89 / 132
私も一夜さんもシゴデキじゃない?
しおりを挟むそれはそれとして本日の作業を始めることにしよう。
最初の一本目に、ライブ2Dで実況解説を入れる。
カメラヨシ、マイクヨシ、ライブ2Dの準備も万端。
喉を潤すお水、休憩用のポテトチップスも完備。
いよいよVtuberらしいことができる!
まあ、普通に文机に乗ったノートパソコンで座布団に座っての収録になるから、腰痛が不安なんだけれども。
そこは若さに期待しよう。
あと、心配なのはノートパソコンのスペック。
重くなっていきなり終了したら怖いなぁ。
そんな不安を抱きつつ、収録開始。
「どうも~、秋月マヨです! 本日は私が浄化依頼された林の浄化の様子を実況解説したいと思います。収録自体は春なんですけれど。まず、この林について説明していきますね。この林はとある名士の別邸の裏にある林で、中心部に悪霊がいると言われています。私は修業も兼ねてこちらの林の浄化をさせていただくことになったわけですが~」
事情の説明と実況。
実はこの辺りの木の陰に人の顔が映ってたんだけれど、前回お祓いしてから消えた。
まあ、大元の悪霊も昇天させたから、他に映っている霊はあまり影響がないとは思うのだけれど。
それでも画面の中に入り込んでいる残滓はひねり潰していく。
「まずは林の外周を少しずつ確実に浄化していきます。これには中心部にいる悪霊の力を弱める効果があるんですよ~。では、やっていきますね」
動画内の音声を流す。
音声だけなら私の声だしね。
まあ、ライブ2Dの私は黙して眺める。
お経のシーンは長いので、ゆるくカット。
見ている方としては飽きるものね。
でもせっかくライブ2Dの体を手に入れたのだから、浄化のお経なども読み上げて投稿するのもアリかも?
動画サイトにもそういうのあったもんね。
安眠用動画にお経とかあったはずだもの。
はあ、はあ、やりたいことが結構いっぱいある~。
お経動画なら今日収録できるもんね。
まあ、でも投稿用が最優先。
林編をシリーズ化して、サクッとライブ2D収録してしまおう。
「これでこの日のお祓いは終わりです。また明日、この隣の区域をお祓いいたしますね。それでは、また別動画でお会いしましょう! 高評価、チャンネル登録、よろしくお願いしま~す」
一本目は無事に終了。
ライブ2Dの収録も行った一本目を見直す。
うん、変な気配もない。
全体を通しても陰の気は感じないし、霊の気配もないし、安全に見られそう。
まあ、この動画を見て“怖い”という感情を抱いて霊を呼び寄せてしまうかもしれないけれど。
でもこの動画、そんなに怖くないと思う。
それでも怖い、という感情ばかりは個々の持つものだから。
ふむ……安心してもらうためにお祓い動画を投稿するのはいいかも。
先に撮っておこうかな。
右に傾けば左に傾く我が分身。
ニコーっと笑うと画面の秋月マヨもニコーっと笑う。
私よりも少し明るい髪色だから、笑顔もすごく明るく見える。
それに和服も可愛い。
「せっかくかわいいガワにしてもらったんだし、全身出してお経読もう! 背景なににしようかな~。……ハッ……! 背景……!」
慌ててメールを開く。
そして一夜さんに『すみません、待機画面とお部屋背景も依頼してもいいでしょうか?』と依頼メール。
クッ、忘れてた。
ガワに気を取られ、それ以外のものを忘れていたぁ!
それ以外のもの――待機画面と、背景画像。
部屋である必要はないのだが、あるのとないのでは便利さが格段に違う。
本当ならBGMもほしいところだが、そのあたりも改めて相談してもいいだろうか?
一応歌みた動画の音源も依頼中なのだが、なんでもかんでも一夜さんにお願いしすぎだろう。
BGMは自分で探して依頼しようかな?
「でもうち、ネット繋がってないしなぁ……」
遠目になってしまう。
うちのパソコン、ネットに繋がっていない。
スマホの電波は繋がっているんだけれどね。
このスマホもネット環境対応ではない。
それは別途契約が必要だからね。
はあ、早くおとなになりたい。
ネットが契約できるおとなに……!
「あ、一夜さんから返事来た。はや~い」
さすがVtuber関係に反応がいい。
かくかくしかじか、配信で必要になるのにお願いし忘れていました、という旨を返信すると、これまたすぐに『いや、発注を受けていたのにガワ製作に夢中で描いていなかった!』という返答。
え? 私ちゃんと発注してたっけ?
メールを遡ってみると、確かに発注していたメールが残っていた。
指示書的なものもちゃんと送っているじゃああーりませんか。
え? 私ちゃんとシゴデキだったじゃないのよ……!
『すぐにとりかかろう。専用BGMの方も先方に進捗を確認してみるので、待っていてほしい。納期を指定していなかったので、もしかしたらもう完成しているかもしれない』
『わかりました。よろしくお願いします』
というメールに返信。
なんと、ちゃんとBGMも発注しておいてくれたらしい。
一夜さんもめっちゃシゴデキだ。
まあ、背景やBGMが完成するまで林編を黙々ライブ2Dで収録していけばいいでしょう!
よーし、気合を入れ直して、編集作業、やるぞーお!
1
あなたにおすすめの小説
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる