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一章 夢の中での出会い
08 堀口純菜4
しおりを挟む「アッレ~? どうやっても昨日のキスと違う……」
ここは純菜の夢の中。推しのアイドルやアニメのキャラを取っ替え引っ替えしてキスをしまくった純菜は、昨日の感触が再現され無いから考え込んでいる。
なので夢を一からやり直し。猟奇的な夢で女子グループを滅多刺しにしたら、メルヘンチックな城と美男子王子を作り出す。
「ここであのヤンキーが乱入……なんか違うな」
ヤンキーが王子二人をはっ倒す前から違和感しか無い純菜。キスをしてもいつもの感触しか無い。
何が間違っているのか分から無くなった純菜は、気分転換に歩き出した。
「なに? 何か動いたような気がする……」
迷路のような庭園に入った所で、また違う違和感を感じた純菜。違和感の正体を確かめようと、動いたモノを追い掛ける。
しかし、歩けども歩けども違和感の正体は見付からず。仕舞いには城の門から外に出てしまった。
「ただの気のせいかしら……」
この先は想像していない空間。地面はあるが全面が真っ白なキャンパスのようになっている。
そんな場所なので、何も見付かる訳も無いと純菜が振り返ろうとしたその時、キャンパスに色付けされるが如く、黒色の道路や緑色の街路樹、その先には商店街のような物が出現した。
「え……私、何か考えた?」
夢の中の世界なのだから、純菜の想像していない物が現れる訳が無い。初めての事なので純菜も焦ったのか城に走って逃げ帰り、門から隠れて様子を見る。
ただ、それ以上何も起こら無いので、手違いで自分が生み出してしまったのでは無いか、今日は調子が悪いのでは無いかという結論に至り、自分の夢に戻ろうとした。
「あ……誰か来た……」
しかしその時、商店街の入り口から人が出て来て真っ直ぐ門に向かって来た。
「アレって昨日のヤンキーよね? 私はあんな所から登場しろなんて考えて無いのに……なんで??」
また純菜は考えて、やはり今日は調子が悪いから夢がグチャグチャになったのだと結論付ける。このまま夢をリセットしようとも思ったが、夢の中がグチャグチャになった理由は解明した方が次回の夢に活かせるので、純菜は門から出る。
そうして気怠そうに歩くヤンキーに真っ直ぐ向かい、指差して喋り掛ける。
「ちょっとあんたね~。こんな所で何してるのよ」
イジメられっ子でも、夢の中なら超強気。いくら相手がヤンキーでも、自分の作り出したキャラなんだから怖い訳が無い。
「え? 何してるも何も……てか、なんで……」
その圧に押されたヤンキーは何故かシドロモドロ。
「何ゴニョゴニョ言ってるのよ。ヤンキーの癖に。そんな覇気の無いヤンキー、この世界にはいらないのよ。さっさと消えて」
「いや……そっちこそ、姫か悪役令嬢、どっちなんだよ。お淑やかさの欠片も無いな。んなキャラ、この世界にいらないんだよ。消えろよ」
「はあ~~~??」
自分が作り出したキャラが急に強気な態度で反論までして来たのだから、現実の世界では怒る事を諦めてしまった純菜でも怒り爆発。汚い言葉で罵り出した。
しかしヤンキーもボルテージが上がっているので、大喧嘩。殴り合いまではしていないが、かなり激しい口喧嘩となっている。
「ここは私の夢よ! なんで夢のキャラが偉そうに説教垂れてんのよ!!」
「はあ!? 僕の夢だろ! お前なんか僕の想像の産物なんだから、さっさと口を閉じろ!!」
「なんであんたの夢なのよ!?」
「お前の夢じゃ無いからだ!!」
さらに誰の夢なのかで大揉め。お互い引く事を知らず口喧嘩は熾烈を極めたが、埒が明かないと純菜はついに手を出した。
しかしヤンキーは冷静に、自分の頬に来た純菜の右手を取って握った。
「「アレ……温かい……」」
いつもの感触では無い感触を感じた純菜は、一気にボルテージダウン。ヤンキーも同じ顔をしてると思った瞬間、ヤンキーはフッと消え去った。
「やっと消えた……マジでなんなの? ああ~……」
ここで純菜も夢の中から現実に帰還。
「ムカつく~~~!!」
叫んだと同時に目覚ましの音が耳に入った純菜は、口を押さえてからバタバタとスマホを探す。掴んだ所で中々手に付かずスマホを何度も落として、ようやくストップするのであった。
「お……おはよう……」
最悪な気分で目覚めた純菜がリビングに顔を出すと、心配そうな晴美が待ち構えていた。
「何か叫んでだけど大丈夫?」
「え? あ……ね、寝言??」
「そ、そう……顔も怖いけど、学校で何かあったんじゃ無い?」
純菜が機嫌が悪そうな顔をしているので、晴美はイジメられているのでは無いかと心配になっている。
「酷い夢を見ただけだよ。それに昨日は学校休んだよね?」
「あっ! そうだったわね。ママ、忘れてたわ~」
晴美は心配症が前に出ていたので、笑って誤魔化す。イジメられていると決め付けていたから、それがバレると関係が悪くなる可能性もあるから慎重になっているのだ。
それから朝食を食べ終えた純菜は、母親を心配させた事もそうだが、機嫌が悪い顔をしていてはイジメっ子グループに何をされるか分から無いので、鏡の前で念入りに顔を確認してから登校して行くのであった。
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