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一夜さんと語る
しおりを挟む「夏祭りの浄化のやり方とか、配信で言っても大丈夫なんでしょうか?」
「うん? どういうことかしら?」
「かくかくしかじかで――」
Vtuberとして夏祭りはこういう感じで人の楽しい感情や嬉しい感情を集め、陽の気として渦にして――の事情とか全世界に配信してもいいのだろうか? っていう。
一番確実に知ってそうな真智叔父と十夜母に聞いてみたところ、「別に隠されていることではないわね」とあっけらかんと言い放たれた。
「では、配信してもいいでしょうか。一応動画投稿という形にはなりそうなのですが」
「ええ、いいと思うわ。夏祭りなんてただ楽しめばいいと思っている一人たちに、変なプレッシャーを与えてしまわないかだけが心配だけれど……」
確かに。
一般の人たちにはただ単純に楽しんでもらえたらいい。
そうか、確かに変なプレッシャーになったら嫌だね。
でも、なにも知らないまま楽しみたい人も夏祭りがどういう役割でどんなことが起こるのかを知りたい人にも、わかりやすく伝えられて最後は『そういうわけなので楽しみましょう!』みたいなまとめ方ができたらいいかもね。
「そうね。確かに私たちの仕事がよくわからないからと、ちょっと距離はあるもの。もっと気軽に一般の人たちから不安を話してもらえるようになったら仕事にも繋がる……げふんげふん。ではなく、不安を取り除けるお手伝いができるかもしれないわ」
十夜母、お主も自営業よのぉ……。
「確かに動画で紹介するのはいいかもしれませんね。撮影に協力しますよ」
「おれも!」
「ありがとうございます! 宇治家のおじ様、真智」
真智と真智叔父も参戦!
悪魔祓い師の視点からも解説などがいただけたら助かる。
っていうか、Vtuberとしてデビューしたら『六芒星』の人たちにインタビューしていくのもいいんじゃない?
どんなことをしている人で、どういうことで困っている場合はここにご依頼ください的な紹介動画にするとさ。
できるだけ身バレはしたくない方向でやっていきたいからね、小学生なので。
ある程度名前を売って、鬼ババアが手出しできない知名度を手に入れる。
他の『六芒星』の家にとっても私の存在がそれなりにちょうどいい位置にいたら、より手出ししづらくなると思うの。
『六芒星』の家も仕事が舞い込むきっかけになれば私のことを多少『使える』と思って庇ってくれるかもしれない。
おっし、巻き込もう。
「では、撮影を開始しますね」
「うん。色々な画を撮って撮影できる範囲で撮影しよう」
粦が大きめのトートバッグからハンディカムカメラを取り出す。
十夜母や真智叔父に相談しながら、祭り会場のどういうところを撮影すべきか検討をする。
屋台の並ぶところ、櫓会場、祭り運営事務所テント、救護テント。
十夜母は開場付近を囲う結界について解説をしてくれる。
なんかなんとなく頼んだことなのだがめちゃくちゃわかりやすいし、一般の人にも理解しやすい言葉選びで結界の効能を解説してくれたのですごくいい動画になりそう。
私が質問をいくつかすると、それについても答えてくれたので編集もしやすい。
一応、運営にも撮影の許可をもらったしね。
「で、このライブ2Dなのだがここの動きを滑らかにするように修正した。それとここ、眉毛が動いたり髪の動き、瞬きも細かくしたんだがどうだろうか」
「可愛さがアップしている……!? ええ!? 初めてライブ2Dを作ったんですよね!? こんなにゆるゆるいっぱい動くなんてすごい! 一夜さん天才! もう世界は我々のVtuberデビューを待ち望んでいますよ!」
「だよね!?」
東側の人の少ない休憩所でノートパソコンを開いた一夜さんに修正したライブ2Dも見せてもらった。
前の、少しぎこちなさのあったライブ2Dとはまるで違う可愛い動き。
斜めになると結構傾くし、口の動きも瞼の動きも桁違い。
特に前回動かなかった前髪やもみあげ、触覚まで動くようになっている。
こんなに色々な動きができるようになっているなんて……一夜さん自身のスキルが急成長している!
本当にすごくない!?
私がVtuberの話をしてからここまで素晴らしいガワを完成させるなんてすごすぎるでしょ!
夢のためのにここまでできるなんて努力の天才!
「では、こちらのデータを納品ということで!?」
「は、はい!」
「で、で? ど、どうする? で、デビュー日……」
「そ、そうですね。ど、どうしましょうね」
二人してそわそわし始める。
だって、ライブ2Dが完成したらさぁ、次はデビューでしょ?
歌みた用のイラストも完成しつつあるらしいから、歌みたの収録と編集とかして……それが完成したら投稿の予約して……。
いつでもデビューできるってことでしょ?
このVtuberという存在のない世界に、私と一夜さんという新たなる存在が降臨することになるのよ?
は、はあはあ、緊張してきたぁーーー!
「とりあえず歌みたを完成させませんか? それでスケジュールを立てましょう……!」
「なるほど! そうだな!」
「それから、グッズとかも作りたいですよね。収入源のために」
「なるほど! いいな、グッズ! アクリルスタンドとかどうかな!?」
「王道ですね! キーホルダーとか、缶バッチとかもいいと思うんですが……」
「いいな! それ用のイラストも描き下ろそう!」
「よろしくお願いします!」
さすが一夜さん、話が早い。
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