アイムキャット❕❕❕~異世界の猫王様、元の世界でやらかす記~

ma-no

文字の大きさ
8 / 43
猫歴15年

平行世界2日目その3にゃ~

しおりを挟む

 ファミレスにてコリスが食品サンプルを食べてしまうトラブルはあったので、水魔法で綺麗に洗って皆に見せ終わったら返したのに、女性店員は受け取ってくれない。

「もうバッチクないにゃ~」
「もっと魔法見せてくれたら全部あげます!」
「……君ってアルバイトじゃにゃいの?」

 どうやらわしが魔法を使ったからテンションが上がっているっぽい。しかし、店員はどう見ても学生っぽいので、店長を連れて来いと言ったら近くにいた。

「んじゃ、本当に貰うからにゃ~?」
「どうぞどうぞ」

 いちおう迷惑料程度に簡単な魔法を見せてあげたら、こんなにいらないと言っているのに食品サンプルを全て押し付けられたので、全て次元倉庫へ。
 胸元に開いた次元倉庫に押し込んでいたら店員たちはキャーキャー言っていたので、これを見るのが目的だったのかも?

「リアルどらえ……」
「みにゃまで言うにゃ!!」

 だって、わしはアニメの中の住人みたいなんじゃもん。でも、全ては言わせねぇよ。


 ファミレスで一通り堪能して封筒から支払いをしたら、もう一軒入るかとの話になったので、次は中華バイキングに挑戦。テレビクルーがゲーゲー言っていたところを見ると、大食いの人はいないみたいだ。

 とりあえず中華バイキングに入ったら、早くも撤退。コリスが容赦ないんじゃもん。
 目を離したわしたちに完全に非があるので、料金は倍払って店を出た。まさかバイキングを根刮ぎ頬袋に入れるとは……

 まぁこれでお腹は膨らんだので、買い物に戻る。先ほど子供たちを迎えに行ったオモチャ売り場で大量のゲーム等をツケ払いで買ったら、子供たちが買ったオモチャも次元倉庫へ。
 ちなみに子供たちが買ったオモチャとは、男の子はロボットやヒーロー系のアイテム。女の子はお人形と魔法少女系のアイテム。アニメも見ていないのに、日本の子供と同じような物を買っていた。

 ちなみにちなみに、大人とコリスたちはぬいぐるみばっかり。それも大型を買っていたからわしの代わりなのかもしれない……
 ついでに猫兄弟は、コマゴマしたオモチャを買っていた。噛み心地がいいそうだ……


 すぐに使う物だけを受け取ったら、家電ショップでの爆買いツアーは終了。まだ夜には時間があるので、次は百貨店にやって来た。

「にゃ? 服が欲しいんにゃ……店長さん。ツケでお願いにゃ~」

 ギャル服を着ていた一同は、どこへ行っても浮いていたので服装はチェンジしたい模様。しかし、百貨店と言えばハイブランドが多いので、手持ちでは心許ない。いや、すでに飲食店で散財してしまったのでまったく足りないだろう。
 なので店長に事情を説明して、ナマ物以外の商品は全て2個ずつ買うと言ってみたら……

「かしこまり!」

 ツケは簡単にオッケー。わしの豪快な買い方に惚れ込んでいるようだ。と、思う。外務省の七三メガネが何か耳打ちしたように見えたけど気のせいだろう。
 適当に入った服屋では、皆は値段を見ないで大量購入。わしの元へ、多少の知識があるベティが呆れて寄って来た。

「こんな高いブランド、マジでこんなに買っていいの?」
「まぁ服もデザインの勉強になるからにゃ。それにハイブランドにゃら生地も縫製もしっかりしてるにゃろ。帰ったらパクって売ろうにゃ~」
「ふ~ん。んじゃ、あたしもいっぱい買おっと。これなんてどう??」
「斬新すぎにゃい??」

 ベティの持った服は透明なビニール製でスタイリッシュすぎる。よく言うと未来人。悪く言うと裸の王様にしか見えないし、どう着るかもわからない。
 なので、さすがにベティも買うのをやめていた。どうせわしが買うから挑戦した服は我慢していたけど、その服もよくわからんわ~。

 前と後ろのデザイン違いの服を着たベティは気に入ったようで、ギャル服からチェンジ。各々気に入った服を着たみたいだけど、尻尾のある人はどうなってるんじゃろう?
 あ、穴開けてるのですか。ここの服はめっちゃ高いのですけど……似合ってるから、まぁいっか。エリザベスとルシウスも帽子似合ってるよ~。


 なんだかわしとコリス以外はスタイリッシュなモデルみたいになった集団を連れて闊歩かっぽしていたら、ペットショップを発見。エリザベスとルシウスの服も買ってあげる。

「これでいいわ」
「俺はこれ」
「にゃんだこりゃ~~~!!」

 値段を見たら、ペットの服なのにうん万超え。よく見たらブランド物だったので、違う服もかわいいと勧めて見たけど、2人はハイブランドしか選ばない。猫のクセに、目が肥えてやがる……

「モフモフ~。これもかって~?」
「これって……キャットフードにゃんだけど……」
「モフモフいっしょに食べれるね~」
「まだ開けちゃダメにゃ~」

 コリスがキャットフードを開けてしまったので、店員にはツケでお願いして、エリザベスとルシウスを呼んで試食させてみる。その結果、コリスは「星みっちゅ」。エリザベスとルシウスは「まあまあ」。
 点数の甘いコリスだけでは信用ならないが、口の肥えている兄弟がそんなことを言うのでわしもチャレンジ。

「にゃんかくやしいにゃ!」

 マジでちょっと美味しく感じたので、猫の口が恨めしい。わしまでポリポリ食べているものだから、皆もキャットフードに手を伸ばしていたので、ゲーゲー言っているところをバッチリカメラで撮られてしまった。

「いまのにゃし! いまのとこだけ消してほしいにゃ~? うちの銅貨あげるにゃ」

 これでもわしたちは平行世界の代表みたいなモノ。文化レベルは確かに低いけど、猫様の食べ物を食べるほど落ちぶれてはいない。
 なので、格安の袖の下で危機を脱するわしであったとさ。


 今日は百貨店のデパ地下を回ったところで爆買いツアーは終了。バスに乗り込みテレビクルーを適当にあしらいながらホテルに戻る。テレビクルーに感謝の言葉を残して部屋に戻ったら、子供たちはさっそくタブレットに向かって行った。

「先にごはんにしようにゃ~? ほら、美味しそうにゃ~」

 晩ごはんは、デパ地下で買って来た大量のお惣菜とお弁当。食後には大量のデザートとお酒も揃っている。匂いに釣られた子供たちがママロックで席に縛り付けられている間に、わしは各種セッティング。
 それらが終わったらテレビを見ながらバクバク食べて、デザートとお酒に突入したら頃合いかと思い、スイッチオンだ。

 チャーラー、チャララララーラー♪

 電気屋で見ていた映画を、大画面テレビでの上映だ。子供たちも見れるように、英語で上映してあげている。
 最初はタブレットに向かおうとした子供たちは、のっけから迫力のある映像が来たので、大口を開けて釘付け。リアルなCGに驚いているみたいだ。
 大人たちも似たような感じで、大口を開けて口からボタボタなんか落としていたから、軽くつついてテーブルは拭いてあげた。

 これで2時間は全員に動きがなくなるので、わしはチラチラ見つつ、パソコンで今日の情報収集。やはり、ニュースはわしたち一色だ。
 変なことを書かれていたら苦情を入れてやろうと思っていたが、好意的な意見が多い。しかし、日本政府の動きが遅いのが気になる。まだ国会も開いていないし、わしたちの対応の仕方も悩んでいるみたいだ。
 まぁ自由に動けているのだから、文句を言う必要もないだろう。何か用があるなら外務省の七三メガネが言って来るだろうから、それまで放置だ。


 しばし酒をチビチビ、パソコンをポチポチしていたらエンドロールが流れていたので、映画を消そうと立ち上がったら全員グスグス言っていた。

「にゃ? 泣くような話にゃっけ??」
「「「「「なんで泣かないのよ~~~」」」」」
「「「「「人でなしにゃ~~~」」」」」
「猫にゃ~~~」

 姫を助けて宇宙を救った話なんて、ありきたりすぎてわしは見飽きている。でも、みんな初体験だから、わしが血も涙もない猫だと思ったっぽい。

「ほらほら。子供たちからお風呂に入るにゃ~。アヒルもいるんにゃよ~?」
「「「「「猫でなしにゃ……」」」」」
「間違いなく猫にゃ~~~」

 言い直しする子供たちは、魔法とジャグジーでバッタバッタと倒すわしであったとさ。


 子供たちが眠り、全員お風呂に入ったら大人の時間。乾杯をして、お酒をチビチビやりながら、お惣菜の残りを摘まむ。

「このワイン凄いわね……どうやって作っているのかしら?」

 さっちゃんはワインを口にして質問するので、わしはワインのラベルを確認する。

「これは……シャトー・シュヴァル・ブランの20年物だにゃ。ワイナリーがブドウを選別して20年も寝かしていたから、柔らかい味わいになったんだろうにゃ」
「20年? そんな作り方があったなんて初耳だわ」
「東の国ではそんにゃに取り置く習慣がないもんにゃ~。ちょっとせっかちにゃ人種なのかにゃ?」
「どうだろう……昔は獣被害が多かったから、早く飲まないともったいなかったとか?」

 わしとさっちゃんがお酒談義に花を咲かせていると、玉藻も話に入る。

「面白そうな話をしておるな。日ノ本では、地方によっては酒を寝かしておるぞ。琉球なんて、百年物の泡盛もあるんじゃ」
「にゃに? 自慢しに来たにゃ~?」
「まぁな。ここの清酒もいいが、我が日ノ本の蔵元も負けておらんからのう」
「いいな~。やっぱり歴史が長いと、技術で引けを取らないのですね」
「うちの秘伝、少しは融通してやってもいいぞ。フフン♪」

 玉藻は酒が入って上機嫌で自慢しているので、わしはさっちゃんの味方になってあげる。

「玉藻が言ってるのは、やんごとない人が飲むお酒のことにゃ。ここにゃんて、庶民でも頑張ったらその程度のお酒が飲めるんだからにゃ」
「その程度じゃと~~~??」
「にゃはは。ちょっと言いすぎたにゃ。そろそろ冷えた頃だろうから、ちょっと待ってろにゃ」

 喧嘩腰の玉藻を押し退けてわしは冷蔵庫に向かうと、冷やしてあったグラスと缶を持って2人の元へ戻る。そしてトクトクと液体を注いで2人に渡した。

「ささ。一気にとは言わにゃいけど、ゴクゴクと飲んでやってくれにゃ」

 2人はわしの作法を渋々マネしてゴクゴクと喉に流し込む。

「プハーッ! なんじゃこの旨い飲み物は!?」
「プハーッ! 本当に美味しい! 冷たくて喉ごしが爽やか!!」
「にゃはは。酒飲み大好き、生ビールにゃ~……プハーッ!」

 わしたちが騒いでいると、リータたちも寄って来たけど冷えたグラスはわし用に用意していた物しかない。なので、普通のグラスを渡して入れ方だけ教えてビールを堪能する。

「そりゃ、手間暇かけた高い酒はうまいにゃ。でもにゃ。安い酒だって、ここでは試行錯誤して作られているんにゃ。わし的には、こういった酒で、仲間と気兼ねなく飲む酒が一番美味しいにゃ~」
「プッ……シラタマちゃんらしいわね」
「ふむ……少数だけでなく多数を満足させる、か……」
「玉藻は難しく考えすぎにゃ~。もう一回、かんぱいにゃ~!」
「「「「「かんぱいにゃ~!!」」」」」

 こうしてわしたちの平行世界2日目は、お酒を飲みながら夜が更けて行くのであった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

処理中です...