明日は大事なプレゼンがあるのに異世界転生ってマジですか?

葛城 惶

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正職員になりたいんだもん!

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 取り敢えず、無難に日々は過ぎ、今日は採用発表の日。ドキドキ......。

 いつもより気合いを入れて、身だしなみ整えて、朝一番でお城で待機。
 今回、成人する非正規雇用アルバイトは、全部で七人。私の他は武官候補の猪やらドーベルマンやら厳つい獣人さんもいて、色んな獣人さんが並ぶ。みんな新成人。
 その中にちょっと大人なカンガルーいやワラビーの獣人がひとり。この方は教育部が希望、つまり先生。頑張ったんだな...スゴい。
 
 王様の前に整列。ひとりひとり名前と部署が発表になる。ワラビーさんは希望どおり教育部。
 ドーベルマンさんは警務部、そりゃそうだ。猪さんや熊さんは衛兵部。狸さん、アライグマさんは食糧部。
......で、私。何故か王様が大きく溜め息をつく。

「あのな.....」

 はい、なんでしょう王様。

「真面目で仕事熱心なのはわかるけど、嫁入り希望されてるのだろう?ならば無理に仕事に就かなくてもよくないか?」

 えっ?イヤです、就職しますっ。嫁になんか行きませんっ!そんな時代錯誤な発言、止めてください。王様、開明的リベラル派って言われてるじゃないですかっ!

「イヤです。仕事したいんです。お仕事下さい!」

 泣いて訴える。頑張ったんだよ~私。認めてよ!
 王様再び大きな溜め息。

「タグ、見せてみろ」

 タグ......つまり身分証明書、適性とかスキルとか書いてある。前世もスキルアップかなり頑張りました、私。
 で、ほわん.....とか浮き上がった文字、

★適性★

 デスクワーク、企画、調査研究、報告書作成、情報伝達、旦那の世話

★スキル★

 洞察力、情報収集・管理、速読、計画管理、人材管理、時間管理、接遇、子守り、寝癖チェック


 ほらね、ほらね~って、なんかヘンなもんが混じってますけど、頑張ってるでしょ?

「う~ん......でもなぁ」

 頭を抱える王様&侍従長さま。そこでお妃様の鶴の一声。

「ルノアとよく相談してきなさい。なんなら私が直接交渉してあげてもいい」

 お、お妃様、分かって下さいますかっ!

きさき、いやイーサン、お前.....」

 何か言いたげな王様。

「納得できない状態で結婚しても不幸になるだけです。しっかりした合意形成が必要ですっ!」

 負けてないお妃様、ステキ....微妙に方向性違うけど。
シャキンっと出された磨き上げた爪に王様ちょっと、いやかなり押され気味。

「分かった。分かった。けどイツキくん、今、文官の空席が無いんだよね」

 なんだ、それを早く言ってよ。ショボン。

「地方のギルド管理の仕事はあるけど、王宮ほんしゃ離れるの、イヤだろう?」

「いえ、行きます!」

 即断即決。即時対応。正式採用、逃してなるかぃ!

「単身赴任でもなんでもします。採用お願いします」

 九十度ぴったりの深礼でお願い。頭なんて下げてナンボよ。そんなことではめげない私。

「分かったけど.....婚約者ルノアくんとは、ちゃんと話し合うんだよ。返事はそれからでいいからね」

「はいっ!」

 地方ししゃスタートがナンボのもんじゃい。実績上げて成り上がったる。絶対、ルノアになんか言わない。反対なんかさせない。

 セントバーナードの内務長官さんが配慮してくれて、赴任先は王都からあまり遠くない、キャネット・シティになった。侍従長さんや内務長官さんと相談して、来月から赴任することにした。

 まぁ単身赴任って言ったら、母さんに泣かれたけど、父さんにも呆れられたけど、お仕事したいんだもん。
 少し離れたところには、お父さんの実家もある。山猫のお祖父ちゃんはもういないけど、ミーアキャットのお祖母ちゃんは健在。ちょっと安心。

 ルンルンしながら支度にいそしむ私なのだ。

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