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06 反撃
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しおりを挟む爆弾を抱えた勇者が井戸に飛び込んだ瞬間、ミニンギーの町に大きな爆発音が響き渡る。それと同時に、衝撃と真っ直ぐ空に伸びる光が現れた。
そう。真っ直ぐに伸びる光……
勇者は井戸に飛び込み、着水したと同時に片手で水を掻き、一瞬で水底まで到着。そこで全身を使って爆弾に覆い被さり、爆発に耐えた。
しかし、威力を全ては押さえきれずに勇者から逃れた爆発は、井戸の壁を数メートル削り、空に力が逃げる事となる。
驚く事に、勇者はその爆発を喰らっても、水底から離れずに動かなかった。これも頑丈な勇者たる由縁。スキル【頑丈】に付随する【不動】が発動し、下から受けた攻撃でも地に体の一部を付けて踏ん張れば、1ミリも動く事はないのだ。
しかし、町を二つも吹き飛ばす爆発では、その【不動】が仇となる……
「ふぅ……なんとかなったな」
あ、ピンピンしてるんだ……。勇者は爆発の威力を全て耐えきって立ち上がる。
「でも、井戸が十倍くらい大きくなったか……これは、サシャに怒られるかな?」
勇者はルンルンと井戸だった穴から這い出す。どうやら、魔王に怒られたいみたいだ。気持ち悪い……
その後、町の破損に目をやりながら南に歩いていると、魔王と姫騎士が走って来た。
「お兄ちゃん! お兄ちゃ~~~ん!!」
取り乱した魔王は走り寄ると、勇者に抱きつく。
「サ、サシャ? ど、ど、ど、どうした?」
魔王に抱きつかれた事によって、ヘタレ勇者は凄く取り乱す事となった。
「うぅぅ……うわ~ん」
「姫騎士? サシャはどうしたんだ?」
勇者は話の通じない魔王への質問を、姫騎士に変える。
「それだけ心配していたと言う事だ」
「そうなのか?」
「あの爆発の威力で、原型を留めているほうがおかしいのだからな?」
姫騎士は勇者の頑丈さに呆れ気味。勇者はその言葉を聞いても、ピンと来ないみたいだ。
「それと……服を着ろ!」
当然、爆発に巻き込まれた勇者の旅人の服は耐えられず、全裸となっている。姫騎士は目のやり場に困っているのだから、いつも気付かず歩くのはやめたほうがいい。
「サシャ? 少し離れてくれないか?」
「うわ~ん。無事でよかったです~~~」
「姫騎士~~~」
「少しそのままでいてやれ。私は魔王殿の代わりに、事の収拾にあたる」
「……わかった」
姫騎士はそれだけ言うと、南に向けて駆けて行く。勇者はどうしていいのかわからずに、魔王に抱き締められて直立不動。緊張に気を失わないでいるのがやっとだ。
しばらくその態勢で待っていると、魔王は徐々に落ち着き、涙を拭う。
「本当に、無事でよかったです……」
「心配かけてすまなかったな」
「いえ……」
「そろそろ離してくれないか?」
「え? きゃっ」
魔王はようやく全裸の勇者に抱きついていた事に気付き、飛び退くが、そのせいで、勇者のアレを見てしまったようだ。
「す、すみません!」
「あ、ああ」
勇者は目を逸らす魔王を横目に、アイテムボックスから取り出した旅人の服に袖を通す。
着替えが終わると、魔王を気持ち悪いくらい舐めるように見てから話し掛ける。
「サシャは、怪我はなかったか?」
「はい。爆発が起こったら、姫騎士さんが覆い被さってくれたので、怪我はありませんでした」
「それじゃあ、姫騎士が……」
「あ、それも大丈夫です。偶然、瓦礫の間に入ったので、怪我は無いと言っていました」
「そっか……でも、町が少し壊れたな。もう少し、早く移動していたら……」
「そんなの直せばいいだけですよ! あの爆発で、これだけの被害だっただけでも幸運です。お兄ちゃん……ありがとうございます」
「あ……」
魔王はお礼を述べると、勇者に抱きつく。当然、勇者は抱き締める事は出来ずに直立不動。こんな時ぐらい、ヘタレじゃないほうが絵になるのに……
その後、魔王は戦の後始末に向かうと言うので勇者も同行し、魔族、人族関係なく、怪我の手当てにあたる。
応急処置が終わると、人族兵は一時幽閉。魔族も疲れているので夕食をとると、見張りを残し、空き家にて眠りに就く。
魔王や四天王も連戦にこたえたのか、会議を行っていた家で眠りに就いた。
勇者は眠りに落ちた皆に、毛布を掛けて会議室を後にする。そして家の前に座り、アイテムボックスから取り出した薪に火を付ける。
そうしていると、何度か魔族の者が報告にやって来る。勇者はその報告を聞いて指示が必要ならば、皆を起こさない為に独断で指示を出す。
幸い、簡単な内容だったので、勇者にも対応できたようだ。
こうしてミニンギーの戦いは終わり、夜が静かに更けていくのであった。
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