5 / 14
本編
浮わつく気持ち
しおりを挟む
お隣さんとご飯を食べるようになって早一ヶ月が過ぎた。食費代については完全折半でいいと言ったがお隣さんは頑固で、結局「食べさせて貰っているお礼ですから。」という言葉と共に二ヶ月分の食費を毎月貰う事になった。流石に貰いすぎなので余った分は返すと条件付きだ。
それに出退勤も一緒にしている。生まれてから1人に慣れていた僕は初めての体験に怯えていたが、今では2人並んで外を歩くことが楽しい。思えばストーカーさんの時も、最初の置き袋は怖かった気がする。
あれだけストーカーさんの手紙を生き甲斐にしていたのに、今ではお隣さんとの生活も生き甲斐なのだから僕は単純だ。
でも、ストーカーの件が終わるとお隣さんとの約束も終わるので僕は生き甲斐がなくなってしまう。二つの生き甲斐を無くして生きていけるのかが今の悩みの種だ。
「今日のお昼、一緒に食べませんか?」
僕の心配を他所に、お隣さんはどんどん僕の生活に入り込んできた。
NOを言えなかった僕は何故か昼にお隣さんと対面している。お隣さんオススメのお洒落なイタリアンの店にサラリーマン三人は目立ってしょうがない。ちなみに一緒に昼飯を食べる予定だった先輩は僕の隣に座っている。
先輩は、陰気で内気で人とのコミュニケーションを取りたがらない僕が最近仲良くしているお隣さんがどんな人か気になったみたいだ。何度か無理矢理付き合わされていないか聞かれた。最初は無理矢理だったが、今ではお隣さんとの関係は楽しみに変わっているので同意だと伝えたらますます気になったらしい。
先輩から僕はどう見えているんだろうか。
保護者気取りの先輩にため息が出る。
僕をお昼ご飯を誘ってきた二人は、僕なんて放っておいてストーカーさんの話をしている。対策をどうするかとか警察への相談とか被害を受けている本人より熱心だ。
あまり大事にしないでくださいと言えばお説教が始まったのでもう僕は一言も話さないことにして、お洒落で少ないパスタを頬張った。
二人は話ながらもパッとパスタを食べ終え、お会計をした。
「松野のことで何かあったら連絡しましょう。」
2人でそう言って連絡先を交換していた。僕は二人の連絡先を知っているし、交換しても意味がないことは分かってはいるが、なんだか仲間はずれみたいでモヤモヤした。
夜ご飯を食べ終わってお隣さんが帰ると僕はストーカーさんに手紙を書く。今日あった些細なことを報告していて、日記みたいだ。ストーカーさんは相談にものってくれるし励ましの言葉もくれる。今までの手紙は100均で買った大きな箱に入れて保管していて、たまに寝る前に読み返している。
ストーカーさんは僕のことを好きなのかな。
今日も布団に入りながら手紙を読み返してふと思った。
ストーカーさんがお隣さんなら良かったのに。
眠気で意識がはっきりしない中、僕はそう思ってしまった。
いつの間にかストーカーさんよりも、お隣さんが僕の心を埋めていた。
それに出退勤も一緒にしている。生まれてから1人に慣れていた僕は初めての体験に怯えていたが、今では2人並んで外を歩くことが楽しい。思えばストーカーさんの時も、最初の置き袋は怖かった気がする。
あれだけストーカーさんの手紙を生き甲斐にしていたのに、今ではお隣さんとの生活も生き甲斐なのだから僕は単純だ。
でも、ストーカーの件が終わるとお隣さんとの約束も終わるので僕は生き甲斐がなくなってしまう。二つの生き甲斐を無くして生きていけるのかが今の悩みの種だ。
「今日のお昼、一緒に食べませんか?」
僕の心配を他所に、お隣さんはどんどん僕の生活に入り込んできた。
NOを言えなかった僕は何故か昼にお隣さんと対面している。お隣さんオススメのお洒落なイタリアンの店にサラリーマン三人は目立ってしょうがない。ちなみに一緒に昼飯を食べる予定だった先輩は僕の隣に座っている。
先輩は、陰気で内気で人とのコミュニケーションを取りたがらない僕が最近仲良くしているお隣さんがどんな人か気になったみたいだ。何度か無理矢理付き合わされていないか聞かれた。最初は無理矢理だったが、今ではお隣さんとの関係は楽しみに変わっているので同意だと伝えたらますます気になったらしい。
先輩から僕はどう見えているんだろうか。
保護者気取りの先輩にため息が出る。
僕をお昼ご飯を誘ってきた二人は、僕なんて放っておいてストーカーさんの話をしている。対策をどうするかとか警察への相談とか被害を受けている本人より熱心だ。
あまり大事にしないでくださいと言えばお説教が始まったのでもう僕は一言も話さないことにして、お洒落で少ないパスタを頬張った。
二人は話ながらもパッとパスタを食べ終え、お会計をした。
「松野のことで何かあったら連絡しましょう。」
2人でそう言って連絡先を交換していた。僕は二人の連絡先を知っているし、交換しても意味がないことは分かってはいるが、なんだか仲間はずれみたいでモヤモヤした。
夜ご飯を食べ終わってお隣さんが帰ると僕はストーカーさんに手紙を書く。今日あった些細なことを報告していて、日記みたいだ。ストーカーさんは相談にものってくれるし励ましの言葉もくれる。今までの手紙は100均で買った大きな箱に入れて保管していて、たまに寝る前に読み返している。
ストーカーさんは僕のことを好きなのかな。
今日も布団に入りながら手紙を読み返してふと思った。
ストーカーさんがお隣さんなら良かったのに。
眠気で意識がはっきりしない中、僕はそう思ってしまった。
いつの間にかストーカーさんよりも、お隣さんが僕の心を埋めていた。
20
あなたにおすすめの小説
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる