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幼少期の章
拒否権は元々なかったりするクソゲー
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キーンと第一王子は異母兄弟。
キーンの母親はそれはもう……マイルドに表現すれば、恋多き女だったそうな。
え、そんな個別ルートで『俺にはあの母親の忌々しい血が流れてるんだよ』とかシリアスなスチルだして語ってくるやつをこんなに軽く言っていいの?と思ったけれど本人が「俺は母親を淫魔の類じゃないかと思ってた」と真顔で言っていたので大丈夫なのだろう。
俺はどんな顔をすればいいのか分からなかったよ……笑えば良かったのだろうか。笑ったら兄上が悲鳴を上げる気がした。
ちなみにそのシリアスなスチル中にセーブするとゲームが落ちるからその辺の話はよく覚えている。
キーンは5歳で城入りするのだが、父親の定かではないキーンが城入りできた理由は瞳が王族しか持たない色だったからという王道な話。王族の瞳は金色。
ぶっちゃけここでもクソゲーらしくキーンと第一王子の金色がなんとなく違う。たぶんカラーコードとか違うと思う。顔に合った色に修正させたんだと思うけど『同じ目の色だ!』というまるでヒロインの目が節穴みたいになってしまった悲しい事件が起きた。
王は自分の不貞の後始末をちゃんとしているということにはなるのだが、しかし問題が生じた。
キーンを王族に迎え入れたことによって、孕めば我が子が王族入りワンチャンあるという前例が出来てしまったのだ。
そして、何を考えているのか分からない第一王子ではなく、まだキーンの方がとっつきやすいということで女の子がたくさん群がるようになり……愛を知らない系ありがちチャラ男が爆誕。
まあ、そりゃあそんな過去を抱えていればそうなるよな。とゲーム中は思ったし、正直同情もした。
キーンルートで「お?もしかして良ゲーだったのか?」と思った俺を殺してほしい。
キーンルートでは両親と兄と和解する。
キーンの葛藤と『色狂いの妾の子』と『自分のことが好きでもないのに寄ってくる婚約者と子種目当ての女たち』『王族というプレッシャー』などなど様々な問題やコンプレックスが出てきて散々寄り添わせて同情させてくるのに
最後キーンが考えすぎて勝手に妬まれていて嫌われていると勘違いしていただけでした!女たちはともかく家族たちはキーンのことちゃんと愛している良い人たちだったのでキーンの被害妄想だったよ!みたいになるのだ。
いくらセーブデータが消えても動じなくなっていた俺でもゲームを枕に投げた。
本当に腹が立つほどラストに出てくる陛下と后妃と第一王子。かなりゆるい。とにかくゆるい。
ゲーム機をもう一度投げ捨てたくなるほどにゆるい。
キーンとプレイヤーをバカにするな。
まあ、実物がどうかはわからないけど。
そもそもチャラ男だが実は頭がキレるなんて設定があるのに、よくもまあ被害妄想で勘違いしていたよ!とかそういうシナリオに出来るな。嫌いなのか?キーンが。公式はキーンが嫌いなのか?と何度思ったことか。
さて、ここまではゲームのキーンの話。
「俺が王になれる可能性が低くない。俺のことが嫌いであろう第一王子はともかく、あのゆるふわな陛下と后妃は恐らく何にも考えていない。仮にもし「俺が王になる!」と宣言したらあの二人は「がんばれ~」と言うに違いない。これは由々しき事態だ」
「安心するといい、キーン。恐らく第一王子も応援してくれるだろう」
「なにも安心できねぇ」
実物のキーンはどうやらちゃんと頭がキレるらしい。
自分の立場と周りからどう見られているのか、嫌になるほどよく分かっている。
だから、まず吠えた。「俺に王位継承権を与えてくれるな!」と。
本来周りの人間から『お前のような穢れた子のせいで王族が穢れれしまっただろう!』とか言われてコンプレックスを抱くであろうところを誰からも言われず、寧ろ自分が王になれる可能性の高さにセルフツッコミしている状況だ。なんだかとても不憫だ。
あれ、でもあのゆるゆる家族はともかく、幼少期にそういう罵倒を散々浴びせられてきたはずなんだけ……あ、罵倒してたの悪役令嬢か。『忌子の分際であの方と同じ空気を吸わないでくださる?』とか言ってたり。幼少期の回想で悪役令嬢がそれはもう罵倒するものだから何故婚約解消されないんだろうと思っ……
いや。俺やん。
俺が罵倒してないからキーン様がセルフツッコミで自分の立場と周りの反応の温度差で荒ぶってるんじゃん。
……い、今からでも言ってあげた方がいいんだろうか。
無理だろうけども。なんだか申し訳ないことをしてしまった気がする。
ごめんな、ヒロイン。
俺が男の娘な悪役令嬢なばっかりに兄上と第二王子のルートの重い過去や乗り越える試練も恐らく特にない淡々としたルートになってしまった。
あれ?これ良いことでは?
顔だけがぼんやりしているヒロインに思いを馳せていると、情緒不安定第二王子が大袈裟に頭を抱えだした。すまんヒロイン。キーン様はどうやら情緒不安定にジョブチェンしたみたいだ。
「王族だぞ!? 王族! 色情魔から生まれた子を受け入れるんじゃねぇよ人が良すぎるだろどういうことだ! 受け入れて不自由なく育ててくれたことに感謝はしているが、もう少し自分たちの血筋の尊さを重んじてもいいだろ!?」
「複雑な心境でございますのね」
「あの第一王子も第一王子だ。俺のことをじっと見るだけで声すらかけてこねぇ。嫌味の一つも言ってくれよ。そうでなくとも睨んでくれれば分かりやすいものを、睨みもしてこないのはどういう心境なんだあれは」
何も考えてないと思う。
でも第一王子に関しては俺も攻略しても結局なんなのか分からなかったので何も言えることはない。
あれ、兄上は第一王子と同い年のはずだけど。
「そういえば、お兄様は何故同い年の第一王子のご学友ではなく2つ離れたキーン様のご学友に?」
「言わなかったっけ。キーンとQちゃんて同い年なんだよ」
「知っておりますが」
……え。まさかそれだけの理由で?そんな融通きくの?
というか、何とも言えない気持ちわるさを発揮しないでほしい。
「いや、ジュタは第一王子が苦手なだけだ。まあ、何を考えているか分からないやつだから関わるのは誰もが嫌だろうさ。はっきり言うと鑑賞用にしか向いてねぇ」
観賞用にしか向いていない第一王子とか可哀想なこと言ってやるなよ。
何を考えているか分からない、ねえ。
兄上が唯一使える魔法は読心魔法だったはずだけど?
ちらりと後ろの兄上に目線を向けるとスッと反らされた。
はいはい、黙っておいてあげますよ。
「何事もなければ順当にあれが王だ。だが、何を考えているか分からないということは何をしでかすか分からねぇということだ。だから、あれがちゃんと王になれるように俺の評価を下げることにした」
「それが、俺を婚約者にした理由ですか」
「ああ。俺がお前に勝手に一目惚れして無理やり婚約者候補に居れたんだ。もしお前が男だとバレても馬鹿な第二王子が傷つかないように女装するしかなかったということになるだろうから、あのゆるい陛下のことだお咎めなしだろうよ」
理にかなった暴論はおやめください。
まあ確かに妥当な理由だ。
しかも狙われても俺には兄上というバーサーカーがいるから守るのも簡単。
そして俺が男児であることを知っているのは、両親と兄上を除いて国王陛下と后妃様のみ。
箱入り娘だとすればセルーネ家の神秘と勘違いするであろう他家が首を突っ込んでくることもない。
「そして俺ほど可愛らしくて美しい淑女は他に居ないから女除けにもなる、というところでしょうかね」
「そういうことでいい」
まったく、最初からそう言ってくれれば協力するものを。
というか10歳が持ちかけてくるような交渉じゃないだろこれ。
「Qちゃん。お兄様は反対するぞ」
「俺と一緒にいる機会が増えますよ」
「賛成しよう。キーン、Qに何かあったら5倍にしてお前に返す」
「……お前の兄を何とかしておけ」
「キーン様のご学友でしょう?」
どうにもならねぇよ。
さて、断る理由はない。
そもそも拒否権はない気がしなくもないけど。
前世に女装はした事がないし、求められるのは完璧な淑女だ。
何ともまあやりがいがある暇潰しだ。
「協力してあげてもいいですよ。ただし、報酬はいただきます」
「ああ、お前の兄の人格更正以外なら受け付けよう」
散々な言われようだな。
兄上はこれでも外面は完璧なんだからな?
俺さえ関わらなければ爽やかな腹黒騎士なんだぞ。
俺さえ関わらなければ。
そんなことはどうでもいいので、俺はなかなか離してくれない兄上から降りて、頭を下げた。
「新作ドレスとウィッグの予備をください」
「欲があるのか無いのかよく分からないなお前は」
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最後キーンが考えすぎて勝手に妬まれていて嫌われていると勘違いしていただけでした!女たちはともかく家族たちはキーンのことちゃんと愛している良い人たちだったのでキーンの被害妄想だったよ!みたいになるのだ。
いくらセーブデータが消えても動じなくなっていた俺でもゲームを枕に投げた。
本当に腹が立つほどラストに出てくる陛下と后妃と第一王子。かなりゆるい。とにかくゆるい。
ゲーム機をもう一度投げ捨てたくなるほどにゆるい。
キーンとプレイヤーをバカにするな。
まあ、実物がどうかはわからないけど。
そもそもチャラ男だが実は頭がキレるなんて設定があるのに、よくもまあ被害妄想で勘違いしていたよ!とかそういうシナリオに出来るな。嫌いなのか?キーンが。公式はキーンが嫌いなのか?と何度思ったことか。
さて、ここまではゲームのキーンの話。
「俺が王になれる可能性が低くない。俺のことが嫌いであろう第一王子はともかく、あのゆるふわな陛下と后妃は恐らく何にも考えていない。仮にもし「俺が王になる!」と宣言したらあの二人は「がんばれ~」と言うに違いない。これは由々しき事態だ」
「安心するといい、キーン。恐らく第一王子も応援してくれるだろう」
「なにも安心できねぇ」
実物のキーンはどうやらちゃんと頭がキレるらしい。
自分の立場と周りからどう見られているのか、嫌になるほどよく分かっている。
だから、まず吠えた。「俺に王位継承権を与えてくれるな!」と。
本来周りの人間から『お前のような穢れた子のせいで王族が穢れれしまっただろう!』とか言われてコンプレックスを抱くであろうところを誰からも言われず、寧ろ自分が王になれる可能性の高さにセルフツッコミしている状況だ。なんだかとても不憫だ。
あれ、でもあのゆるゆる家族はともかく、幼少期にそういう罵倒を散々浴びせられてきたはずなんだけ……あ、罵倒してたの悪役令嬢か。『忌子の分際であの方と同じ空気を吸わないでくださる?』とか言ってたり。幼少期の回想で悪役令嬢がそれはもう罵倒するものだから何故婚約解消されないんだろうと思っ……
いや。俺やん。
俺が罵倒してないからキーン様がセルフツッコミで自分の立場と周りの反応の温度差で荒ぶってるんじゃん。
……い、今からでも言ってあげた方がいいんだろうか。
無理だろうけども。なんだか申し訳ないことをしてしまった気がする。
ごめんな、ヒロイン。
俺が男の娘な悪役令嬢なばっかりに兄上と第二王子のルートの重い過去や乗り越える試練も恐らく特にない淡々としたルートになってしまった。
あれ?これ良いことでは?
顔だけがぼんやりしているヒロインに思いを馳せていると、情緒不安定第二王子が大袈裟に頭を抱えだした。すまんヒロイン。キーン様はどうやら情緒不安定にジョブチェンしたみたいだ。
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「あの第一王子も第一王子だ。俺のことをじっと見るだけで声すらかけてこねぇ。嫌味の一つも言ってくれよ。そうでなくとも睨んでくれれば分かりやすいものを、睨みもしてこないのはどういう心境なんだあれは」
何も考えてないと思う。
でも第一王子に関しては俺も攻略しても結局なんなのか分からなかったので何も言えることはない。
あれ、兄上は第一王子と同い年のはずだけど。
「そういえば、お兄様は何故同い年の第一王子のご学友ではなく2つ離れたキーン様のご学友に?」
「言わなかったっけ。キーンとQちゃんて同い年なんだよ」
「知っておりますが」
……え。まさかそれだけの理由で?そんな融通きくの?
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観賞用にしか向いていない第一王子とか可哀想なこと言ってやるなよ。
何を考えているか分からない、ねえ。
兄上が唯一使える魔法は読心魔法だったはずだけど?
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「そして俺ほど可愛らしくて美しい淑女は他に居ないから女除けにもなる、というところでしょうかね」
「そういうことでいい」
まったく、最初からそう言ってくれれば協力するものを。
というか10歳が持ちかけてくるような交渉じゃないだろこれ。
「Qちゃん。お兄様は反対するぞ」
「俺と一緒にいる機会が増えますよ」
「賛成しよう。キーン、Qに何かあったら5倍にしてお前に返す」
「……お前の兄を何とかしておけ」
「キーン様のご学友でしょう?」
どうにもならねぇよ。
さて、断る理由はない。
そもそも拒否権はない気がしなくもないけど。
前世に女装はした事がないし、求められるのは完璧な淑女だ。
何ともまあやりがいがある暇潰しだ。
「協力してあげてもいいですよ。ただし、報酬はいただきます」
「ああ、お前の兄の人格更正以外なら受け付けよう」
散々な言われようだな。
兄上はこれでも外面は完璧なんだからな?
俺さえ関わらなければ爽やかな腹黒騎士なんだぞ。
俺さえ関わらなければ。
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インスタ @yuruyu0 絵もあがります
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