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13 死の山の調査
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しおりを挟む死の山に究極魔法を放ったサシャは、キノコ雲が消えるのを静かに待つ。
「暇だしぃ。なんか芸のひとつでもできないの?」
いや、暇を持て余して、ヨハンネスに無茶振りをしている。
「できないであります!」
「その言い方はなんだしぃ!」
そりゃ、目の前で山をも吹き飛ばす魔法を見たのなら、サシャを見る目が変わるってものだ。「勇者じゃなくて、魔王じゃね?」と……
「あ、やっと晴れて来たしぃ」
サシャがヨハンネスの態度に気持ち悪いと言って「ギャーギャー」騒いでいると、徐々に煙が晴れ、死の山の姿が見え始めた。それから、サシャは風魔法で煙を吹き飛ばし、完全に死の山が現れて驚く事となる。
「うっそ……へこんだだけだしぃ!」
死の山は、サシャの究極魔法を受けて、頂上が球状に陥没している。
「いや、かなり深くへこんでいるぞ?」
「あの辺一帯を更地にするつもりで、ブッ放したんだしぃ!」
「更地……」
ヨハンネスの心の声が聞こえて来そうだ。「そこまでやる必要あんの?」と……
「ま、どこかに入口が出て来たかもしれないし、もう一度降りるしぃ」
それから二人は球状に陥没した死の山頂上に降り立ち、入口を探しながら歩く。ヨハンネスは防御結界が解けており、足が焼けると泣いていた。かわいそうに……
そうしてしばらく歩くが、入口も穴もなく、諦めて帰ろうかとサシャが言い出したが、ヨハンネスが何かに気付く。
「う~ん……」
「どったの?」
「気のせいかもしれないが、修復してないか?」
「修復?? へこんだままだしぃ。気のせいじゃね?」
「……そうか」
「んじゃ、あとは森に生き残りが居るかどうか調べて帰るしぃ!」
少し納得はいかないヨハンネスであったが、サシャに意見する事もできずに空に浮かぶ。そして、低空飛行で空を飛び、たまに帝国兵の生き残りを発見しては、空から降りて安否を確認する。
生き残りは、だいたいが森の道に近い位置で帰る方向がわからずにいたので、帰り道を教えるだけ。ただし、サシャが魔法をぶっ放して無理矢理道を作ってあげたので、迷わず帰る事ができそうだ。
魔獣に襲われていた帝国兵も居たが、簡単に助けて応急手当。そのついでで手に入った魔獣の肉は、生き残りの帝国兵に届ける。
帝国兵は、サシャが現れた瞬間はおびえた顔を見せるが、帰り道と食料をもらうと手の平返し。感謝して、美少女勇者サシャ様と拝む始末。
サシャは気分が良くなって「よきにはからえ~」とか言っていたが、真面目なヨハンネスは、姫騎士軍への勧誘を行っていた。
一通りの支援を行うと、サシャ達は先行していた姫騎士軍最後尾に合流する。ちょうど夕食の準備をしていたので、テントまで持って来いと命令して休む事となった。
と言っても、休むのはサシャだけ。ヨハンネスは姫騎士に報告を行いに向かう。
姫騎士の滞在場所は、軍の先頭なので馬を駆け、到着すると陣に立つ兵士に声を掛けて、呼び出してもらう。
姫騎士が登場すると、今日の出来事を説明するが、姫騎士は頭を抱えてしまった。当然、予期せぬ魔獣の群れの襲撃を受けたのだから、愚痴のひとつでも言いたいのだろうが、相手はあの勇者サシャ。
グッと我慢して、敵地に乗り込んだ。
「へ~。そんな事があったんだ~。モグモグ……うまっ!」
敵地とは、サシャのテント。姫騎士は、やんわりと大変だったと伝えたのだが、サシャは魔界産野菜のミネストローネにご執心。適当に聞き流している。
「だ、だから、無闇に強力な攻撃魔法は控えて欲しいのだが……」
「あ、うん。わかったしぃ」
「……本当か?」
「信用ないしぃ!!」
そりゃそうだ。あんな事が起こったのだから、姫騎士も長兄と同じく、サシャを信用できないってものだ。
「とりま、ライナーの足取りは調べたんだから、もう別行動はしないし、他所ではやんないしぃ」
「たしかに……。しかし、あの兄様は死んでいたとは信じられない……」
「死体を見たわけじゃないから、まだ確定とは言い切れないしぃ」
「四万の兵が消えているのだから、確実と言ってもいいだろう」
「まあね~……」
サシャも死の山での惨状を見たので、反論はできない。生存の可能性は、限り無くゼロに近いと考えて戻って来たからだ。
そうしてサシャから直接報告を聞いた姫騎士は、お礼を言って立ち上がる。
「ちょい待ち!」
「ん? どうかしたか?」
「兄貴は……どうしてんだしぃ?」
「べ、別に……普通だぞ」
「何か隠してるしぃ!」
姫騎士はサシャの追求に、包み隠さず今日の出来事を説明するが、納得がいかないようだ。
「また戦ってないしぃ!!」
どうやら、勇者が魔獣の囮になって、戦っていない事に驚いているみたいだ。ひとまずこれで、サシャの追求は逃れられたので、お姫様抱っこの件は隠す事ができた姫騎士。心底ホッとして、元居た陣営に戻るのであった。
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