322 / 755
第十二章 王様編其の三 猫の国の発展にゃ~
318 さっちゃんの誕生日パーティーにゃ~
しおりを挟む
猫の国を出発して二時間。空の旅は快適で、ヤーイーも楽しんでくれたようだ。東の国王都に着くとバスに乗り継ぎ、貴族専用通路から中に入る。
今日はヤーイーが居るので、人混みに驚くと思っての配慮。馬を操る騎士の先導のもと、ノロノロと進めば、ヤーイーは辺りを見渡して楽しそうにワンヂェンに質問をしている。
王都の我が家に着くと、バスを次元倉庫に入れて、騎士に感謝の言葉を送る。ひとまずエミリは孤児院に挨拶に行かせ、わし達は中へ入る。
そうして居間の引き戸を開くと、見知った人物がゴロゴロしてやがった。
「にゃにしてるにゃ……」
「わ! シラタマ君。帰って来たの!?」
見知った人物の正体は、東の国魔法部隊副隊長のノエミだった。
「久し振り~」
「いや、勝手に人の家でくつろいで、にゃにしてるにゃ~!」
「昨日、泊まったんだけど、今日は休みだからどうしよっかな~って考えてたら、居心地がよくてね~」
どうやらノエミは、たまにアダルトフォーと飲んでいるようだ。休みの日に、わしが居ないかと訪ねたら、スティナ達と意気投合したとのこと。そこからは、ちょくちょく遊びに来ているらしい。
「にゃったく……」
「遊びに行くって言ったでしょ。ワンヂェンもコリスも久し振り~! 元気だった?」
ノエミはわしが呆れているにも拘わらず、ワンヂェンに抱きつき、コリスにモフッとして、再会を喜ぶ。
ひとまずノエミの事は置いておいて、全員分のお茶を用意する。わしがお茶を入れ出したら、あたふたしたヤーイーに奪い取られた。なんでも、王様のやる事ではないらしい。
なのでお茶はヤーイーに任せ、わしはノエミとの話を再開する。
「今日、城でさっちゃんの誕生日パーティーが開かれているにゃろ? ノエミは護衛の仕事をしなくていいにゃ?」
「ちょっと前に、西の領主の娘さんがひどい怪我をしたらしくてね。それで私なら治せるかもと派遣されたのよ。二週間も王都を離れていたから、休みをくれたの」
「領主にゃら、それなりの回復魔法使いがいるんじゃにゃいの?」
「それが怪我が酷すぎて、治せなかったみたい。私が着いた時も、血を止めるのがやっとで、両足がぐちゃぐちゃだったわ」
「かわいそうにゃ~」
「あ、もう綺麗に治っているからね。今日もパーティーに参加しているはずよ」
「さすがノエミにゃ~」
「ううん。シラタマ君から教わっていなかったら、治せなかったわ」
あ~。そう言えば、ノエミに教えた事があったな。
「でも、行き帰りが疲れたわ~。片道五日なんて、シラタマ君がいれば、行って帰れたのに。ホント、シラタマ君って便利よね。一家に一匹欲しいぐらいよ」
こ、こいつ……わしを家電製品みたいに言いやがった!
「失礼にゃ~!」
「あはは。ごめんごめん」
「にゃったく……そうにゃ! ひとついい情報を教えてあげるにゃ」
「いい情報って?」
「おそらく、近々、遠い距離が近くなるにゃ」
「どういうこと? 言ってる意味がわかんないんだけど……」
「まぁ今日はここまでにゃ。明日、女王に会うまでの秘密にゃ~」
「なになに~? すっごく気になるんだけど~!」
わしはこれ以降、口を閉ざし、貝になる。ノエミのモフモフ攻撃には、ゴロゴロ喉が鳴ってしまったが……
ノエミと再会の挨拶をしているとお腹が鳴ったので、広場で食い歩き。今日は城でパーティーが開かれているので、騒ぎが起こると悪いから、コリスとワンヂェンには変身魔法を使わせた。
そうやって皆で買い食いしていると、広場の者から多くの質問がやって来る。どうやらコリスとワンヂェンに会いたいようだ。だが、ここで変身魔法を解かせると、女王に怒られる可能性がある。
わしは許可しない……が、勝手に変身魔法を解きやがった。二人とも餌をもらえると聞いたから、抑え切れなかったらしい。
ワンヂェンは少食だからいいけど、コリスは無限に入るぞ? お嬢ちゃん。おこづかいからありがとね。そこのお姉さん! あげすぎじゃ!!
皆から餌付けされたコリスは、大きな頬袋になったのでドクターストップ。ワンヂェンは真ん丸なお腹になってギブアップ。
これ以上広場にいても、餌が集まって来そうなので、ハンターギルドを喫茶店代わりにして休憩。巨象と適当な獲物を売って、手続きもしてもらった。
暇な時間帯だったので、ティーサたち受付嬢もテーブルにまざり、雑談とマスコットは撫で回しを受けてから帰路に就く。
家ではアダルトフォーと飲み明かし、酔い潰れて朝になった。目を覚ますと、わしは全裸でガウリカに抱かれていたが、まったく記憶にない。
どうせ撫で回されただけだろうし、リータ達が降りて来る前に、着流しに袖を通す。その時、ノエミがスティナの胸に挟まって寝ていた。
あとで聞いた話だが、ノエミは変身魔法である部分が小さかったから、スティナで研究中だとか。家に通っているのも、巨乳が目的なんだって。
皆が目覚めると、朝食をとってからお着替え。わし達は正装に着替え、迎えに来た騎士の案内で城に向かう。ノエミも城の宿舎に帰るならバスで送ってやろうとしたら、まだ休みだから、もう何泊かするんだとか。
城に行く道中でエミリを見掛けたので、声を掛けたら宮廷料理長に挨拶に行くとのこと。目的地も一緒なので、バスに乗せて発進。城に着くと、エミリと別れてズカズカとパーティー会場に乗り込む。
と言っても、今日はさっちゃんに近しい者だけのパーティーなので、王族専用の食堂だ。扉を開けたら、出席者らしき二人の女の子がちょこんと座っていた。
「「ねこさん!」」
「ローザ、フェリシーちゃん。久し振りにゃ~」
二人はわしを見付けると、走り寄って抱きつく。
「「モフモフ~」」
モフモフ? あ、直訳すると、久し振りじゃったな。相変わらず似た者どうしじゃけど、本当に姉妹じゃないのか?
二人はモフモフ言ってなかなか離れないので、他のモフモフにくっつけて、幸せになってもらった。コリスなら全身でモフモフを味わえるので、モフモフ好きならたまらないのであろう。
そうして、二人のモフモフ語を適当にあしらい、わし達は各自用意された席に着く。わしだけ、皆から遠くに座らされたのは、そう言う事だろう。
しばらくすると、ソフィ、ドロテ、アイノもドレス姿で入って来たので、茶化して……綺麗だと褒めてあげた。
かなり緊張しているように見えるので、女王や王のオッサンはわしが相手をするから、さっちゃんを祝う事に全力を出すようにと助言する。
ついでに緊張しているヤーイーも、仲間に入れてくれるように頼んでおいた。
そうこう皆と談笑していると、おめかしをしたさっちゃんと女王が入って来た。その姿に、皆は立ち上がって、口々に挨拶の言葉を述べる。ちなみにオッサンは仕事で遅れるらしい。
あらら。ワンヂェンまで場の雰囲気に呑まれておるな。ドーンと構えておるのは、わしとコリスだけじゃ。いや、コリスは何が起きているかわからないから、小首を傾げておるな。
わしが皆の姿を見ていると女王が、座っているわしの頭を鷲掴みにする。
「にゃ、にゃんですか?」
「シラタマは王なんだから、もう少し王らしい振る舞いは出来ないのかと思って……」
「猫にゃ~! この国では猫で通してるにゃ~!!」
「プッ……」
「サティ?」
「さっちゃん?」
「あはははははは」
「「にゃ~~~?」」
わしが女王に怒られていると、さっちゃんが笑い出す。女王まで「にゃ~?」と言っているのは謎だ。
「お母様。今日は仲間内の会ですので、堅苦しい事は無しですよ。シラタマちゃん、みんなも楽しんで行ってね」
笑顔のさっちゃんに、わしと女王は顔を見合わせ、吹き出して笑う。さっちゃんはわし達の笑い声の理由はわかっていないのか、頬を膨らませていた。
その笑いに釣られて皆も緊張が解け、誕生日パーティーが始まる。さっちゃんは主賓なのに、ソフィ達の元へ近付き、皆から祝いの言葉を掛けられて照れている。
まぁさっちゃんの手がワキュワキュしているから、早くコリスにモフッとしたくて、たまらないのだろう。
その姿を見ながら、わしと女王は言葉を交わす。
「まさか、さっちゃんが女王を止めに入るとはにゃ~」
「うふふ。珍しい物が見れたわ」
「それだけ仲間を大切にしているって事にゃろ」
「次期女王としては、落第点かもしれないけどね」
「そうでもないにゃろ? 仲間を大切に出来ない者は、民も大切に出来ないにゃ」
「でもね~」
「女王だって笑っているんだから、それが答えにゃろ?」
「そうね。サティが大切に思っている者は、ずっとサティを大切にしてくれるわね」
わしと女王が微笑ましくさっちゃんを眺めていると、さっちゃんが戻って来た。
「シラタマちゃん!」
「どうしたにゃ?」
「まだ祝いの言葉を聞いてないわよ!」
「にゃ……そうだったにゃ。さっちゃん。誕生日おめでとうにゃ~」
「うん! ありがとう。それでプレゼントは~?」
「もう着てるにゃ~」
さっちゃんは、だいぶ前にわしがプレゼントした振り袖を着ている。デザインは、藍色に花が散りばめられ、もちろんわしも隠れている。
「こ、これは……誕生日の前だったじゃない?」
「着てくれたのは嬉しいんにゃけどにゃ~」
「どう? 似合ってる?」
「うんにゃ! 今日は大人っぽいにゃ~」
金髪に何が似合うか考えたけど、重たい色にして正解じゃったな。子供っぽさが消えて、おしとやかな大人の女性に見える。外人さんは、成長が早いのう。
「えへへ。昨日も着たんだよ~。すっごく評判もよかったんだから!」
「それはよかったにゃ」
わしがさっちゃんを褒めると、さっちゃんはくるりと回り、笑顔を見せる。すると、女王が何か言って来た。
「そう言えば、私の本当の誕生日……何も貰ってないんだけど……」
「にゃ!? 誕生祭でアレだけあげたんだから、勘弁してくれにゃ~」
「この着物を見ちゃうとね~……私も欲しい!」
「お母様。今日はわたしの誕生日なんですから……なんかちょうだ~い!」
「ゴロゴロ~」
こうして女王とさっちゃんは、わしを撫でながらおねだりしてくるのであった。
だからわしにたかるな! この似た者親子め!!
今日はヤーイーが居るので、人混みに驚くと思っての配慮。馬を操る騎士の先導のもと、ノロノロと進めば、ヤーイーは辺りを見渡して楽しそうにワンヂェンに質問をしている。
王都の我が家に着くと、バスを次元倉庫に入れて、騎士に感謝の言葉を送る。ひとまずエミリは孤児院に挨拶に行かせ、わし達は中へ入る。
そうして居間の引き戸を開くと、見知った人物がゴロゴロしてやがった。
「にゃにしてるにゃ……」
「わ! シラタマ君。帰って来たの!?」
見知った人物の正体は、東の国魔法部隊副隊長のノエミだった。
「久し振り~」
「いや、勝手に人の家でくつろいで、にゃにしてるにゃ~!」
「昨日、泊まったんだけど、今日は休みだからどうしよっかな~って考えてたら、居心地がよくてね~」
どうやらノエミは、たまにアダルトフォーと飲んでいるようだ。休みの日に、わしが居ないかと訪ねたら、スティナ達と意気投合したとのこと。そこからは、ちょくちょく遊びに来ているらしい。
「にゃったく……」
「遊びに行くって言ったでしょ。ワンヂェンもコリスも久し振り~! 元気だった?」
ノエミはわしが呆れているにも拘わらず、ワンヂェンに抱きつき、コリスにモフッとして、再会を喜ぶ。
ひとまずノエミの事は置いておいて、全員分のお茶を用意する。わしがお茶を入れ出したら、あたふたしたヤーイーに奪い取られた。なんでも、王様のやる事ではないらしい。
なのでお茶はヤーイーに任せ、わしはノエミとの話を再開する。
「今日、城でさっちゃんの誕生日パーティーが開かれているにゃろ? ノエミは護衛の仕事をしなくていいにゃ?」
「ちょっと前に、西の領主の娘さんがひどい怪我をしたらしくてね。それで私なら治せるかもと派遣されたのよ。二週間も王都を離れていたから、休みをくれたの」
「領主にゃら、それなりの回復魔法使いがいるんじゃにゃいの?」
「それが怪我が酷すぎて、治せなかったみたい。私が着いた時も、血を止めるのがやっとで、両足がぐちゃぐちゃだったわ」
「かわいそうにゃ~」
「あ、もう綺麗に治っているからね。今日もパーティーに参加しているはずよ」
「さすがノエミにゃ~」
「ううん。シラタマ君から教わっていなかったら、治せなかったわ」
あ~。そう言えば、ノエミに教えた事があったな。
「でも、行き帰りが疲れたわ~。片道五日なんて、シラタマ君がいれば、行って帰れたのに。ホント、シラタマ君って便利よね。一家に一匹欲しいぐらいよ」
こ、こいつ……わしを家電製品みたいに言いやがった!
「失礼にゃ~!」
「あはは。ごめんごめん」
「にゃったく……そうにゃ! ひとついい情報を教えてあげるにゃ」
「いい情報って?」
「おそらく、近々、遠い距離が近くなるにゃ」
「どういうこと? 言ってる意味がわかんないんだけど……」
「まぁ今日はここまでにゃ。明日、女王に会うまでの秘密にゃ~」
「なになに~? すっごく気になるんだけど~!」
わしはこれ以降、口を閉ざし、貝になる。ノエミのモフモフ攻撃には、ゴロゴロ喉が鳴ってしまったが……
ノエミと再会の挨拶をしているとお腹が鳴ったので、広場で食い歩き。今日は城でパーティーが開かれているので、騒ぎが起こると悪いから、コリスとワンヂェンには変身魔法を使わせた。
そうやって皆で買い食いしていると、広場の者から多くの質問がやって来る。どうやらコリスとワンヂェンに会いたいようだ。だが、ここで変身魔法を解かせると、女王に怒られる可能性がある。
わしは許可しない……が、勝手に変身魔法を解きやがった。二人とも餌をもらえると聞いたから、抑え切れなかったらしい。
ワンヂェンは少食だからいいけど、コリスは無限に入るぞ? お嬢ちゃん。おこづかいからありがとね。そこのお姉さん! あげすぎじゃ!!
皆から餌付けされたコリスは、大きな頬袋になったのでドクターストップ。ワンヂェンは真ん丸なお腹になってギブアップ。
これ以上広場にいても、餌が集まって来そうなので、ハンターギルドを喫茶店代わりにして休憩。巨象と適当な獲物を売って、手続きもしてもらった。
暇な時間帯だったので、ティーサたち受付嬢もテーブルにまざり、雑談とマスコットは撫で回しを受けてから帰路に就く。
家ではアダルトフォーと飲み明かし、酔い潰れて朝になった。目を覚ますと、わしは全裸でガウリカに抱かれていたが、まったく記憶にない。
どうせ撫で回されただけだろうし、リータ達が降りて来る前に、着流しに袖を通す。その時、ノエミがスティナの胸に挟まって寝ていた。
あとで聞いた話だが、ノエミは変身魔法である部分が小さかったから、スティナで研究中だとか。家に通っているのも、巨乳が目的なんだって。
皆が目覚めると、朝食をとってからお着替え。わし達は正装に着替え、迎えに来た騎士の案内で城に向かう。ノエミも城の宿舎に帰るならバスで送ってやろうとしたら、まだ休みだから、もう何泊かするんだとか。
城に行く道中でエミリを見掛けたので、声を掛けたら宮廷料理長に挨拶に行くとのこと。目的地も一緒なので、バスに乗せて発進。城に着くと、エミリと別れてズカズカとパーティー会場に乗り込む。
と言っても、今日はさっちゃんに近しい者だけのパーティーなので、王族専用の食堂だ。扉を開けたら、出席者らしき二人の女の子がちょこんと座っていた。
「「ねこさん!」」
「ローザ、フェリシーちゃん。久し振りにゃ~」
二人はわしを見付けると、走り寄って抱きつく。
「「モフモフ~」」
モフモフ? あ、直訳すると、久し振りじゃったな。相変わらず似た者どうしじゃけど、本当に姉妹じゃないのか?
二人はモフモフ言ってなかなか離れないので、他のモフモフにくっつけて、幸せになってもらった。コリスなら全身でモフモフを味わえるので、モフモフ好きならたまらないのであろう。
そうして、二人のモフモフ語を適当にあしらい、わし達は各自用意された席に着く。わしだけ、皆から遠くに座らされたのは、そう言う事だろう。
しばらくすると、ソフィ、ドロテ、アイノもドレス姿で入って来たので、茶化して……綺麗だと褒めてあげた。
かなり緊張しているように見えるので、女王や王のオッサンはわしが相手をするから、さっちゃんを祝う事に全力を出すようにと助言する。
ついでに緊張しているヤーイーも、仲間に入れてくれるように頼んでおいた。
そうこう皆と談笑していると、おめかしをしたさっちゃんと女王が入って来た。その姿に、皆は立ち上がって、口々に挨拶の言葉を述べる。ちなみにオッサンは仕事で遅れるらしい。
あらら。ワンヂェンまで場の雰囲気に呑まれておるな。ドーンと構えておるのは、わしとコリスだけじゃ。いや、コリスは何が起きているかわからないから、小首を傾げておるな。
わしが皆の姿を見ていると女王が、座っているわしの頭を鷲掴みにする。
「にゃ、にゃんですか?」
「シラタマは王なんだから、もう少し王らしい振る舞いは出来ないのかと思って……」
「猫にゃ~! この国では猫で通してるにゃ~!!」
「プッ……」
「サティ?」
「さっちゃん?」
「あはははははは」
「「にゃ~~~?」」
わしが女王に怒られていると、さっちゃんが笑い出す。女王まで「にゃ~?」と言っているのは謎だ。
「お母様。今日は仲間内の会ですので、堅苦しい事は無しですよ。シラタマちゃん、みんなも楽しんで行ってね」
笑顔のさっちゃんに、わしと女王は顔を見合わせ、吹き出して笑う。さっちゃんはわし達の笑い声の理由はわかっていないのか、頬を膨らませていた。
その笑いに釣られて皆も緊張が解け、誕生日パーティーが始まる。さっちゃんは主賓なのに、ソフィ達の元へ近付き、皆から祝いの言葉を掛けられて照れている。
まぁさっちゃんの手がワキュワキュしているから、早くコリスにモフッとしたくて、たまらないのだろう。
その姿を見ながら、わしと女王は言葉を交わす。
「まさか、さっちゃんが女王を止めに入るとはにゃ~」
「うふふ。珍しい物が見れたわ」
「それだけ仲間を大切にしているって事にゃろ」
「次期女王としては、落第点かもしれないけどね」
「そうでもないにゃろ? 仲間を大切に出来ない者は、民も大切に出来ないにゃ」
「でもね~」
「女王だって笑っているんだから、それが答えにゃろ?」
「そうね。サティが大切に思っている者は、ずっとサティを大切にしてくれるわね」
わしと女王が微笑ましくさっちゃんを眺めていると、さっちゃんが戻って来た。
「シラタマちゃん!」
「どうしたにゃ?」
「まだ祝いの言葉を聞いてないわよ!」
「にゃ……そうだったにゃ。さっちゃん。誕生日おめでとうにゃ~」
「うん! ありがとう。それでプレゼントは~?」
「もう着てるにゃ~」
さっちゃんは、だいぶ前にわしがプレゼントした振り袖を着ている。デザインは、藍色に花が散りばめられ、もちろんわしも隠れている。
「こ、これは……誕生日の前だったじゃない?」
「着てくれたのは嬉しいんにゃけどにゃ~」
「どう? 似合ってる?」
「うんにゃ! 今日は大人っぽいにゃ~」
金髪に何が似合うか考えたけど、重たい色にして正解じゃったな。子供っぽさが消えて、おしとやかな大人の女性に見える。外人さんは、成長が早いのう。
「えへへ。昨日も着たんだよ~。すっごく評判もよかったんだから!」
「それはよかったにゃ」
わしがさっちゃんを褒めると、さっちゃんはくるりと回り、笑顔を見せる。すると、女王が何か言って来た。
「そう言えば、私の本当の誕生日……何も貰ってないんだけど……」
「にゃ!? 誕生祭でアレだけあげたんだから、勘弁してくれにゃ~」
「この着物を見ちゃうとね~……私も欲しい!」
「お母様。今日はわたしの誕生日なんですから……なんかちょうだ~い!」
「ゴロゴロ~」
こうして女王とさっちゃんは、わしを撫でながらおねだりしてくるのであった。
だからわしにたかるな! この似た者親子め!!
0
あなたにおすすめの小説
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
猫王様の千年股旅
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。
紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。
魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。
千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった……
☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット驚く漫遊記」の続編です。
できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。
初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも……
「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。
R指定は念の為です。
毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる