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第二章:大根令嬢、お隣さんと旧交を温めるの巻
②
しおりを挟む近くのテーブルに視線を落とす。置いてある貴族新聞では、先日の事件のことが報道されていた。
『舞踏会へ侵入者 エインズワース伯令嬢が負傷』『警備をかいくぐっての計画的犯行か』――
見出しだけだとひやりとするが、父や兄が聞いたところでは、主にレナートに対して非難が集まっているそうだ。思い切り安心したのは言うまでもない。
「お嬢様がさんざん冷たくされてたの、他の方達も見ておられたんですね! 爵位が上だから何も言えなかっただけで」
「まあね。ていうか、わたしも注意した方が良かったんだろうけど……身内に怒ってもらった方が効くよね、うん」
今までの所業にプラス、実際にカレンが怪我をして、さらに非公式だが王弟殿下直々に叱られたのだ。身分が高いといろいろな特権を享受できるが、その分周りから向けられる目も厳しい。
さすがにお咎めナシとは行かなかったようで、ダニエルが直談判に赴いて、その日のうちに『ちゃんと反省するまで接近禁止』という対応がまとまった。
しかし、当の本人があの調子なので、まだまだ時間がかかりそうだ。もしかすると、本当に婚約破棄できるかもしれない。前なら、そんなことになったらと思うだけで、怖くてたまらなかったけれど。
(むしろドンと来いよ、モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!)
あれだ、こぼれた種がアスファルトなどの隙間で芽吹いて、そのまま元気よく成長したの。いわゆるド根性野菜というやつが、前世のカレンは大好きだった。逆境にめげず逞しく生きる姿がカッコ良くて、あんなふうになりたいなぁと思っていたのだ。
(特に大根が好きだなー、アブラナ科は花も可愛いし。生でも茹でても煮ても焼いてもおいしいし……、あ。)
味がしみしみのおでんを思い出し、ついついニヤけてしまってから我に返る。ついさっきまで神妙にうなずいていたコレットが、気付けば大変嬉しそうな顔つきになっていた。何ですか、そのきらっきらした目は。
「……あの、コレット? どうかした?」
「んふふふふ、なんでもありませんよー! おケガは大変でしたけど、最近のお嬢様はうんと明るくなられてうれしいなあって! これも殿下のおかげですねえ、二日と開けずにお手紙下さるし~」
「ああ、そっちか。そうだよねえ、絶対お忙しいのに」
それこそさっき届いたばかりの、きれいで読みやすい字が並んだ文面を思い出してうなずく。
あれから捜査の進展はこうだとか、その後の体調がどうだとか、いろいろと気を遣ってくれるのだ。目の前で怪我をされたのもあるだろうが、つくづくマメな人である。
そのうちお礼をしなくちゃ、と考えていた時。すぐそばの窓が、外側からこつこつ、と鳴った。
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