アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第十一章 王様編其の二 外遊にゃ~

305 仕事の終わりにゃ~

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 旅館で一泊した翌日……

 大人数で雑魚寝していた部屋に漂う殺気で目を覚ました。どうやら、またマリーのふくよかな物に挟まれて眠っていたらしい。
 起きるのは怖いので、寝たふり。誰かに首根っこを掴まれても寝たふり。身ぐるみを剥がれても寝たふり。複数の手で撫でられ、ゴロゴロ言いまくって、皆の気配が柔らかになったところで逃げ出した。

 あ、危なかった……誰の手かわからないけど、どこを撫でておるんじゃ! もう少しで昇天するとこじゃったわ! うぅぅ。人様の旦那を犯そうとするなんて、酷い世界じゃ。
 ここは気持ちを落ち着かせる為に、一仕事するかのう。

 わしは昨日の岩場まで行くと土魔法で囲いを作り、風魔法で音を出し、魚を追い込む。そして、入口を塞いで囲いを小さくすると、【氷玉】を何個も落として一気に締めてしまう。

 それだけで、今日の漁も大漁だ。

 魚を次元倉庫に入れたら、スキップで旅館に戻る。すると、旅館から出て来る皆の姿を発見。朝ごはんは、もう終わったらしい……
 皆の姿を恥ずかしい気持ちで見送ると、エミリが残してくれていた料理を食べる。リータとメイバイぐらい、残ってくれていてもよかったのに……
 その後、旅館の掃除と後片付けを魔法で簡単にして、扉や窓を隙間なく閉じる。密閉したから誰も入る事は出来ない。例え、虫であろうとも!


 戸締まりが終われば砂浜に移動し、ビーチサイドのベッドで寝転びながら、昨日読み終えた条約書に、もう一度目を通す。そうしていたらさっちゃんが寄って来て、遊ぼう攻撃が始まり、仕方なく遊びに付き合う事になった。
 何人かのビキニアーマーがズレていたけど、わしは見ていない。ホンマホンマ。

 遊び疲れれば、海での最後の晩餐。魚尽くしのバーベキューだ。

「かんぱいにゃ~!」
「「「「「かんぱ~い!」」」」」

 わしの音頭で真っ昼間から酒盛りが始まるが、ずっと働いていたんだから、ちょっとぐらい良いはずだ。

「王様と会うのに、飲んでもいいのですか?」
「酔っぱらって仕事が出来なかったら、わかってるニャー?」

 良くないそうだ。リータとメイバイに睨まれたので、酒は一口も飲まずに、魚を頬張る。せめてもの気分で麦茶だ。
 メイバイは魚にようやく慣れたようなので猫が出て来なくなったが、その他の猫はうるさい。

 もっと焼けじゃと? もう十分食べたじゃろ? 引っ掻くな! くっつくな! これはわしの魚じゃ~~~!

 結局、どら白猫二匹と、どら黒猫と、どらリスと、どらルウにわしの魚を奪われ、新しく大量に焼く事となった。わしがブツブツ言いながら魚を焼いていると、焼けるそばから消えて行く。
 さすがにキレてぷりぷりしながら焼いていたら、エミリが助けに来てくれた。

「エミリは、ずっと料理してくれていたにゃろ? 疲れているにゃらわしがやるから、休んでいていいにゃ」
「いえ。楽しいのでやらせてください」
「う~ん……」
「あの……」

 わしが悩んでいると、エミリが先に声を出した。

「どうしたにゃ?」
「あの……わたしも猫の国に連れて行ってください!」
「にゃ~?」
「ねこさんの国には面白い食材が多くありそうなので、それを使いたいんです。ダメ……ですか?」

 エミリが、わしの国にか……。料理のレパートリーも増えるし、来てくれたら嬉しいんじゃけどな~。じゃが……

「エミリは、王都でお母さんの夢を叶えるんにゃろ? それに、料理長の元で習ったほうが、店を持つ時に役に立つと思うんにゃけど」
「そうですけど……お母さんの味を知っているねこさんのそばに居るほうが、再現できると思うのです」

 たしかに……カミラさんの料理は美味しいけど、全てがモドキじゃから、どれも一味足りなかった。これからやる事に、エミリの力を借りたほうが、より、元の味に近付けるかも?

「じゃあ、料理修行の旅って事にしようかにゃ? それで店を出した時には、わしの国の食材を使ってくれにゃ」
「はい!」

 このあと院長のババアと料理長への報告は、わしが立ち会うと約束する。それを聞いていたリータとメイバイが何やら言って来たが、意味がわからない。

 わしが結婚したから、ついて来ようとしてる? そんな話はしていなかったぞ? 邪悪な顔? 何を震えているんじゃ?

 わしはまた、エミリの本性に気付かずに、安請け合いしてバーベキューは終わった。


 リータ達には片付けと、持ち帰る物を一ヶ所に集めるように言って、その間に、魔法でコリス達を洗う。スティナ達まで呼んでいないのに入って来たので、体を見ないように洗った。見ていないけど、感触は……触ってもいない。ホンマホンマ。
 最後の片付けをしてくれたリータ達には、バススポンジになってサービスをしておいた。怒られる危険を回避するとは、わしは出来る猫だ。

 お風呂が済めば、荷物は次元倉庫に入れて、リータの作った巨大猫又石像の横に「猫の国」と書いた看板を設置。これでわしの国だとわかってくれるだろうけど……デカ過ぎない?

 誰もわしの疑問を聞いてくれない。ただ、撫でるだけだ。

 追及したいところだが、予定が詰まっている。なので、飛行機を取り出して、海を名残惜しむ皆を引っ捕らえ、積み込んで離陸する。


 大ブーイングの中、飛行機をぶっ飛ばしてビーダールに着けば、バスと二号車に乗り継ぎ、高級宿屋で皆を降ろす。
 わしはバハードゥに用があるので、ハリシャと共に二号車で城に乗り込む。会談の時間にはギリギリだった為、すぐさまバハードゥの前まで連れて行かれた。

 そして、友好国の調印……

「ハリシャをどこに連れて行ってやがった!」

 いや、その前に、尋問が執り行われた。どうやらハリシャは、一泊の予定でわしの元へ来たようだ。それを二泊もしたからバハードゥはおかんむりのようだが、しらんがな。ハリシャがわしを騙したんだからな!

 若干、険悪になったが、調印……

「ここ、書き換えてくれにゃいかにゃ?」
「はあ? それはそんなもんだろ」
「こんにゃの呑めないにゃ~! あと、こことここと、それにここにゃ! わしが猫だからって、ニャメるにゃよ!!」
「ぐぬぬぬぬ」
「シャーーー」

 険悪になったせいでお互い熱くなってしまい、喧嘩口調で話を詰める。ハリシャも、バハードゥのこんな姿を見た事がないのか、あわあわしながら見つめていた。
 どちらも最近、王になったばかりの若輩者。かしこまった言葉でやるより、主張をぶつけたほうが、わし達には似合っている。

 そのやり取りは長く続き、夕食を挟んで、ようやく調印に漕ぎ着けた。ひとまず戦いは終わったので、二人で酒を酌み交わす事となった。

「なかなかのやり手だな」
「お主もにゃ。でも、こんにゃやり取りは、王としてどうなんにゃろ?」
「たしかにな~……俺も反省しないといけないな」
「お互い様にゃ~。にゃはははは」
「ホントに。あはははは」

 わし達は、笑いながらグラスを合わせる。

「まぁ友達だから、出来た議論だにゃ」
「そうだな。ペトロニーヌ陛下だと、こんな喧嘩は怖くてできん」
「あ~。やめたほうがいいにゃ。すっごく怖かったにゃ~」
「あ……やったのか?」
「国の為だからにゃ」
「あははは。さすがはシラタマだ」

 わしが嫌そうな顔で答えると、バハードゥは笑いながら、もう一度グラスを合わて来る。

「それより、島の件はありがとにゃ」
「まぁ俺も、どうしていいかわからないからな。海産資源だったか? それをきっちり線引きしてあるし、用途も別荘なんだろ?」
「そうにゃ」
「それぐらいなら、小さな島のひとつは譲ってもいい。他国の大使館のようなものだ」

 しめしめ。まだ気付いておらんようじゃな。ここを基地にすれば、わしが外洋に出れるのに……。まぁそんな冒険は、まだ先じゃけどな。

「そうにゃ。バハードゥに面白い話を持って来たんにゃけど、乗らにゃい?」
「どんな話だ?」
「ここから海まで遠いにゃろ? だから……」

 わしは、これからやろうとしている計画を話す。するとバハードゥは、前のめりで熱心に聞き、信じられないといった表情をする。

「そ……そんな事が出来るのか?」
「まだ構想にゃ。実験して上手くいったにゃら、売りに来るにゃ。出来るだけ勉強するけど、おそらく高くなるからにゃ?」
「たしかにそんなモノ、高いだろうな。しかし、実現すれば……」
「そうにゃ。この国では、費用対効果、抜群にゃ~」
「ゴクッ……」

 バハードゥはわしのぶら下げた飴に、生唾を呑む。ここで、わしはトドメを刺す。

「条件を呑んでくれたら、割引した額を分割でいいにゃ」
「その条件とは?」
「まずは、東の国にはまだ秘密にゃ。それと……」

 わしは各種条件を伝えると、バハードゥは難しい顔をするが、全て呑んでくれると言ってくれた。

 こうして、笑顔で友好条約を締結したわしは宿に帰る。帰り道は真っ暗だったので、わしが走っても騒がれる事はなかった。
 宿に戻るとリータ達の部屋にコリスが居なかったので、どこに行ったのかと聞いたら、さっちゃんと寝るとのこと。どうやら、かなり仲良くなったらしい。
 なので、わしは安心して、二人に抱かれて眠りに落ちる。


 翌朝は、また仕事。ガウリカに付き添いを頼んで、スパイス等の買い付けだ。白猫効果とガウリカのテクニックで、かなりまけてもらった。輸出の税金分が浮いて、わしはホクホク顔だ。
 それから適当な露店で買い食いし、宿に戻ると、皆も観光していたらしく、楽しそうな顔で出迎えられた。ただ、コリスも観光していたらしく、わしがリータに渡していたお財布が空になったとのこと。
 さっちゃん2の姿なのに、いつもの量を食べたんだとか。それぐらいの出費は問題ない。労いの言葉を掛けてバスに乗り込み、ビーダールをあとにする。

 飛行機の中では皆、遊び疲れていたのか寝息が聞こえて来る。わしはその音をブツブツ言いながら聞いていたら、リータとメイバイから労いの撫で回しを受けた。
 ただ撫でたいだろうと思うが、いちおうは仕事の成果を褒めてくれたから、まぁいっか。

 そうして夕暮れ時に東の国王都に着くと、バスと二号車に乗り換え、騎士の案内で家路に就く。我が家に着くと、さっちゃんは送り届けないといけないので、皆を降ろして二号車のまま城へと向かう。
 さっちゃんを連れ回したんだから、女王に挨拶は必須なので報告に行くが、今日は勘弁してください!
 両手をわきゅわきゅする女王から逃げ出し、家に駆け込んだ。


 そして騒がしい夕食とお風呂を済ましたら、わしは居間で大の字に倒れた。

「疲れたにゃ~~~」
「お疲れ様です」
「お疲れニャー。これで、もろもろの仕事は終わったニャー?」
「そうだにゃ。エンマが手配している物を受け取ったらおしまいかにゃ?」
「それじゃあ、急いで戻らないとですね」
「え~~~! 休みにゃ! 明日は休みをくださいにゃ~」
「休みなら、帰ってからとればいいニャー」
「だって向こうじゃ、王様の威厳があるからダラダラ出来ないにゃ~」

 わしの発言に、リータとメイバイは顔を見合わせて思案する。

「……ここと、たいして変わらないですよ?」
「……だニャ。いつも通りニャー」

 どうやらわしは、威厳がなかったようだ。理由は当然……猫じゃもん!

 ひとまず、明後日に女王から呼び出しが掛かっている事を思い出し、説得の材料には十分だったのだが、それなら何か他の仕事を考えると言われ、説得を繰り返す。

「明日はゆっくりしたいにゃ~。リータとメイバイの膝枕で寝たいにゃ~。にゃあにゃあ?」

 わしは恥を忍んで、二人の太ももに擦り寄る。

「う~ん……仕方ないですね」
「癒してあげるニャー!」

 こうしてわしは、自分の身を削って休みを勝ち取るのであった。

「にゃ!? そこは触らにゃいで~」

 二人の魔の手と戦いながら……
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