銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~

ma-no

文字の大きさ
10 / 150
一章 出会い

010 鬼に金棒


 迷宮素人のプックを連れて行くのなら、準備と予習は必要。ヘルメットと胸当てだけは超特急で作らせて、武器は鍛冶で使う金槌だ。
 プックは鍛冶以外に使うことは嫌がっていたけど、シモンが手に馴染んだ物のほうがいいと折れてくれなかったから、渋々使うことになったとのこと。あとは持ち物と迷宮の道順を確認して、早めに就寝する。

 翌朝、シモンはいつも通りの時間に起きたら、プックの体調確認。

「普通に寝たんだ……」
「なんや? アカンのか??」

 遠足を楽しみにする子供みたいになかなか眠れないと思っていたのに、プックは強心臓。寝不足を理由に断ろうとしたシモンの小細工は、まったく通じず。準備を整えて借家を出た。
 朝早く出たワケではないので、迷宮にできていた冒険者の列に並び、受付でシモンはプックの身元引き受け人のサインをする。

 迷宮は危険だから冒険者以外は入れないって規定はあるが、階層を移動する商人や要人が少なからずいるから、冒険者が護衛をすればそれ以外も入れる。
 今回は冒険者になりたい人を、低階層に案内するという理由で門番を納得させていた。

 そうして無事迷宮に入ると、初めて来たプックは目を輝かさせている。

「ここが迷宮でっか~……洞窟みたいな通路やな。なんで明るいんやろ~」
「壁の鉱石が光ってるらしいけど、そんなもんとしか俺も知らない。それより、絶対に俺の指示に従えよ?」
「わかってまんがな。まだ死にたくありまへんからな」

 軽く注意したシモンは、プックを後ろに付けて歩き出す。

 迷宮の入口付近は、他の冒険者が喋っていたり少なからずいるモンスターをタコ殴りしているから出番はナシ。罠もないので、早足で奥に向かう。
 冒険者がバラけて来ると、シモンはまた注意を促して先を急ぐ。プックはキョロキョロと周りを見ているが、シモンとの約束は守って離れずについて行く。

 そうしてしばらく歩いていたら、角を曲がる直前でシモンが止まったので、プックはぶつかりそうになった。

「モンスターでっか?」
「ああ。ゴブリンが1匹……アレの試射には持って来いだ」
「プーシー1号の出番でんな!」

 シモンは拳銃の名前を口にしたくないのに、プックが言ったから苦笑いだ。

「ここからでも見えるだろ? 絶対に動くなよ??」
「わかってまんがな。心配性でんな~」

 再度確認をしたらシモンは通路から出て、ゆっくりとゴブリンに近付く。そして軽く振り向き、プックが見てるのを確認したら引き金を引いた。

「頭に一発って……なんか面白味に欠けまんな」

 シモンの放った弾丸は、見事ゴブリンの頭に命中。それでパタッと倒れたから、プックは喜ぶよりも残念にしてる。

「いつもこんなもんだぞ? 弓で一発だ」
「やっぱりお兄さんって、すんごい有能なんちゃう?」
「1人ならな……パーティだとお荷物なんだ……」
「褒めてるんやから、暗い顔しなさんな~」

 褒められても、いまいち褒められた気がしないシモン。それでも気を取り直し、ゴブリンが迷宮に吸い込まれるなか腰を落としてから先に進む。
 続いて発見したモンスターは、ゴブリンが2体。いつものシモンなら走り抜けるらしいが、拳銃があるからチャレンジだ。

 通路から飛び出したら2度引き金を引いて、プシュップシュッと鳴る音。その次の瞬間にはパタパタとゴブリンは倒れた。

「はやっ……」
「ああ……思っていたより使えるな……いつもは矢を構える前に、けっこう近付かれるのに」

 拳銃は、シモンには持って来いの武器。いや、狙撃手に取っては鬼に金棒の武器なのだ。

「てか、こんなに簡単に頭を撃ち抜けるもんなん? 頭より胴体のほうが的が大きいやろ? 普通はそっち狙うもんやないん??」
「ああ~……俺の場合、ヘッドショットってスキルがあるんだ。頭に命中さえすれば、ほとんど一発で倒れるから頭を狙うようにしてんだ」
「それって、スキルの補正があるっちゅうことか?」
「どうだろう……器用さの値は他と比べてめちゃくちゃ高いし……」
「素でこれかい……」

 あまりにも射撃の腕が良すぎるので、プックも驚愕の表情。しかし、言いたいことはあるのか頭を振って気を取り直す。

「体とかを狙うことできへんか? 一発で倒したら威力がようわからんねん」
「あぁ~……1匹の時なら試してみるよ。その前に弾込めておかないと」

 プックのお願いに答えたシモンは、拳銃のシリンダーを出して、まだ撃っていない弾丸だけ押さえて3個の薬莢やっきょうをパラパラ落とす。
 そして新しい弾丸を入れていたら、プックは足元に落ちた薬莢を指差す。

「それ、置いてくんか?」
「まぁ……いらないし。そのうちスライムが食べて消えるから、証拠は残らないと思う」
「迷宮の説明はええねん。それにまた黒い粉を入れたら、使えるんちゃうか?」
「かもしれないけど、いっぱいあるからいまは考える必要なくね?」
「そ、そやな。取っておいたあーしがバカやった……」

 シモンの現在の残弾は約5万。まだ火薬も作れていないのに薬莢をチマチマ拾っていたプックは、なんてケチ臭いことしてんだとちょっと恥ずかしくなるのであったとさ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった

ma-no
エッセイ・ノンフィクション
 この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。  まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。  お腹ぽっこり大賞……もとい! 「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。  是非ともあなたの一票を、お願い致します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no
キャラ文芸
 某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。  日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。  どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!? 注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。  ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。 ❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓ よろしければ一票を入れてください! よろしくお願いします。

お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……

ma-no
キャラ文芸
 お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……  このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。  この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。 ☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。  この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。  1日おきに1話更新中です。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』