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三章 引きこもり皇子、働く

054 来客2

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「えっと……どうしてみんな驚いているのかな~?」

 エステル、イーダ、ウッラが同時に驚いているものだから、フィリップも額から汗が出ている。

「てっきりわたくしは、殿下に情報を流していた協力者だと思っていまして……」
「私は、あの当時はお付き合いしていたはずなのに……」
「婚約者のエステル様の前で肉体関係をバラすなんて……」
「「「え??」」」

 エステルから思っていることを喋ると、イーダとウッラを含めた3人は顔を見合わせている。

「ウッラ……その反応はあなた、まだ殿下と続いていたのですの!?」
「もももも、申し訳ありませ~ん!!」
「いや、エステル様……婚約ってどういうことですか!?」
「イーダこそ、付き合っていたとはどういうことですの!?」

 その後は、3人でワーキャー。全員、黙っていたことが暴露されているのだから、とどまる所を知らない。ウッラは謝ってるだけ。
 その中心人物であるフィリップは、怖くなって忍び足。逃げ出そうとしていた。

「どちらに行かれますの?」
「付き合っていましたよね!?」
「殿下から説明してくれないと、私の首が……」

 でも、エステルに肩を掴まれ、イーダに腰に抱き付かれ、ウッラには足にしがみつかれては、身動きが取れない。なので、フィリップは「ちゃんと説明するから」と言って、席に戻るのであった。


「まず、ウッラからね」

 フィリップは、いまにも死にそうな顔をしているウッラからの説明。

「ちょっと寂しくなった時にね。僕から襲ったから、ウッラに非はないよ。だから許してあげてね?」

 その説明にエステルはあまり納得していないので、ウッラから聴取。

「何回しましたの?」
「申し訳ありませ~ん!!」
「1回ではなさそうですわね……」
「許してやってよ~……僕も」
「「はあ!?」」

 フィリップがボソッと自分のことを付け足したので、エステルとイーダの格好の的。フィリップが怒鳴られて謝罪することで、ウッラの話はうやむやになって終わった。

「学院時代にイーダと付き合っていたのですの?」
「私が協力者って、エステル様に言ったのですか?」

 続きましての質疑は、帝都学院時代の話。フィリップはエステルとイーダを落ち着かせてから説明する。

「イーダには謝罪に来た後日に、やっぱりやらせてくれたら許すとか言ったっけ? そのついでに、えっちゃんを守るためって情報を流してもらっていたんだ。それで……あっ! 情報を聞きに行った時は毎回やらせてもらっていたから、ちょっと悪いと思って、子供ができたら妻にするとか期待させたかも……だから、付き合ってると勘違いしてたんだね」
「最低ですわね……」
「酷いです……私は利用されていただけなんて……」
「イーダ様、かわいそうです……」

 フィリップ、3人に汚物でも見られるような目で見られる。でも、強心臓で話を続ける。

「まぁえっちゃんも生きてるし、お互い学院生活は楽しめたから、ウィンウィンってこと……にはできない顔だな~」

 イーダが目からポロポロ涙を落とすので、さすがに笑うことのできないフィリップ。

「私、あんなに尽くしたのに子供を授からなかったから、体のどこかが悪いと思って身を引いたのですよ。それなのにそれなのに……」
「あ……僕のせいで悩ませてしまっていたんだ。ゴメンね。絶対とは言えないけど、体は関係ないよ。妊娠しないように、アレを外で出してただけだから」
「アレとはなんですの?」

 エステルが本当にわかっていないので、フィリップが詳しく赤ちゃんができる過程を説明したら、顔を真っ赤にして固まっていた。経験済みの2人は、初めて知る内容だったので納得はしたけど、イーダには言いたいことがあるらしい。

「だからいまの夫とは、ポンポン子供ができていたのですね!?」
「えっ……結婚してたんだ。それはおめでとう……って、僕が言ってもいいのかな?」
「まぁ……いい人ですし、幸せですし……」
「ちなみに、何人子供がいるの?」
「3人です……」
「イーダが卒業してから7年か……それは旦那さん頑張ったね~」

 幸せと聞いてフィリップも笑顔を見せたが、イーダは違う。

「頑張ったのは私です!」
「あ、そうだね。出産に子育て大変だもんね」
「違いますぅぅ!」
「違う??」
「殿下に仕込まれたせいで、毎晩体が欲してしまうんですぅぅ!!」
「……はい??」
「あぁ~……」

 イーダのぶっちゃけ発言は、フィリップにはよくわからない様子。しかし、ウッラは何故かウンウン頷いているので聞いてみる。

「えっと……どういうこと?」
「殿下はいつも意地悪するじゃないですか……それが気持ち良くて気持ち良くて……」
「ああ……僕って、そんなに上手かったんだ……」

 ウッラの頬を赤らめた顔を見て、だから襲った時はすんなり受け入れられたのだと気付いたフィリップ。だが、イーダはまだ言いたいことがある。

「私の時は、殿下を気持ち良くしないとお預けとか言っていたから、夫にも同じことしていたんですよ~」
「プッ……ゴメン! 笑ってないよ~?」

 フィリップのせいで、イーダ、ドエロイ女になる。夫の上に乗ってロデオしている姿を想像してしまったフィリップは、軽く吹き出してしまった。

「こんな体にしたのは殿下なのですから、責任を取ってください!!」
「ええぇぇ~……子供も旦那もいるんでしょ~」

 さすがに子持ちの人妻に手を出すのは気が引けるフィリップは、何度も謝罪を繰り返すのであったとさ。
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