【完結】悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子

ma-no

文字の大きさ
110 / 142
五章 引きこもり皇子、進軍する

110 急転直下

しおりを挟む

 時は数日戻り、帝都……

 お城の一室では、フレドリク皇帝に凶報が届けられていた。

「なんだと!? フィリップが町を攻め落としただと!?」

 そう。ヘルゲソン伯爵軍がフィリップの名を出して町を占拠していたことが、間違った形で伝わっていたのだ。

「それは本当なのか!?」
「およそ二千ほどの兵が集まっていると聞いています。ただ、そこには、フィリップ殿下はいないとの情報もあります」

 伝令兵から確認を取ったフレドリクは少し考える。

「フィリップはわざわざ到着日時も書いて手紙を送って来ていたのだ。それよりも早いとなると、フィリップに合流しようと集まった兵か……」

 フレドリクの呟きに、同席していたカイ・リンドホルム近衛騎士長が補足する。

「確かにフィリップの人望というよりは、フレドリクに恨みを持つ元貴族が集まったというほうがしっくり来そうだな」
「うむ。フィリップに乗っかって大義名分を得ようとしているのだろう」
「それでどうする? フィリップも兵を手に入れたら調子に乗るかもしれないぞ。こちらから兵を出して倒すか?」

 カイの問いにフレドリクも即決できないのか、少し悩んでから答えを出す。

「明日にはフィリップが合流しているだろうから止めようがない。少し様子を見てみよう。もしも兵に加えるとなったら、それは、もう……」
「わかった。準備だけしておく」

 フレドリクが全てを語らずとも、幼馴染みのカイにはわかる。フィリップが謀反を起こしたのだと……


 それから2日後、フィリップの使いだという者が帝都城を訪れ、手紙を差し出した。それを読んだフレドリクは、使いを一室に軟禁するように指示を出してから、イケメン4を執務室に呼び出した。

「また厄介なことになって来たのだが……どこから話そうか……」

 フレドリクが頭を抱えているので、カイはフィリップの謀反が現実になったと思っている。

「やはり、兵に加えたのだな」
「いや……町を占拠していた犯罪集団は全員裁いたとなっているのだ」
「はあ? 貴重な戦力だろ??」
「それがな。元貴族が殺人や強姦、強盗をしていたらしいのだ。それぞれの罪も罰も事細かに書いてある。やや罰は重いが、軍隊が組織的にやっていたとしたら妥当な裁きだと思う」

 フィリップの裁量が納得がいかないとカイたちは話し合い、最終的にはホーコンがやったのではないかとの結論となっていた。

「それは置いておいて、残りの兵士はどうなったのですか?」

 ヨーセフ・リンデグレーン宰相も気になって質問すると、フレドリクは頭を掻いて答える。

「軽犯罪者は利き手を砕き、犯罪に関与していなかった者は、無傷で故郷に帰したらしい。全員、武器防具を町に支払って農業従事者になることが罰だと書いてあった」
「ますますやりたいことがわかりませんね。それだけの兵士をみすみす捨てるなんて……」
「それなんだがな……フィリップの原文をそのまま読むぞ」

 フレドリクが手紙の1枚を持つと、皆の視線が集中する。

「兄貴に文句を言いたいって人を手当たりしだい加えていたら、100万人以上に増えちゃった。てへ」
「「「はあ!?」」」

 10万人も集められないと思っていたのだから、いくらフィリップがかわいく書いてもその10倍になっていては驚きを隠せない一同。

「フィリップの人望で集めたわけでないとしたら、私に不満を持つ者がこれほど多いことになるのだが……」

 そんな中、フレドリクは現実を突き付けられて気落ちしてた。

「待て待て。あいつの言ってることだろ? 嘘じゃないか??」
「そうですよ。フィリップ君は、基本的に嘘しか言いません」
「うんうん。陛下に甘えて体調不良とか言っておけば、部屋から出ないでいいと思っていたのですよ」

 でも、カイ、ヨーセフ、モンス・サンドバリ神殿長はまったく信じようとせずに、フィリップを嘘つき扱い。いや、確かにイケメン4の前では嘘ばっかりついていたフィリップが悪いのだろう。

「とりあえず、事実かどうかだけ確認しておく。もう近くまで来ているだろうから、すぐに答えはわかるはずだ」

 この時点でフィリップたちは馬車で2日の地点までやって来ている。なので早馬を出したら1日で行って来いして戻って来たが、その伝令兵はとんでもなく焦って戻って来た。

「陛下、手紙は事実でした! いえ、100万どころではありません! 下手したらその倍はいます!!」
「「なんだと~~~!?」」
「「なんですって!?」」

 噓だと思って軽く見ていたフレドリクたちは、いきなりのことに大声を張り上げた。

「へ、兵を集めろ! 民にも説明しなくては!?」

 フレドリクが珍しく焦っているので、カイが冷静に問い質す。

「謀反ってことでいいんだな?」
「それだけの数がいるのだ。文句を言うだけでは終わらないだろう……それでかまわない。ただし、戦闘は私がフィリップと話をしてからだ。わかったな?」
「「「はっ!」」」

 急転直下。帝都では突然、内乱が勃発すると告げられて、住人は混乱するのであった……
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...