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一章 夢の中での出会い
07 吉見蒼正4
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ドンッと室内に響く重厚感のある音。
「つつつ……」
ここは蒼正の部屋。夢の中で蒼正と姫が同時に突き飛ばした瞬間、現実に戻って目覚めた蒼正がベッドから落ちた音だ。
「さっきの何? 舌がなんかネトネトしてた……」
痛みの次に思う事は、夢の中でのディープキス。いつもの夢ならアッサリとした感触しか残っていないので、蒼正は唇の柔らかさと舌触りを咀嚼している。
「僕の想像力、ここまで来たか~。やった事の無いキスまで再現出来るなんて、流石はボッチ……悲しいわ!」
自分でノリツッコミした蒼正は、ベッドに登ってもう寝てしまおうと思ったが、先程の生々しい感触が頭に過ぎり中々眠れない。
なんだったら余計な事を考えてしまい、ズボンから手を出せなくなる蒼正であった。
翌日、いつものアラームの音で体を起こした蒼正はしばらくボーッとすると、ベッドから出て右足を着いた所で異変に気付いた。
ただ、少し部屋から出る事が遅れ気味だった為、無理して右足を庇うように歩き、リビングに顔を出した。
「おはよう」
「あ、おはよう。もう座ってて大丈夫よ」
母親の晴美は手が離せないのか蒼正を見ずに返事をし、蒼正は朝食がほとんど揃っていたから言われるままに着席する。それから晴美が席に着くと食べ始めるが、晴美は蒼正の顔色が気になる。
「顔色悪いけど大丈夫?」
「うん。ちょっと寝不足なだけ」
「何か嫌なことあった?」
「ううん。スマホを見過ぎて寝付きが悪かっただけだよ」
「そう……」
「ごちそうさま」
晴美は以前、蒼正がイジメ被害に遭っていた事に気付くのが遅れた経験があるので少し心配症になっている。これはいつもの事なので、蒼正はいつも通りの返しをしてから立ち上がった。
「ちょっと待って。足、引き摺ってない?」
ただし、今日に限ってはその返しは通じ無い。蒼正は右足を庇って歩いているのだから、晴美の顔色が変わった。
「食べる時も右手を使い辛そうにしてたわよね。何があったの? 正直に話して」
実の所、蒼正も体を痛めた理由がいまいちわかっていないモノだから、少し考える時間があったので晴美の嫌な予感が確信に変わった。
「たぶん……ベッドから落ちたせいかな?」
「……え?」
「夜中にベッドから落ちて目が覚めたの。その時は気付かなかったけど、時間が経ってから痛くなった気がする」
「そういえば……私も物音で起きたわね。蒼正のせいだったんだ」
「それはゴメン。もういい? 準備しないと」
「うん……いえ、待って」
蒼正の言葉と自分の記憶は一致したけど、晴美は心配だからと蒼正の足と手をよく見る。その結果、腫れがあったのでひとまず湿布を貼って様子を見る事になり、自主休校も提案する。
蒼正としてはこれ以上晴美に心配掛けたく無いけど、もしもイジメっ子グループに追い掛けられた時を想像してお言葉に甘える。頑なに断る方が可笑しく取られ兼ね無いとも考えたようだ。
自主休校が決定したので、晴美は学校に体調不良と連絡を入れて、蒼正には痛みが酷くなるようなら病院に行くようにと保険証とお金をテーブルに置いてから出勤して行った。
一人になった蒼正は自室に戻るとベッドに寝転び、右手を開いたり閉じたりしていた。
「ベッドから落ちただけでこんなに痛むものかな?」
蒼正も自分で言った事なのに、あまり納得していない。なので昨日、背中を押されてこけた事も思い出していたが、その後は特に痛みも無く過ごしたのだから、これも原因だとは思えない。
「そういえば、夢の中で王子みたいな奴を殴った時、いつもと違う感触だったような……」
ふと思い出した事は、昨夜の夢。キスで驚いて忘れていたが、その前にも違和感があったのだ。しかし、夢は夢。いくらリアルでも現実に影響を与えるとは思えないから、蒼正もベッドから落ちた事が原因だと結論付ける。
その後は蒼正も寝不足だった為、いつの間にか眠りに落ち、遅い昼食でお弁当を平らげて、ダラダラとアイドル動画やアダルト動画を見続けて楽しい時間を過ごすのであった。
晴美が帰宅してから一通り心配された蒼正であったが適当にあしらい、就寝時間になるとシチュエーションを考えてから眠りに落ちる。
「やっぱりコレだよね~。ムフフ」
今日の夢は、推しのアイドルの出番。蒼正とは恋仲で、いきなりのベッドシーンだ。
「アレ? 昨日の感触じゃない……」
顔は完璧、体は少し予想。その推しの子に抱き付いたりキスをしたり胸を揉みほぐした蒼正であったが、いつも通りの触った事のある物の感触しかしなかったので動きが止まった。
「なんでだ? 相手によって変わるのか??」
どうしても推しの子とあの感触を体験したい蒼正は、昨夜の姫を夢の中に再現してキスをしてみた。
「違うな……相手でも無い。何が違うんだ?」
どうやっても昨夜の感触を再現出来ないので、一から夢をやり直す蒼正。ヤンキーファッションで身を包み、路地裏を作ってイジメっ子を殴りまくる。
ここでも王子を殴った感触と違っていたので色々と試し、全員絶命した所で次を思い出す。
「ここで確か……あの路地に何か居た気がしたんだった。それも変だよな? 夢の中の出演者以外は出て来ないはずだし」
その他、時間の可能性も考えてはみた物の結論には至らず。蒼正は立ち上がり、昨夜見たメルヘンチックなお城を探すのであった。
「つつつ……」
ここは蒼正の部屋。夢の中で蒼正と姫が同時に突き飛ばした瞬間、現実に戻って目覚めた蒼正がベッドから落ちた音だ。
「さっきの何? 舌がなんかネトネトしてた……」
痛みの次に思う事は、夢の中でのディープキス。いつもの夢ならアッサリとした感触しか残っていないので、蒼正は唇の柔らかさと舌触りを咀嚼している。
「僕の想像力、ここまで来たか~。やった事の無いキスまで再現出来るなんて、流石はボッチ……悲しいわ!」
自分でノリツッコミした蒼正は、ベッドに登ってもう寝てしまおうと思ったが、先程の生々しい感触が頭に過ぎり中々眠れない。
なんだったら余計な事を考えてしまい、ズボンから手を出せなくなる蒼正であった。
翌日、いつものアラームの音で体を起こした蒼正はしばらくボーッとすると、ベッドから出て右足を着いた所で異変に気付いた。
ただ、少し部屋から出る事が遅れ気味だった為、無理して右足を庇うように歩き、リビングに顔を出した。
「おはよう」
「あ、おはよう。もう座ってて大丈夫よ」
母親の晴美は手が離せないのか蒼正を見ずに返事をし、蒼正は朝食がほとんど揃っていたから言われるままに着席する。それから晴美が席に着くと食べ始めるが、晴美は蒼正の顔色が気になる。
「顔色悪いけど大丈夫?」
「うん。ちょっと寝不足なだけ」
「何か嫌なことあった?」
「ううん。スマホを見過ぎて寝付きが悪かっただけだよ」
「そう……」
「ごちそうさま」
晴美は以前、蒼正がイジメ被害に遭っていた事に気付くのが遅れた経験があるので少し心配症になっている。これはいつもの事なので、蒼正はいつも通りの返しをしてから立ち上がった。
「ちょっと待って。足、引き摺ってない?」
ただし、今日に限ってはその返しは通じ無い。蒼正は右足を庇って歩いているのだから、晴美の顔色が変わった。
「食べる時も右手を使い辛そうにしてたわよね。何があったの? 正直に話して」
実の所、蒼正も体を痛めた理由がいまいちわかっていないモノだから、少し考える時間があったので晴美の嫌な予感が確信に変わった。
「たぶん……ベッドから落ちたせいかな?」
「……え?」
「夜中にベッドから落ちて目が覚めたの。その時は気付かなかったけど、時間が経ってから痛くなった気がする」
「そういえば……私も物音で起きたわね。蒼正のせいだったんだ」
「それはゴメン。もういい? 準備しないと」
「うん……いえ、待って」
蒼正の言葉と自分の記憶は一致したけど、晴美は心配だからと蒼正の足と手をよく見る。その結果、腫れがあったのでひとまず湿布を貼って様子を見る事になり、自主休校も提案する。
蒼正としてはこれ以上晴美に心配掛けたく無いけど、もしもイジメっ子グループに追い掛けられた時を想像してお言葉に甘える。頑なに断る方が可笑しく取られ兼ね無いとも考えたようだ。
自主休校が決定したので、晴美は学校に体調不良と連絡を入れて、蒼正には痛みが酷くなるようなら病院に行くようにと保険証とお金をテーブルに置いてから出勤して行った。
一人になった蒼正は自室に戻るとベッドに寝転び、右手を開いたり閉じたりしていた。
「ベッドから落ちただけでこんなに痛むものかな?」
蒼正も自分で言った事なのに、あまり納得していない。なので昨日、背中を押されてこけた事も思い出していたが、その後は特に痛みも無く過ごしたのだから、これも原因だとは思えない。
「そういえば、夢の中で王子みたいな奴を殴った時、いつもと違う感触だったような……」
ふと思い出した事は、昨夜の夢。キスで驚いて忘れていたが、その前にも違和感があったのだ。しかし、夢は夢。いくらリアルでも現実に影響を与えるとは思えないから、蒼正もベッドから落ちた事が原因だと結論付ける。
その後は蒼正も寝不足だった為、いつの間にか眠りに落ち、遅い昼食でお弁当を平らげて、ダラダラとアイドル動画やアダルト動画を見続けて楽しい時間を過ごすのであった。
晴美が帰宅してから一通り心配された蒼正であったが適当にあしらい、就寝時間になるとシチュエーションを考えてから眠りに落ちる。
「やっぱりコレだよね~。ムフフ」
今日の夢は、推しのアイドルの出番。蒼正とは恋仲で、いきなりのベッドシーンだ。
「アレ? 昨日の感触じゃない……」
顔は完璧、体は少し予想。その推しの子に抱き付いたりキスをしたり胸を揉みほぐした蒼正であったが、いつも通りの触った事のある物の感触しかしなかったので動きが止まった。
「なんでだ? 相手によって変わるのか??」
どうしても推しの子とあの感触を体験したい蒼正は、昨夜の姫を夢の中に再現してキスをしてみた。
「違うな……相手でも無い。何が違うんだ?」
どうやっても昨夜の感触を再現出来ないので、一から夢をやり直す蒼正。ヤンキーファッションで身を包み、路地裏を作ってイジメっ子を殴りまくる。
ここでも王子を殴った感触と違っていたので色々と試し、全員絶命した所で次を思い出す。
「ここで確か……あの路地に何か居た気がしたんだった。それも変だよな? 夢の中の出演者以外は出て来ないはずだし」
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