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一章 出会い
008 微妙な空気
弾丸補充スキルは、残弾の数が多すぎたので、補充数が倍になっても喜ぶに喜べない。この件は一旦保留にして、シモンは銃の試作機を構え直した。
「これ、また引いたらいいのか?」
「いんや。弾丸の残りを取り出してから、新たに入れなあきまへんわ」
「ふ~ん……どうやるんだ?」
プックから弾の交換を実演してもらい、撃鉄を引くところから教えてもらってまた撃ったら、自分でも一からやってみる。
「あっちいな。それに入れ替えに時間が掛かる。もっと早くにできないのか?」
「試作機やから、堪忍してぇや。次のは早くできるようにしまんがな」
「1個1個ってのもな~……連続で撃てるようにはできないのか?」
「あぁ~……なるほど。そういう形もアリでんな……ちょっと考えてみます」
「んじゃ、もうちょっと撃ってみる」
シモンは一発一発、粗を探すように考えながら引き金を引き、20発を超えた辺りで止めた。
「うるさい。これじゃあ、獲物に場所を知らせるような物だ。あと、熱い。この辺も改良してくれ」
「うるさいのは隠蔽系の付与アイテムが必要になるな……熱はなんでやろ? 爆発の熱か??」
プックはブツブツと原因を考えながら、改善点をノートに書き込む。
「それとなんだけど、これ、全然狙った所に当たらないんだけど」
「そうなん? 的には当たってるやん??」
「俺はずっとド真ん中狙ってるんだよ。なのにだいたい下に落ちる。右行ったり左行ったり全然定まってないぞ?」
「お兄さんの腕の問題やないんか? 初めてやし」
「いや、弾がブレて見えるから、何か問題があるはずだ。もっと近くで見たらわかりそうだけど……プックも撃ってみるか?」
「当たったら堪忍やで~?」
「無理だ。俺、紙装甲だぞ??」
実験はプックに交代。シモンは的の近くで見たいけど、プックに何発か撃たせたら的に一回も当たらなかったから、そんな自殺行為はできない。
というわけで、簡易的な発射台をプックに作らせて、そこに試作機を固定してシモンが照準を合わせる。
「あぁ~……やっぱりブレまくってるな。急にストンっと落ちる場合もある」
「よう見えまんな~」
「これでもレベルは高いし目はいいほうだからな」
何回かプックに発射させて、見えたままを伝えるシモン。ただ、何が起こっているかは、2人にもわからないみたいだ。
「う~ん……あ、そうだ」
「なんか気付いたんか?」
「いや、蒼き群雄ってパーティの魔導士がな、魔法で尖った氷とか土とかを放つ時に、回転を加えてたんだ。なんでかと聞いたら、このほうが真っ直ぐ飛んで威力が上がるって言ってたのを思い出した」
「ほっほ~う……それは興味深い話やな。回転か……」
「そんなのできるのか? 魔法じゃないんだぞ??」
「まぁ考えて見ますわ。他には気になった点はありまへん? どんなに些細なことでもいいから言ってくれや」
シモンの要望は、真っ直ぐ進む、照準、連射、音、熱をどうにかすること。あとは反動に付いても告げていたが、これは難しそうなので追々考えことになった。
その日の夕方、シモンたちの住む借家にイレーナが訪ねて来た。
「フ~ン……ここで2人で暮らしてんだ~。フ~ン……」
「な、なんだよ? 部屋は別だぞ」
元カノが現れて姑かってぐらい部屋を見て回るので、シモンもタジタジだ。
「なんか用があるのか?」
「ううん。うちにも飲みに来なくなったから、大丈夫か見に来ただけ。ちゃんと食べてはいるみたいね」
「まぁ、どっちも料理できないから、外で買って来てるけどな」
「そんなことだろうと思った。ちょっとキッチン借りるわね。野菜も食べないと、体壊しちゃうからね」
どうやらシモン、知らない内にイレーナから栄養管理されていた模様。イレーナはイレーナで、シモンが心配でごはんを作りに来てしまったのだ。
シモンはいちおう断ってはいたが、今日は保存食で済まそうとしていたのでラッキーとか思っている。邪魔しない程度に喋り掛けているところを見るに、イレーナが来たのは嬉しいのだろう。
「お先、お風呂いただいたで~」
そろそろ料理が完成しそうなところで、タンクトップ姿のプックが登場。濡れた髪や汗ばんだ胸元にイレーナは釘付けとなり、心なしか空気が淀んだ気がする。
「あぁ~……お楽しみの最中でしたか。ほな、あーしはドロンしますわ~」
「まてまてまて! この状況で置いてくな~~~!!」
この場にいるのは、全員シングル。なのに浮気現場を見られたような空気が漂っているので、シモンは必死にプックを追いかけるのであったとさ。
三角関係みたいになってしまった食事会は、シモンとプックがイレーナの作った料理をめちゃくちゃ褒めるから、空気はよくなった。
それから他愛のない会話をしていたが、どんな武器を作っているかは秘密にしているので、イレーナが何やら勘繰っている。そのせいでシモンが話を逸らしたりするから、確信に変わっているな。
そうこう微妙な空気の食事会は、料理が無くなったら終了。もう遅いからイレーナに泊まって行くかと聞きたかったが、ベッドは2人で定員オーバー。寝具もナシでは仕方がない。
シモンがイレーナを送って行くことになり、今度はそれを見ていたプックが「元サヤかな~?」と勘繰るのであった。
試作機発表から1週間後のお昼過ぎ、プックが自信満々にシモンを庭に呼び出した。
「フッフッフッ……これならどうや! プーシー1号のお目見えや!!」
プックがジャジャーンといぶし銀の物体を見せると、シモンは拍手……
「プーシー1号って、なに??」
「これの名前や名前!!」
いや、名前に引っ掛かって、今回もプックだけ興奮して完成品の披露が始まるのであった……
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