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第二章:
ティールームで昼食を②
しおりを挟む「ところでショウ、なぜそんな後ろにいる? 遠慮しなくていい」
「い、いえ、これはその……単に居たたまれぬと申しましょうか……」
「……なにかあったのか、二人とも」
「なに、大したことではない。君の人柄がよくわかったし、俺は知り合えて嬉しいぞ。元気が出たら是非話がしたい!」
「本当に申し訳ない……!!」
殿下二人に心配されたり励まされたりして、いまだに扉から入れずにいるショウさんが全力で謝っていた。どうかしたらいつかのごとく土下座でもしかねない恐縮っぷりだ。
……あのあと、我にかえって冷静になった上でマックスさんの正体を聞かされて、一時はそれこそ大理石の像かなにかみたいに固まっていた我らがリーダーである。みんなから代わりばんこにぺちぺちほっぺたを叩いてもらってようやく正気に戻ったけど、そこからは謝罪の嵐が止まらなくなったわけで。真面目な人って大変だ。
「いやほら、わたしも知らない人と一緒にいたりして紛らわしかったわけだし。何もショウさんだけそんなに落ち込むことないんじゃないかなぁと」
「いえ、断じてそのようなことは!! 自分が予断をせずもっと落ち着いてことに当たっておれば、このような恥をさらすことは……!」
「だからもういいんですって、誰でもカッとなってやらかすことくらいありますよ。わたしは個人的にちょっと得したなー、と思ったくらいですし」
「は、……そ、そうなのですか」
「はいっ」
なにってもちろん、隠しキャラに会えたことと、ござるが聞けたことである。しかしその辺をはっきり口に出すと、ただでさえ中の人のせいで走りがちな残念美人路線がさらに確定されてしまう気がする。とりあえず黙っておこう、そうしよう。
「いやー、よかったよかった。リーダーてんで自覚しないから、一時はどうなることかと思ったよ、うん」
「本っとにもう手がかかるんだから……まあ結果オーライだけど」
「まあまあ、細かいことは気にしない! とりあえず若旦那、初ヤキモチおめでとー!! あれ作ろっか、東邦でおめでたいときに食べるっていう赤い豆の入ったご飯!」
「勘弁してくれ! いや、そういうものではないと何度言えば……!!」
「……えっと、なんかあったの? みんな」
「い、いえ、おれにもよく……」
何やら盛り上がる『紫陽花』メンバーを眺めて、いまいちついていけてないひと同士で首をかしげる。そういやスコールくん、さっきに比べてだいぶ顔色が良くなってきたな。声もはっきりしているし、もう大丈夫そうだ。
「はいはい、相変わらず仲が良くて何よりだね。ところで殿下、さすがにもう出発しないと約束に間に合わないよ? まさか忘れてたりなんか」
「……、大丈夫だ、覚えている」
「今のタメはなんなんすか、ちょっと」
ふっと一瞬黙ってから返事したもんだから、またしてもアルバスさんのツッコミが入ってたけど。確かに殿下ことレオナールさん、襟つきのシャツにベストに細身のズボン、ふんわり結んだ幅の広いタイという、比較的カジュアルだけどどこかに出掛けるような格好だ。いつものごとくよく似合ってますね、と思いながら見ていたところ、ちゃんと説明を入れてくれた。
「これから山の上の公爵邸に訪問予定だ。先日の事件の報告と改めて礼をしに行くことになっている」
「ああ、あのお城みたいなお屋敷ですか? いいなぁ、わたしたちの分までよろしくお伝えしてくださいね」
「いや、それが、……公が是非とも、『紫陽花』の一同を招きたいと言っておられて。ついうなずいてしまったんだが」
「えええ!?」
突然の提案、いや事後報告に仰天した。まじですか。
「……やはりまずかっただろうか」
「とんでもないです! むしろありがとうございますっ」
「わーいやったー! 憧れのお城もどきに行ける~」
「でもこの格好で大丈夫? いや、昼用のドレスなんか持ってないけど」
バンザイして喜ぶわたしとリラのとなりで、いたって現実的な心配をしていたフィアメッタだったんだけど。ありがたいことに、そのへんに関してはマックスさんがすぐさま答えをくれた。相変わらずよく通る、朗らかないい声で。
「問題ない、叔父上のかねてからのご要望だからな。ぜひ後輩たちと寛いで昼食を共にしたいものだと、常々言っておられたんだ」
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