4 / 379
第一章:
目覚めたら負け犬令嬢②
しおりを挟むそのゲーム、『エトワール・クロニクル』(通称エトクロ)というのは、ちょっと異色の恋愛シュミレーションものだった。
基本はファンタジーな世界観で、主人公が恋と冒険を通して成長していくいわゆる『乙女ゲーム』というやつなのだが。何はさておき最大の特徴は、ストーリーが超ド級に複雑ってことだ。
メインキャラの生い立ちとか性格だけでなく、世界観から周辺各国の情勢、それぞれの持っている歴史、文化や風土の特徴などなど、とにかく綿密に設定が盛り込まれている。
さらにRPG方式でレベル上げ、主人公が属することになる陣営の指揮なんかも出来、戦闘の結果でストーリーが変わってくる。うっかり選択をミスると、落としたいキャラといきなり死に別れる、なんて情け容赦ない展開も十分ありうる。そんなシビアなシステムとがっちりした背景設定があいまって、大河ドラマも真っ青のめっちゃ重厚な作りになっているのだ。
当然やり込み甲斐があって、友達にイチオシされて遊びはじめたらあっさりハマってしまった。今や立派に推しまでいたりする。……ただし、攻略対象の誰かではないけど。
「……うーん。こうやって直に見ると、ホントきれいな顔してるなぁ。この子」
誰もいないのをいいことに正直につぶやいて、自分のほっぺをぷにぷに引っ張り、ついでににこっと思い切り笑ってみる。完全なる現実逃避だが、もちろん鏡の中の超絶美少女も同じ仕草を返してくるわけで。
「う゛っ……!」
思わずうめいて口元を覆ってしまった。なんだこれ可愛すぎる。
この、何故かわたしのガワになってる彼女、デフォルト名だとアンリエット。もちろんエトクロに登場するキャラクターの一人であり、プレイヤーの協力者にしてライバルであり、ついでにわたしの推しキャラでもある。
長いサラサラの銀髪と明るいすみれ色の瞳がきれいで、バランスよくいろんな魔法を覚える万能型。ついでに言うなら攻略対象のひとりである王太子レオナールの婚約者という、若干設定盛りすぎじゃなかろうかってくらいに完璧な子だ。しかも実家は侯爵家だし。
ただ、大抵の乙女ゲームのライバルと同様、主人公の恋が実ることイコール彼女の失恋なわけで。そしてエトクロの場合、そこからの転落っぷりが凄まじい。
(婚約破棄はまあいいとして……いや、良くはないけど、そのほかに不幸が重なりすぎでしょ)
ついついいつものクセで頬を膨らませると、鏡の中でも以下略。元の顔立ちがきれいだと、そんなマヌケな表情をしても断然可愛いのがズルい。
34
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど
有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。
私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。
偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。
そして私は、彼の妃に――。
やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。
外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる