アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第十四章 新婚旅行編其の二 観光するにゃ~

377 軍資金を手に入れるにゃ~

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 ボーン、ボーン、ボーン……

「なんの音でしょう?」
「時の鐘かニャー?」

 鐘の音を聞いたリータとメイバイは話し合い、わしもキョロキョロと辺りを見回す。だが、音が建物に反響して発生源がわからないので、髭を生やしたタヌキの耳と尻尾を持つ老人に尋ねてみた。

「すいにゃせ~ん。さっきの音は、にゃんですか?」
「ああ。時計台の鐘の音じゃ」
「時計台ですにゃ?」
「あの建物じゃ」

 タヌキ耳老人が指を差し、わし達は一斉に建物を見る。

 本当に時計じゃ……。東の国でも砂時計を使っておったのに、何故、こんな技術があるんじゃ?

「ちょうど正午みたいじゃな」
「……これも平賀家が作ったのですかにゃ?」
「そうじゃ。時の賢者様の残した遺物から、かなり前に作られたんじゃ」

 時の賢者の遺物?? あ! 砂時計の時間を、どうやって計ったのか謎だったんじゃが、時計を持っておったのか!! ここの技術で作れるならば、クォーツじゃなく、機械時計かな? 見てみたい……

「そ、その遺物って、どこかで見られたりしないですかにゃ?」
「たしか博物館で展示してあったはずじゃ。時計台の下が博物館になっているから、見て行くといい」
「これはご丁寧に、ありがとうございましたにゃ~」

 礼を言ってタヌキ耳老人と別れた瞬間、リータ達がわしに詰め寄って来る。

「いま、時の賢者様の話題をしてましたよね?」
「やっぱりここに来てたニャー?」
「遺物ってなに?」
「モフモフ~。おなかすいた~」
「ちょ、ちょっと待つにゃ。落ち着くにゃ~」

 ひとまずコリスには、肉の串焼きを支給して、リータ、メイバイ、イサベレにはタヌキ耳老人との会話で得た、わしの予想を伝える。

「時の賢者はここに来て、時計って機械を残して行ったみたいにゃ。その大きい版が、あの建物にゃ。その建物に行けば、時計が見られるらしいにゃ」
「だ、大発見ですね!」
「見てみたいニャー!」
「ん。私も見たい」
「先立つ物が無いから、先にお金を手に入れようにゃ」


 興奮する皆を連れて歩き出し、しばらくキョロキョロしていたら質屋の看板を見付けたので、そのお店にズカズカと入った。

「邪魔するにゃ~」
「邪魔するなら帰りなはれ~」
「それじゃあ失礼しますにゃ~……て、にゃんでやねん!」

 わしが男か女かわからない着物を着たキツネに挨拶すると、懐かしい返事が来たので、ノリツッコミしてあげた。

「お~。ノリがええですな」
「お主もにゃ」
「コンコンコン」
「にゃ~はっはっはっ」

 わしとキツネが笑っていたらリータとメイバイに、両脇に肘を入れられて、笑いを止められてしまった。

 遊んでる場合じゃないのですね。わかっていますとも!

「ゴホン! お金が入りようでにゃ。質に入れるか、売るかしたいんにゃけど、どうしたらいいか教えて欲しいにゃ」
「ほう……物を見せてもらえますか? 物によっては、質草を流す問屋に口を聞いてあげますさかいにな」
「にゃ! それって手数料にゃんかは……」
「もちろん懐に入れさせてもらいますがな~」
「質屋……お主も悪よにゃ~」
「お侍さんには勝てまへんがな~」
「にゃ~はっ……ごふっ!」

 わしがお代官ごっこで遊ぼうとしたら、リータとメイバイに、さっきより強い肘鉄ひじてつで黙らされてしまった。
 凄い音が鳴ったものだからキツネ店主も青い顔をして、笑うのをやめたようだ。

 ひとまず咳払いして、ショルダーバッグに開いた次元倉庫から、ホワイトタイガーの毛皮を見せてみる。

「こ、これは!?」
「どうにゃ? いい品にゃろ~?」
「ぐっ……騙して安く買い叩く事もできまへん」
「にゃはは。そんにゃ事をしたら、一発でわかるもんにゃ~」
「しかしこんな物、質では取り扱えまへんわ。大店おおだなでも、払えるかどうか……国宝相当の品でっせ!」

 あら? やり過ぎたか。東の国でも高かったけど、買い取り不可能とは……

「じゃあ、違うのを出すにゃ。これにゃんかどうかにゃ?」

 わしが次に取り出したのは、黒いフェレットの毛皮。キツネ店主は、広げて毛皮を確かめる。

「これもいい品ですな~。お代官様なんか、大枚叩いて買ってくれそうです。どうりで売り手を探していたわけですわ」
「やっぱり、ここでは買い取れないかにゃ?」
「そうでんな~……大店に持って行かない事には、値段も決めかねます」
「もうちょっと安そうな物を出すにゃ。それで質に入れられそうな物を見繕ってくれるかにゃ?」
「そりゃもう、このような品を出すあんたはんの物なら、色を付けさせてもらいますがな~」

 そうしてわしは、猫の国や東の国で、村々を回った際、肉と交換に解体してもらった鹿の毛皮や、一般的な動物を出してやる。
 キツネ店主は目を爛々らんらんとしながら毛皮を広げ、値付けをして行き、半数を返されて、最終的には、わしの目の前に大判小判が積まれる事となった。

「こんなににゃ?」
「へえ。どれも綺麗ですし、見た事もない動物もありますさかいにな。おそらく大店に持って行けば、もう少し高く取り引きしてくれるはずですが……うちではこれが限界です。もうすっからかんでんがな~」
「すっからかんって……質屋がお金が無くていいにゃ?」
「全て流してもいいのですよね?」

 大店に行けば高く買い取ってもらえるのか……。まぁ時は金なり。すぐに金が手に入るのは有り難い。それに店の金を全て吐き出すなら、毛皮は返却なんてしないじゃろうし、この質屋の値付けなら信用してもいいじゃろう。

「かまわないにゃ」
「でしたら、今日は店じまい! うちの最高収益のうん十倍になりますから、かまやしまへん。どうぞお納めください」
「じゃあ、有り難くいただくにゃ~」

 よしよし。茶屋の値段から予想するに、東の国で、二、三ヶ月は暮らしていける金額じゃ。安い獣の毛皮でこれとは、質屋が頑張ってくれたのかな? それとも、価値がかなり違うのか?

 考え事をしながらショルダーバッグに開いた次元倉庫に小判を入れていると、キツネ店主が覗き込もうとするので、わしは見えないように体で隠す。

「それにしても、その鞄と出した量が合わへんのやけど、どうなっておりますん?」
「それは聞かないでくれにゃ。じゃなきゃ、取り引きは無しにゃ」
「うっ……気になりますが、やめときまひょ。まだまだ付き合いをしたいですからな」
「さすが商売人にゃ。それと、ちょっと気になったんにゃけど、店主は堺の出かにゃ?」
「ちゃいます。堺で商売を習って戻って来たんです。だから言葉がなまってしもうたんです」

 なるほどな。ノリが大阪っぽい理由はそれか。

「お侍さんこそ、不思議でんな。お侍さんが狩りなんてしてるなんて……」
「わしは遠い田舎から出て来たからにゃ。そこで山にこもって剣の修行を積み、獣を多く狩っていたんにゃ」
「ほう。武者修行でっか。では、京には仕官で?」
「いんにゃ。ただの観光にゃ。仕官するにゃら、お江戸にゃろ?」
「そりゃそうでんな。コンコンコン」
「にゃはは。それじゃあまた来るから、黒いイタチの毛皮が買い取れるか聞いておいてくれにゃ。それと……」

 わしは食事処と宿の集まる場所を聞いて、質屋をあとにする。そうして店から出たら、先頭にいたわしは、トラックに……いや、大きな何かに跳ねられた。

「にゃ~!!」

 ボヨンボヨンとバウンドして止まったわしは、ぶつかって来た人物をキッと睨む。その人物は、2メートルを超える体で、大銀杏おおいちょうまげを結った巨漢のタヌキ。
 わしが睨むと、慌ててそばに寄って来た。

「すんません。見えてませんでした。怪我はありませんか?」

 野太い声で手を出す巨漢タヌキは、わざとやったとは思えなかったので、わしは顔を緩め、手を取って立たせてもらう。

「わしこそ、急に飛び出して悪かったにゃ」
「いえ。よくやってしまうんで、僕が悪いです」

 よくやる? たしかにデカイから足下はおろそかに見えるけど……子供なら、死んでしまうぞ? いや、それよりも……

「ひょっとして、お相撲さんですかにゃ?」
「あ、はい」

 やはりか。大銀杏をした巨漢なら、相撲取りじゃと思ったんじゃ。

「それだけ大きければ、さぞかし強いんだろうにゃ。番付はにゃに?」
「関脇です。今場所でいいところに行けたら大関に上がれるんですが、どうなるか……」
「おお~。機会があったら応援させてもらいますにゃ。わしを転がしたんにゃから、絶対、勝ってくれにゃ~」
「ごっちゃんです!」

 そうして巨漢タヌキと別れると、リータ達が駆け寄って来た。

「おっきな人でしたね」
「コリスちゃんぐらいあったニャー」
「これならコリスちゃんも、いつもの姿で歩けるのでは?」
「そうしてあげたいんにゃけどにゃ~。もうちょっと我慢してくれにゃ。これからごはんを食べに行くからにゃ」
「ごはん! がまんする~」

 コリスは聞き分けよく歩いてくれるけど、わしの尻尾をモグモグするのはやめてくれる?

 しばらくモグモグされながら歩いていると、キツネ店主から聞いていた食事処に辿り着く。リータ達も、京でのちゃんとした食事は初めてなので、わくわくしているようだ。
 席に着くと、さっそく特上を人数分頼んで、キツネ耳の店員が戻って来るのを待つ。そして重箱が揃えば、手を合わせてから蓋を開ける。

「これはなんですか?」
「お肉ニャー?」
「ウナギって言う魚にゃ」
「魚ニャ!?」
「美味しいからにゃ~?」

 皆、一斉に食べ出すと、一部の者が猫になる。

「「にゃ~~~」」

 わしとメイバイだ。メイバイは初めて食べるウナギの美味しさに、久し振りに猫になって、わしは久し振りに食べたから「にゃ~にゃ~」泣いた。
 もちろん全員おかわりをしたけど、高いから一杯だけだ。足りないと言うイサベレとコリスには、店を出てから肉の串焼きを支給した。

「美味しかったです~」
「エミリちゃんの料理と似ていたニャー」
「ああ。エミリのお母さんも、ここの出身だからにゃ。今度はエミリも連れて来てあげなきゃにゃ~」
「エミリちゃんが居れば、同じ物が作れますね!」
「う~ん……ウナギが川魚にゃからどうかにゃ~?」
「シラタマ殿が探したら、すぐに見付かるニャー!」
「いや、難しいからにゃ?」
「楽しみですね~」
「楽しみニャー」
「聞いてるにゃ?」

 まったく話を聞いてくれないリータとメイバイは、時々鋭い視線を送って来る。

 わしに探せって事ですか……善処しますけど、見付からなくても怒らないでね? 絶対に探し出せって事ですか……

 二人の視線にビクビクしながら歩いていたら、次の目的地、時計台に辿り着いた。

「おっきいです~」
「アレが時計ニャー?」
「時の賢者は巨人だったの?」

 リータとメイバイに続き、イサベレも時計台を見上げ、おかしな事を質問して来たので訂正してあげる。

「にゃはは。大きい版って言ったにゃろ? あんにゃの持ち運べるわけないにゃ~。たぶん、遺物は手の中に収まる大きさにゃ」
「シラタマさんも知っているのですか!?」
「時の賢者も、おそらく同郷だからにゃ。さあ、受付はあそこみたいだし、行っくにゃ~」
「「「あ! 待ってにゃ~」」」

 わしがコリスの手を引いて歩き出すと、時計を見上げていたリータ達は、急いで追い掛けて来るのであった。
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