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一章 出会い
011 ダメージの検証
3体のゴブリンを倒して弾丸も込め直したシモンは再出発。プックを引き連れて奥に進む。
それから2度ほど戦闘はあったが、ゴブリンとウルフは複数いたのにプシュップシュッと引き金を引いたら倒れたので、プックはこれを戦闘と呼んでいいのかと悩んでいた。
そうして次に見付けたモンスターは、単体で体も大きいから、実験にはおあつらえ向きだ。
「オークか~……」
「なんか問題あるん?」
「腹に当たって死ぬのかなと思って」
「それも検証やろ。なんとかしてや」
「そうだよな~」
オークとは人間の体に豚の頭が乗っているモンスター。ただの人間の体ではなく、脂肪たっぷりの巨漢だから、こんなに小さな弾丸が通用するのかとシモンも尻込みしている。
しかしプックに尻を叩かれたのだから行くしかない。シモンは肩に掛けている弓や腰からぶら下げている矢筒を確認して、素早く武器を持ち替える練習を何度かしてから覚悟を決める。
「いくぞ!」
通路から飛び出したシモンは、まずはオークの腹に照準を合わせて弾丸を発射。オークは傷みに悲鳴のような声をあげたけど、思った通りたいしたダメージになっていない。
ダメージが低いならオークは反撃に出る。右手に握った棍棒を振り上げ、ドスドスとシモン目掛けて走り出した。
その直後、シモンは撃鉄を起こして引き金を引く動作を3回行った。
1発は右手の肘辺りに着弾。これでオークは棍棒を落とす。残り2発は両足の膝辺りに着弾。骨に達したのか、オークは次の足が出なくなって前のめりに倒れた。
「いま、何したんでっか?」
2秒も掛かっていない早業。プックは首を傾げて近付いて来たが、シモンはまだオークから照準を外していない。
「右手と両足を撃った。まだ生きてるから、絶対に俺より前に出るなよ?」
「ホンマや!?」
オークは呻き声を出しながら左手で棍棒を探しているので、すでに倒したと思い込んでいたプックは慌ててシモンの後ろに隠れる。
「まだ撃ち込むか?」
「できたらやけど……」
「わかった」
シモンは残りの1発でオークの左腕を撃ち抜き、拳銃を縦にしてシリンダーから薬莢を落とした。
そしてプックに作ってもらった回転式拳銃を5発同時に補充できる道具、とある世界ではスピードローダーと呼ばれている物を使ってシリンダーに押し込んだら、オークに向けて発射する。
前のめりに倒れたオークは、両手両足も怪我を負っているので逃げようがない。背中に3発の弾丸を食らったところで、HPが尽きて迷宮に吸い込まれるのであった。
「えっぐ……」
「お前がやれっつったんだろ」
遠距離から一方的に虐殺したところを見たプックはドン引き。シモンなら一発で始末できたんだから、罪は全てプックに受け持ってほしい。
「よくわからないけど、弾丸9個でオークのHPが削り切れたってところかな? 当てる場所によっては変わる可能性はあると思う」
「それだとプーシー1号じゃ、かなり厳しいでんな。必ず弾丸の補充が必要ってことやもんな」
「まぁ基本、ワンキルだから、そこまでデメリットじゃないか……」
「それ、かなりおかしいんやないか?」
「あ、そうそう。スキルレベル上がってたんだった」
一撃必殺なんて、Sランク冒険者でも難しいんんじゃないかと疑った目をするプック。その目をかわしたいのか、シモンはスキルレベルでごまかした。
「補充数が30個に増えたみたい……」
「今日使った数が16個やから、このままならノルマには届きそうでんな」
「ノルマとか急かさないで? それ以前にめちゃくちゃ溜まってんだよ」
スキルレベルが上がると弾丸の数が増えるから、5万発の弾丸が減る未来が見えない。なんならレベルを上げたら雪だるま式に増えるのではないかと怖くなるシモンであった。
「どうすっかな~……」
それからも検証を続けては軽く話し合い、安全地帯まで来たシモンは悩んでいた。
「なに悩んでまんの?」
「検証はもう充分だろ?」
「そうでんな……知りたい情報はある程度揃ったわ。あ、帰れってことかいな?」
「ああ。でも、すぐそこが地下2階の階段なんだ。んで、2階からちょっと行ったところが俺の狩り場なんだよな~」
「つまり戻るの面倒なんやな……」
その通り。かなり奥まで来てしまったので、入口まで送り届けて戻って来るのはさすがに面倒。地下1階までと言っていた人物の発言ではない。
しかしプックとしては、こんなチャンスはないと軽く許可して、地下2階へと向かうのであった。
地下2階に着いた2人は先に進み、二度戦闘はあったけど拳銃のおかげで、モンスターが3体同時に出たとしても楽々勝利。これがあるから、シモンも先に進むことを許可したと言ってた。プックは疑惑の目を向けてた。
目的地付近に入った時にはシモンはかなり慎重に指示を出す。声を小さくするのは当たり前だが、足場が悪い山道のような地形になっていたから、足の踏み場まで指示を出す徹底さ。
なんとかかんとか足を滑らせずに山頂に着いたら、シモンはプックと共に岩場に腹を付けて向こう側を覗く。
「迷宮にはこんな火山みたいな所もあるんやな」
「ああ。火山というより、蟻地獄ってのが正しいけどな」
「蟻地獄って、砂がサラサラなんちゃうの?」
「普通はな。ここは下に降りたが最後、アントって蟻みたいなモンスターが何百と湧く危険地帯だから、蟻地獄って呼ばれてるんだ」
「ちなみにやけど、そのアントっての、どれぐらいの大きさなん?」
「……中型犬ぐらい??」
「キモッ……え? こわっ……キモこわっ」
そんなサイズの蟻が押し寄せることを想像したプックは、感想が合体して怯えるのであった……
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