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一章 出会い
029 プーシー5号
勇者パーティの嫌な噂を聞いたシモンとプック。テーブル席で飲んでいたらイレーナも加わって、今後のことを話し合っていたけど答えは得られず。まだ国も対応を話し合っているのだから、その結果を待つしかない。
シモンは、イレーナは疎開すべきと説得していたけど、「あーしは?」とプックのことを完全に忘れていたので殴られていた。女の子だもん。
「あ、そうだ。したい話あったんだった」
「話を変えよったな……」
「ゴメンゴメン。これでいいだろ? 新しい武器を作ってくれよ」
「まったく悪いと思ってへんな……でも、乗ってやるわ!」
サブマシンガンの調整ばかりしていたプックも飽きが来ていたので、怒りは収めた。
「2号の進化版を作ってくれ。3号ぐらいの弾数でいいからな」
「ほう……それはええでんな。いまなら連続して弾を撃てる技術もあるから、余裕で作れますがな」
「やった。これで攻撃力も上がる」
「シモンはんはあの形を気に入ってたもんな~」
プーシー2号とは、ライフル銃。製作を短縮するために1発しか弾を込められない作りになっているから、そこを改善すればいいだけだ。
この話から明るい話題に持って行けたので、予定通りほどほどの飲酒量で引き上げたシモンとプックであった。
それから2週間。シモンとプックは各々ができることを頑張っていたけど、シモンは何かがおかしいと思ってプックがいる鍛冶場に入って行った。
「なあ? 遅くない??」
「シモンはん!?」
そう。いつもならこれだけ期間をあげたら作ってくれるのに、いまだに途中経過すら教えてくれないから、乗り込んでプックの耳元で呟いたのだ。
「急に驚かせんといてや~。あーしが金槌持ってたら、ド頭カチ割ってたところやで~」
「そんな驚き方ある? 手放すの待ってよかった……」
驚かせるのは命懸けだと聞いたシモンはブルッと震えてるよ。
「遅い理由な~……怒らへん?」
「理由による。俺の武器以外の物を作っていたら怒る」
「じゃあ大丈夫やな」
プックは安心して遅れている理由を告げる。
「ちょ~っといらんことしてもうてな。ほら? 連射のオンオフっての? それを付けたら面白いと思って、つい手を出してもうた」
「確かに面白いけど……連射は大丈夫なのか? 毎回弾詰まりされても困るぞ??」
「そこもプーシー4号を手直ししながらやってるから、上手く行かへんかな~っと……もうちょっとで出来そうやから、それを待ってくれや。な?」
「待つのはいいけど、失敗した場合は??」
「覆水盆に返らずや。またお金もらって、連射ナシのを作ったる」
プックが自信満々に答えるので、シモンはガックシだ。
「俺だけ損してる……」
「まぁまぁ。開発ってのはそういうもんや。今まで失敗が少なかったほうが奇跡やねんから大目に見てや~」
確かにプックは早いし失敗も少ないのだから、シモンも認めるしかない。それでもお金は飛んで行くのだから、トボトボと鍛冶場から出て行くシモンであった。
それから1週間後、ようやくプーシー5号のお目見えだ。
「うん……けっこう重くなったけど、いいな」
「そこのスイッチを上げ下げしたら、連射との切り替えもできるで」
「これか? ……おお~。ホントだ。面白い……けど、すぐ無くなった」
「20発ならそんなもんや」
プーシー5号の概要は、ライフル銃に連射機能を付けて弾数を20発にした物。とある世界ではアサルトライフルと呼ばれている物に近い作りだ。
「弾数を減らした理由はあるのか?」
「ぶっちゃけ、実験に近いってのが理由や。30発はやり過ぎてるかもしれんからな~……それにウィンチェスター弾は大きいから多いと重くなるやろ? 軽量化ってのも理由や」
「なるほどな~……遠距離を狙う時に、重いとイロイロ不都合は出るかも知れないな。うん。ひとまずこれで試してみるよ」
今日はちょうど休みの日だったので、実践での実験は次の日に持ち越し。少し揉めてから眠りに就く2人であった。
「さあ! 行くで~!!」
「俺の前を歩くな」
揉めた理由は、プックが迷宮について来るとか言ってたから。プックは久し振りに来たから意気揚々と迷宮に突撃しようとしていたけど、シモンに肩を掴まれて後ろに回る。
今日のプックの姿は、ヘルメットを被って胴体には胸当てと大きなリュック。肩からサブマシンガンをぶら下げて歩く。
例の如く人がいる内は早足で奥に進み、人気がなくなった頃にシモンがアサルトライフルを使ってモンスターの頭を撃ち抜く。
「いまのところ、単発なら問題ないか……」
「せやな。連射、はよ見せてや~」
「壊れそうで怖いんだよな~……」
アサルトライフルの使用は今日が初。いつも新作はビクビクして使っているので、シモンは慎重だ。そうしておあつらえ向きのオークが出たので、シモンは胴体を狙って連射で倒す。
「う~ん……3、4発で死んでたような……」
「つよっ……ウィンちゃんはホンマ強いでんな。これ、最強の武器ちゃうんか?」
「弾詰まりがなければな」
ウィンチェスター弾は、大きくて尖っているだけあって攻撃力は充分。シモンは8発も撃ったからもったいなく感じているが、生みの親のプックとしては、弾が当たる度にオークの後退る様を目の当たりにしたから、威力に感動を覚える。
それからも極力連射で倒していたら、今回も不具合が生じた。
「ヤベッ……」
「流れるように持ち替えたな……」
弾詰まりだ。シモンは何度も経験があるから、すぐに半自動式拳銃に持ち替えてモンスターの頭を撃ち抜いたから危なげは一切ない。それを見ていたプックは褒めるよりも引いてるけど。
「この辺、安全地帯あるん?」
「もうちょっと行ったところだ。ただ、近道するとオークの群れがいる。ま、3号で余裕で抜けられるか」
「それなら1匹もらえまへん?」
「プックが倒すのか??」
「修理したプーシー4号があるからな。実験や」
「無理だけは……俺に当てるなよ?」
「心配を途中で変えないでくれまへん??」
シモンはサブマシンガンがあるから大丈夫と思って許可しようとしたけど、プックの腕は心配。フレンドリーファイアのことを注意していたから、プックは納得いかないと後に続くのであった。
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