僕の私の夢は超イージーモード。だった・・・

ma-no

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三章 夢が繋がった理由

33 違和感の正体

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 刑事から離れた蒼正は早足で歩き、途中から走り出して家に駆け込んだ。そして自室に飛び込むと、スマホを握り純菜に連絡を取る。
 返事が来たのは十分後。これから刑事が行く可能性を示唆しさして情報を共有する。しかし待てど暮らせど刑事はやって来無い。

 そのまま寝る時間となったから、蒼正と純菜は夢の中の純喫茶に集合した。

「結局来無かったね。どうしたんだろう?」
「まさか僕の話を信じたとか?」

 刑事が来無かった理由は、話し合っても分からず仕舞。なので刑事の見た目を詳しく説明すると、純菜の家に来た刑事と同一人物かもと話が弾む。

「それにしても、そこまで喋って良かったの? 蒼君が捕まったら嫌だよ??」
「どうやっても捕まえられ無いでしょ。証拠も無し、殺意も無し、超能力者を裁く法律も無し。そもそも僕達まだ未成年だし、傷害罪ぐらいなら大した罪になら無いよ。ま、もしも捕まるような事があったら、純の被害者は僕がやった事にするから心配し無いで」
「それも嫌だな~……なんでも一人で抱え込もうとしないで。もしもの場合は、二人で罰を受けると約束して。ね?」
「うん……」

 蒼正の言葉は嬉しいが、純菜も蒼正の事を守りたいのだから罪は折半に。お互い庇い合ったせいか夢の中に甘い空気が溢れ、いつもよりイチャイチャする二人であった……


 それから数日、蒼正と純菜は普通に高校に通い、平和な毎日を過ごしていたけど大事件が起こった。

「総理が死んだニュース見た?」
「うん。急だったね。持病でもあったのかな?」

 世間的には大事件でも、高校生に取ってはこの程度のニュース。そもそも死因も発表して無いから、これ以上喋る事も無いのですぐに夢の中の話に変わる。

「今日はどうする?」
「そうね……ちょっとやってみたい事があるんだけど……」
「なになに? 新しい設定??」

 純菜のやりたいネタに興味津々だった蒼正だったが、ちょっと聞いただけでやりたく無くなった。

「純菜姫……この男よりも僕の方があなたを愛しています」

 蒼正が王子様と純菜を取り合うお話だからだ。

「蒼君。もうちょっと心を込めて言う事出来無い?」
「無理だよ~。相手、こんなに綺麗な顔の金髪イケメンだよ? この時点で負けてるって~」
「私は蒼君が一番だよ?」
「だったらこの決闘はなに?」

 蒼正が泣き言いってもツッコンでも、純菜は譲れ無いらしい。どうしても蒼正に頑張って戦って貰って告白させ、キュンキュンしたいのだ。
 最初の歯の浮くような口説き文句や姫を称える言い争いは、蒼正がギブアップしたから純菜も諦める。顔を真っ赤にしてる所を見れただけで満足したらしい。

 後は決闘だけ。色とりどりの花が咲き乱れる庭の一角で、蒼正と王子は剣を構えて向き合った。

「私の為に争わ無いで~~~」

 純菜の口からは止める言葉が出ているが、これが始まりの合図。ただ、純菜が悦に入っているから蒼正もツボに入ったので、開始と同時の剣を合わせる場面に出遅れた。

「なっ……」

 ガッキーンと激しく鳴る金属音。王子の振った剣をギリギリ受けた蒼正は、弾き飛ばされて片膝を突く事態となったので驚く事に。

「蒼く~ん。頑張れ~」

 そこに純菜の応援の声が聞こえたが、蒼正は睨むように王子を見ている。

「フッ……部下がやられたと聞いたがこの程度か」

 王子は風切り音を出して剣を振ると、切っ先を蒼正に向けた。

「また設定外の事を言ってる……しかもなんでこんなにパワーがあるんだ?」
「さて……二人共、死んで貰うぞ」
「はい? 王子が姫を殺しちゃダメでしょ。設定通りやれよ」
「知らぬ!」
「うわっ!?」

 王子はいきなりの斬り付け。その素早い剣に蒼正はまたギリギリの対応となった。そこから蒼正は防戦一方の剣戟になっているが、純菜は楽しそうに応援している。

「ちょっ! これ、何かが可笑しい!? 純が何かしてるのか!?」
「何もしてないよ~。今までで一番凄い戦いだね。カッコイイよ~?」
「待って! これマジだから! 何がどうなってんだ!? 痛っ!?」

 暢気のんきな事を言っていた純菜は、蒼正が押されているのは演出だと決め付けていたが、血が飛び散り蒼正が再び片膝を突いた所でようやく異常に気付いた。

「それ、本当の血?」
「ああ! 夢が言う事を聞か無い!?」
「ど、どうして……消えろ~~~!!」

 王子は純菜の作り出したキャラなのだから、製作者ならばと消そうとしたが、何度やっても王子は消え無い。それどころか、王子らしく無い歪んだ顔で笑い出した。

「これが地球で最強の戦士か。警戒する必要は無さそうだな。フハハハ」

 蒼正は自分の魔法で怪我を治すと、大きく後ろに飛んで純菜の隣に移動した。

「地球とか言ってるけど、宇宙人物なんて知ってる?」
「ううん。そういうの蒼君の方が詳しいでしょ?」
「知ってるけど、グレイなんて弱そうだから、やった事が無い」
「じゃあなんでアイツは……」

 喋っている途中で、純菜は引っ掛かっていた事を思い出した。

「ねえ? 何度か設定外の事をしてるキャラが居たよね?」
「うん……あ、外から僕達の夢に干渉してるヤツが居るって事か」
「ええ。私達だけ夢が繋がっているのも可笑しいもの。それで最初のヤツ、私達を仲間に入れるとか言って無かった?」
「なんか言ってたね……バグってると思って相手にしなかった気がする……」
「私も……ここは話を聞いてみない?」

 純菜の案に蒼正は頷き、ここは男の自分が行くべきだろうと一歩前に出て問いただす。

「お前は何者だ?」
「仲間から聞いてるはずだが……まぁいい」

 王子はその問いに真顔で返すのであった……

「貴様らの認識で言うなれば、我々は宇宙人だ」
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