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第六章:
竜(+α)は無慈悲な夜の女王⑧
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カナンさんはさっきまで、ここからちょこっと東に行った山にある洞窟にいたらしい。元は鉱山だったけど、掘っていくうちに水脈にぶち当たって坑道が水没したために閉山になったところで、人が入れないから生け捕って幽閉するのにちょうどよかったみたい、とのことで。
彼ら海竜は水さえあれば元気だけど、その一方で与えられたのが海水でなければ本領を発揮できない。だから捕まった時点で命を盗るのが目的じゃないとわかったので、それとなく訊いてみたら、
「わりとあっさり教えてくれたんだよねえ。冥土の土産にって言って」
「魔王って、こないだランヴィエルで暴れたやつ!?」
「ううん、もっと古いやつ。グローアライヒの王家が倒した方さね」
「あ、こっちにもいたんだ」
「うんと昔ね。あたしたちも話で聞いただけ」
魔王というのは読んで字のごとく魔族の王様だ。エトクロ世界にはいわゆるモンスターが存在しているが、その数が一定以上に増えると彼らを率いてまとめるリーダーが現れるのをそう呼んでいる。
つまり不定期に別の個体が出現するから、理屈の上では複数存在してもおかしくないわけで。でもこっちにいたというのは初耳だ。
「三百年前に王家の先祖が移り住んで来たとき、悪さしてたのを封印して国を作ったんだって」
『なんでやっつけなかったの?』
「うーん、よくわかんないんだよねぇ。私も小さい頃おばーちゃんに聞いたんだけど、そこらへんがはっきりしなくて」
倒せなかったのかあえて倒さなかったのか知らないが、とりあえず生かしたまま異次元に封じられた、らしい。
「じゃあカナンさんを誘拐したのと、他所で山ほど魔力の高い生き物をさらって閉じ込めてたのって……」
「多分だけど、生け贄? 必要なのは命じゃなくて魔力そのものらしいけど、根こそぎ取られたらどのみち死んでしまうさぁ」
「うわあ……」
『まーっ!! まあまあっっ』
マンドラゴラが肩をぺちぺち叩いてきた。そうだ、ゲッソリしてる場合じゃない。何でそんな大博打に出たのかは置いといて、とにかく皆さんを保護した上で捕縛のち尋問しないとヤバいことになるのは火を見るより明らかだ。
「よし、まずはカナンさんを海まで連れてくぞ!!」
「おーっ!!」
景気のいい掛け声のもと、よいしょと海竜さんたちを背負って通路をダッシュする。とにかく早いとこ合流しないと。
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