持ちが他人にも世界にも影響してしまうでしょう? そう思ったら怖くなって……」
「それほど影響あるものかなぁ? まあ、でも真宵は霊力が高いからアレか。確かに影響は出るか。それに精神的に弱いよりは強い方がいいに決まっているしな」
「うんうん」
 
 さすがは秋月。
 納得が早い。
 でも、とりあえず夏休みドリルを終わらせてから、本格的な修行をしようってことになった。
 前世の記憶のある私にとって生活科以外の勉強は超絶楽勝だからね!
 
「あ、そうだ。秋月のことが見えないと思うのだけれど、御愚間おぐま家のすぐるくんも一緒に修行してもいい?」
御愚間おぐまの……? 構わないけれど、僕が見えない人間がなんの修行をするんだい?」
「霊力がない人なんだけれど、霊能力者になりたい人なんだって。霊能力って開花することもあるっていうから、一緒に修行しようということになったの」
「ほーーーん」
 
 ものすごくどうでもよさそうだな。
 
「しかし……御愚間おぐまか。あの家は弱みを見せるとすぐに食らいついてくるからなぁ。あまり関わり合いになりたくはないんだけれど。まあ、味方になればこの上なく心強くはあるのだが」
「まあ、ねぇ」
 
 あの商売根性逞しいところをそう言っているのだろう。
 実際私は相当すぐるの家族に値踏みされた目線で眺められた。
 あの視線は気分が悪くなる。
 関わり合いにならなくて済むのなら関わりたくはないな。
 
「でもすぐるはいい子なの。霊能力者になるために、一人で寺院に言って開花の修行をしている子なんだよ」
「まったく才能がなければ開かないけれど、それでも頑張るの? 真宵の目から見てその子は開花しそうなのかな?」
「うん! だって前世の記憶に――ゲームの攻略対象として存在するんだもん。その子はゲームの中で努力して、霊能力者になっていたよ」
 
 秋月にはゲーム『宵闇の光はラピスラズリの導きで』のことは話している。
 珍妙な顔はされたけれど、乙女ゲームの説明もしたことがあるから「そうなの」と納得はしてくれた。
 すぐるは霊能力者になれる。
 ゲームの中でそうなのだから、この世界でもきっと霊能力に目覚めることができると思うの。
 
「それなら連れてきて修行を共にするのは構わないよ。でも、それだけ時間をかけなければダメなのなら、その子は多分……もっと霊力の強い者と時間を共にした方がいい」
「どういうこと?」
「開花する才能があっても、霊能力を侮る者の近くにいると開花自体の阻害になる。あの家の者のほとんどは商売人になってしまうだろう? 時折千頭山せんずやま家に来る御愚間おぐま家の商人は皆、心の底から霊能力者を“金蔓”だと思っている。彼らが売るもの自体はよいものだから、我々はそれについてなにも言わないけれど……そういう考えの者から離れた方が開花自体は絶対に早いよ」
「あ……」
 
 すぐるの家の人たちはそういう人たちだ。
 じゃあ、すぐるの家の人たちの近くにいたらすぐるはどんどん才能開花が遅くなるってこと!?
 ええ……それじゃあ環境から根こそぎ変えなきゃいけないってことじゃない。
 
「その話もしてみるね」
「うん。それじゃあ、また明日来るね。宿題頑張ってね」
「うん! 絶対に今日中に終わらせるね。明日、修行してね!」
「わかったよ。明日、また同じ時間に来るね」
 
 っていうわけで今日は私、宿題を終わらせる。
 秋月は隣にいて見守っていてくれたけれど、私の宿題には一言も口を挟まなかった。
 お昼ご飯はりんの作り置きそうめんを食べて午後三時にはドリル完全終了……!
 
「終わったー!」
「早いねぇ。サクサクだったね」
「そりゃあ、前世の記憶があるからね」
「それじゃあ今日は精神的な面を鍛えていこうか。と言っても、簡単な精神修行は問答だけれど」
「問答?」
 
 というわけで始まった精神を鍛える修行。
 問答、というのは文字通り『問いかけに答える』だけ。
 私自身の甘い考えの部分や、霊能力者として生きていくための心構え、覚悟のあり方、状況の判断の基準などを一つ一つ丁寧に教えてもらう感じだった。
 人間関係についても重要だ。
 恨みを買うようなことをしないように、真摯に生きること。
 恨みを持つ者を救うためにどう立ち回り諭すべきなのかなど。
 色々問いかけられて、答える。
 その答えによって起こる可能性をいくつか話されて、なにが最善であるのかを二人で話し合う。
 一応前世がある分、私にはいいだろうと思っていたら、霊能力者として生きるためには今までしなかった思考、覚悟、判断を迫られる。
 よくよく考えれば当然だろう、だって命懸けで戦う道なのだ。
 霊能力者は最前線で、一番前へ出て霊能力を持たない一般人を守る存在。
 結界の外に“戦いに赴く”存在。
 生半可な覚悟では行けないし、感謝もさほどされるわけではない。
 でも悪霊や悪魔は容赦なく襲ってくるし、戦わなければ自分の身も守れない。
 ある程度勝気で、強気で生きていかなければならない。
 
「襲ってくる敵には容赦してはいけない。怨霊はこちらから手を出さなければ襲ってこない者もいるが、悪霊や悪魔は積極的に襲ってくる。向こうが命を狙ってくるのだから、祓われたって文句はないだろう」
「確かに!」

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