銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~

ma-no

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二章 逃亡生活

052 招かれざる客


 エルフ女性が担いでいたホーンホークを下ろして逃げて行くと、門番は呆気に取られていたが、急に鋭い目付きになった。

「あの者からなんか聞きました?」
「何も。ホーンホークをもう1羽狩ってくれと言われただけだ」
「それやったらええんやけど……」
「悪いけど、ホーンホークを運ぶの手伝ってくれ。アイツ、狩れと言うなら最後まで手伝って行けよな~」
「ハハハ。あの子は粗忽者そこつものですからな~」

 シモンが愚痴を漏らすと、門番もやっと普通の顔に戻った。それからホーンホークを冒険者ギルドに運び込み、今日もモモ肉だけは一本キープ。
 周りにいるエルフから感謝されていたけど、お金を貰っているからシモンはバツが悪そうだ。

 そうしてテントに帰ったシモンは、プックを自分のテントに呼んだ。

「ええ~……ナニしますん~?」
「いいから来い。大事な話だ」

 プックが胸を隠す仕草をしたが、シモンは真面目な顔で急かして招き入れる。

「こんな狭いところでなんでんのん」
「マズイことになった。驚くことを言うから、絶対に大声を出すな。いいな?」
「そんな前置きされたら驚くこともできまへんがな」

 ヒソヒソと注意事項を述べたら、シモンはエルフに怪しまれてつけられた話をした。

「ま、あーしたち怪しいもんな。それのどこが驚くんや?」
「そのつけていた女が、近衛兵とか言っていてな。ここに女王がいるようなことも……」
「こんなところにでっか? そりゃ驚くわ~……マジで??」
「マジでマジで……プッ」

 プックはふざけたあとは凄い顔になっていたので、めっちゃ驚いているのだろう。シモンが軽く吹き出したことにも気付いてない。

「これって、ここの人知ってるんか?」
「たぶん知らない。門番も近衛兵を見たら怒っていたし。あまり目立つ行動するなと言われてるんじゃないかな?」
「それなのにシモンはんに知られたってことは?」
「殺され掛けた」
「アカンやん!?」
「声デカイって」

 女王滞在よりも、シモンが殺されそうになったことのほうが一大事に決まっている。なのでエルフ女性は口が軽いおっちょこちょいだったと説明して宥めるシモンであった。


 内緒話を終えたシモンとプックがテントの外に出ると、エルフ奥さんたちがニヤニヤしてヒソヒソ喋っているから、2人は少し怖い。国家権力に見張られている気分になっているからだ。
 でも、エルフ奥さんたちの会話は下世話な話。「あんなに狭いテントの中でナニをしていたんやろな~。奥さん」って井戸端会議してるだけだ。

 その浮付いた空気は2人にも届き、「これ、別のこと喋ってね?」と少し不安は払拭される。でも、そんなことを言われていると思うと恥ずかしいみたい。
 そんな微妙な空気の中、協力して料理を作っていたら、男のエルフがシモンたちを囲み、野次馬のエルフは遠くに追いやられた。

「あの~? なんですかね~??」

 若く見えるエルフの中でも、中年男性みたいに見えるエルフが前に出て来たので、シモンは座ったまま下手に出てみた。すると中年エルフは、若い女性と一緒にシモンの真ん前にドサッと座った。

「俺はこの地域の警備を任されているユドークス・ロッベモントや。んで、このユーチェが世話になったらしいから、ちょっと話を聞かせてほしいんや」
「てへへ」
「なんでバレるかな~?」

 ユドークスが連れて来た女性は、シモンをつけていたエルフ女性、ユーチェ。申し訳なさそうに手を合わせているけど笑みが漏れてるから、全然反省してない。

「最初に言っておくけど、俺たちはもう1日もしたらここから出て行く。もちろん言いふらしたりはしない。だから、お互い何もなかったことにして別れないか?」

 シモンは先手で出て行くことを示唆すると、ユドークスは困った顔で頭を掻いた。

「それがそういうワケにはいかんくてな~」
「何故だ? 俺たちが邪魔なんだろ?」
「まぁ聞いてくれ。ユーチェが急に面白い狩りの仕方を提示して来てな~……」

 どうやらユーチェは、シモンの作戦を自分の手柄として報告したそうだ。しかし、ユドークスはユーチェの性格を知っているから、こんなに賢いことを言うはずがないと問い詰めたんだって。

「俺はユーチェに客人を見張るだけでいいと言ったのに接触しやがって……そのせいで変なことを耳に入れてしまったな。変に気を遣わせて、申し訳ない」
「ん? 口止めに来たんじゃなかったのか?」
「そのうちバレる。というか、もう村の中では噂されまくっているから、手遅れや」
「俺、そいつに殺され掛けたんだけど……」
「ちゃいます! 弓で脅しただけどすがな!?」
「脅すなや!」

 ユーチェ、報告漏れをシモンが言ったがために、ユドークスに拳骨を落とされる。完全に勇み足だったらしい。

「それでや……もう少しだけ残って、狩りを手伝ってくれへんか? ハッキリ言うておくけど、これは客人にメリットはない。冒険者ギルドで稼げる額の十分の一も払えん。ホンマ、客人を頼るしかないんや。なんとか助けてくれ! たのんます!!」

 ユドークスに続いて周りのエルフ男も同時に頭を下げるので、シモンは「これも脅しの一種だよな?」とプックに目で合図を送ったらコクコク頷いていた。

「はぁ~……何日間だ?」
「ええんか!? おおきに!!」

 シモンが折れると、ユドークスが手を取って来たので振り払った。オッサンのゴツゴツした手はノーサンキューだもん。

「そうやな~……1日様子を見て、1週間を目処にってのでどないや?」
「けっこう長いな……だったら、報酬に鍛冶場を貸してもらえないか? 俺たちがここに来た目的は、鉄を手に入れて道具を作るためだったんだ」
「そんなことでこんな辺鄙な所まで来たんか……」
「どうだ? 無理か??」
「それぐらいならお安い御用や。交渉成立やな」

 ユドークスは少し疑いの目をしたけど、シモンが急かすように質問したら、握手で交渉成立。この日は明日の打ち合わせを少しだけして去って行くユドークスたちであった。
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