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第六章 ハンター編其の四 遊ぶにゃ~

163 デート其の二にゃ~

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 デート アイノの場合……

「モフモフ~」
「にゃ!? やめるにゃ~!」
「いいではないか、いいではないか」
「いにゃ~~~ん! ゴロゴロ~」

 何故アイノが悪代官のようになっているのかと言うと、アイノにも大蚕おおかいこの糸が欲しいと言われ、在庫が無かったので、森の我が家に転移した。
 大蚕の元へお姫様抱っこで走り、大量の大蚕に囲まれたわし達は悲鳴をあげる。わしはまだ耐性があったが、アイノは完全に気を失ってしまった。
 糸と獲物の交換を済ませたわしは森の我が家に戻り、アイノをベッドに寝かせる。アイノの気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、わしも椅子でウトウトして眠ってしまった。

 これが悪かった。

 目が覚めた時には、アイノにベッドに連れ込まれ、撫で回されていた。

「ハァハァ。モフモフ~」
「もう満足したにゃ。にゃ?」
「まだまだ足りないわ!」
「いにゃ~~~ん! ゴロゴロ~」

 そしてわしは犯された……わけでなく、アイノが満足するまで撫で回され、挟まれ、めちゃくちゃにされた。

「ふぅ。モフモフ注入完了」

 やっと終わったか。それにしても、モフモフはどこに入ったんじゃろう?

「満足したにゃら、ベッドから出ようにゃ?」
「まだデート中だから、ピロートークじゃない!」

 事が済んだ事は済んだが、そんな事はしておらん! 撫で回されただけじゃ! 息子さんも撫でられたが……。せめて、話をそっち方面から逸らそうか。

「そう言えば、アイノも大蚕の糸をにゃんで欲しがるにゃ? 前にあげたのはどうしたにゃ?」
「あれは……王女様に取られたの」
「アイノまでにゃ!? ソフィやドロテも取られたって言ってたし、今度さっちゃんに会ったら叱っておくにゃ!」
「いや、それは……いいかな?」
「にゃんでにゃ? アイノも服が作りたかったにゃ? さっちゃんと言えど、わしの好意を奪われるのは許せないにゃ!」
「私達は納得しているからいいのよ。だから怒らないであげて。ね?」

 納得してる? 貴重な糸を取られたのにか? これはひょっとして……

「にゃにか隠してるにゃ?」
「にゃにも隠してないにゃ!」

 うん。隠しておるな。これはさっちゃんに、何か頼まれ事をされてるっと事かな? それでみんな口裏を合わせているのか。でも、なんでわしの口調になるかは聞いてもいいかな?

「にゃんでわしの喋り方をマネしてるにゃ?」
「し、してないにゃ~」
「ほら! またしたにゃ~」
「あ……」
「にゃあにゃあ?」
「うぅ……モフモフ攻撃~!」
「いにゃ~~~ん!? ゴロゴロ~」


 アイノは話を逸らそうと、わしを撫で回す。わしもこれ以上聞くのも不粋だと乗ってあげる。けっして、ふたつの大きくて柔らかいモノに挟まれたからではない。ホンマホンマ。
 その日、帰ってから匂いに敏感なメイバイに、アイノの匂いを嗅ぎ分けられ、浮気だと騒がれた。そのせいで、リータとメイバイに怒られる事となってしまった。

 別に撫でられただけなんじゃが……

「「へ~~~」」
「ごめんにゃさい!!」

 また心を読まれて、平謝りするわしであったとさ。


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 デート? エンマの場合……


「シラタマさん。どうですか? 気持ちいいですか?」
「踏むにゃ~! ゴロゴロ~」
「そうですか。気持ちいいのですね」
「そんにゃこと言ってないにゃ~。ゴロゴロ~」
「シラタマさんも気持ちいい。私も足が温まって気持ちいい。ウィンウィンですね」
「わしの話を聞くにゃ~!」

 エンマは最近、毎日わしを踏みにやって来る。と言っても、酔うとセクハラ秘書に変わるみたいだ。ドSで踏んでいたと思っていたが、冷え症で足が冷たいので、わしで暖を取っていると言っている。……信じてないけどな!

「こっちの中に足を入れたらいいにゃ」
「それも捨てがたいですね。コタツと言いましたか。でも、シラタマさんには勝てないかと」
「いいから入るにゃ~」
「そうおっしゃるなら……」

 エンマがコタツに足を入れると、わしはお酒を注ぎながら近況を聞く。

「最近、毎日来てるけど仕事は忙しくないにゃ?」
「女王陛下の誕生祭での、露店の出店申請が増えて忙しいです」
「忙しいにゃら、家で休んだほうがいいんじゃないかにゃ?」
「家ですか……」
「どうしたにゃ?」
「独り身の女性に、あんなに冷たい家に帰れと言うのですか?」
「いや、自分の家にゃ……」
「ひどいです!」
「エンマは美人にゃんだから、早く男を捕まえるにゃ~」
「捕まえました!!」
「にゃ!? わしじゃないにゃ~。ゴロゴロ~」


 と、エンマは毎日、わしにセクハラをしにやって来る。

「むにゃむにゃ。シラタマちゃん、挟んであげる~」
「ハッ! 猫ちゃんにいいアイディアが。脱いで! ……むにゃむにゃ」
「猫のモフモフ~……むにゃむにゃ」

 もちろんアダルトフォーの、スティナ、フレヤ、ガウリカもセクハラをしにやって来る。


  *   *   *   *   *   *   *   *   *


 デート イサベレの場合……


 またここか……

 イサベレには転移魔法を秘密にしてもらい、離れから森の我が家に転移した。

「これがシラタマのお母さんのお墓?」
「そうにゃ。一緒に掃除しようにゃ」
「ん」

 イサベレのデートプランは、わしのおっかさんの墓参りだった。最近忙しく、まとまった休みが取れないと言うので、転移魔法を見せる事となってしまった。
 イサベレはわしの掃除を見よう見真似だが、一所懸命真似して掃除をしていた。何か謝っているように見えたから、そっちはお婆さんだと言い出しづらかった。両方のお墓を掃除してくれたので、まぁいっか。

 そして二人で手を合わせ、長い沈黙が続く。

「もうそんにゃもんでいいにゃ」
「まだ謝り足りない」
「謝るにゃ? おっかさんはそんにゃこと喜ばないにゃ」
「じゃあ、どうすればいい?」
「そうだにゃ~……強い敵と戦った話なんか、聞かせてあげればどうかにゃ? わしも聞きたいにゃ」
「私はそこまで多くはない」
「誰かに聞いた話でもいいにゃ」
「それなら……」

 これよりイサベレ達の戦いの歴史、イサベレのお母さん、先祖の話が続く。その話は神話のような話で、ユニコーン、ケルベロス、フェンリル、物語で聞いた事がある生き物の名前が次々と出て来る。
 その災害級の生き物と率先して戦うのが、白い一族。人々と共に、多くの犠牲を出しながら災害を乗り越えて来たと言う。

 ふ~ん。キョリスも女王蟻も、イサベレたち白い一族と戦ったのか。人間の中にも白い一族と肉薄する者がたまにいたみたいじゃな。
 しかし、オンニはわかるが、イサベレの口からバーカリアンの名前が出て来るとは思わなんだ。あのバカ、強いのか?

「お腹すいた」
「あ~。はいはい」

 武勇伝を饒舌じょうぜつに語っていたイサベレだが、腹の虫が鳴くと、ピタリと止まる。前回のデートで、イサベレが大食いなのは知っていたので、今回は露店で大量に食べ物を買い込んで来たから問題無い。
 外で食べるのは寒いので、わしの部屋に案内し、テーブルの上に次元倉庫から出した食べ物を並べる。だが、一瞬で消えて行く食べ物を見て、わしも慌てて食べる事となった。

「満足したにゃ?」
「ん」
「にゃんで服を脱ぐにゃ?」
「恋愛指南書には、初体験は彼氏の部屋が多いと書いていた」
「まだ読んでたにゃ~!?」
「私のバイブル」

 そんなモノがバイブルなわけがない! そんなモノわしに渡さなくてもいいのに……かなり読み込まれておるな。72号? そんなに出てるのにもビックリじゃ。
 折って目印にするドックイヤーも付いておるけど……。気になる彼を落とす方法? 押せ押せしか書いておらん。この国の女性は引くことを知らんと思っていたが、この本が元凶じゃなかろうか。

 ここのドックイヤーは、体位? もう男は落とされたのか。もう少し落とす方法を書いたほうがいいと思うんじゃが、体位のほうが絵付きでかなり多い……。ここまで多いと、もう春画じゃ。
 こんなモノを読んでいるから、イサベレの頭の中はヤル事しか無いんじゃな。謎は解けたが、こんなピンクな頭の女を説き伏せる事は出来るんじゃろうか?
 ん? イサベレはどこ行った? 服は脱ぎ捨てられ、点々とベッドに続いている……

「カモーン?」

 うん。指南書にあった方法じゃな。某新喜劇に同じのがあって、それしか考えられない。

「はやく~」

 美人がやると、たしかにグッと来るモノがあるな。大概たいがいの男なら落ちるじゃろうが、わしは猫。ここは無視して外に……

 ヒュンッ! ガシッ!!

「にゃ!?」
「逃がさない」
「にゃ~~~!!」

 わしは、無駄に肉体強化魔法でスピードを上げたイサベレに、ベッドに連れ込まれた。

「にゃにするにゃ~!」
「セックス」
「言わなくていいにゃ! まだ早いにゃ!!」
「二回目のデートなのに?」
「二回目のデートだからにゃ!」
「でも、指南書には……」
「指南書は一回忘れるにゃ。にゃ? 読んで見たけど、当てはまらない男もいるにゃ」
「そんな事、どこにも書いて無い」
「書いてたら売れないにゃ。だから、忘れようにゃ?」
「ムウ……二回目は何をする?」

 はて? 二回目のデートは何するんじゃ? わしがしたデートでは……ダメじゃ。時代が悪すぎて、手を繋ぐ事すらけしからんと言われていた。
 せいぜい人目を避けて、土手で川を眺めてたぐらいじゃ。しかし、プレイボーイっぽくしとかないと、イサベレの攻撃をかわせない……

「そうだにゃ……スキンシップて撫で合おうにゃ?」
「ん。こう?」
「ゴロゴロ~」
「じゃあ、私はここ」

 わしの頭を撫でたイサベレは、わしの手を取って指定の位置に持って行く。

「胸はまだ早いにゃ! 頭を撫でてあげるにゃ~」
「ん。悪くない。次はここを撫でる」

 イサベレの頭を撫でると嬉しそうな顔をしたと思うが、表情が薄いのでいまいちよくわからない。なので表情を読み取ろうと頑張っていたら、イサベレは、わしのわしをわさわさする。

「にゃ!? そこもまだ早いにゃ~~~!」
「む。硬い……これが、ぼっ……ムグ」
「言うにゃ~~~!!」

 わしはイサベレの口を塞いだが、興味の持ったイサベレに、とらわれた息子さんを救出するのに時間が取られてしまった。

 この日も家に帰ったら、匂いでメイバイにバレて、リータ達に怒られたのは言うまでもない。
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