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二章 逃亡生活
053 大規模狩り
しおりを挟む大規模な狩りが決まった翌朝……
「プックも来るんだ……」
「毎日エルフに囲まれて質問しまくられるあーしの気持ち、考えたことあるか?」
テントから出発しようとしたら、プックも狩りに行きたいみたいなので一緒に出発。シモンもゾッとしたらしい。
まず向かった先は牧場。ここでユドークスたちと待ち合わせしていたのだ。
「プリンちゃ~ん。今日も会いに来たで~?」
「毎日来てたんだ……」
「ここしか逃げ場のないあーしの気持ち、わからんか?」
「1人にしてゴメン」
今度はプックの顔にゾッとして、シモンはユドークスの下へ逃げてった。
「おはようさん」
「ああ。おはよう。馬は足りそうか?」
「全然や。ま、すでに大量の人を送っているから、何羽落としても大丈夫やで」
「それは責任重大だな~」
「もしも少なくても文句は言わんから心配するな。俺は……」
「もう噂されてるんだな……」
村ではお腹いっぱいホーンホークが食べられると聞いて大賑わい。すでに料理の準備が始まっているらしいから、シモン以外の参加者も「ボウズじゃ殺される」と震えてるらしい。
そのことは考えたら怖いだけなので、参加者は全員大声を出して恐怖を掻き消したら出発だ。
プックはプリンという馬に乗り、シモンはタダで貸してもらった馬。狩り場までは距離があるからの馬移動だ。
いつもシモンが歩いて行っていたのは、馬を留めたとしたら魔獣に襲われたり盗まれたりするから。今日は見張りがいるからできるのだ。
岩山の麓まで来たら、ここから登山。エルフたちは身軽なのでヒョイヒョイ進んで行くが、プックはヒーヒー言っているので、ついて来たことをもう後悔してる。
シモンとユドークスが交代でプックを引っ張ったり背負ったりしたので、なんとか時間通り頂上に到着。プックは倒れるように横になった。
「さて……準備するか」
シモンはまだ動く。シモンの作戦は釣りに近いから、どうしても待ち時間はできてしまう。なので、エルフが狩って来た小動物をバラしてから、ようやく休憩だ。
「血の臭いで呼び寄せるんやな?」
「そうだ。どれだけ遠くに届くかわからないから、おまじないみたいなモノだけどな」
「それやったら、風魔法で辺りに散らしたろか?」
「それいいな。待ち時間は減る……いや、待った!」
ユドークスはもう風魔法を使ってしまったので、時すでに遅しだ。
「何か問題あるんか?」
「一気に大量に来ないかの心配だ。大丈夫かな?」
「ホーンホークは縄張りが広いから、たぶん……その時はその時や」
「これからは思い付きで言うの控える……」
こんな情報では、シモンは怖い。念の為プックにはサブマシンガンを用意しておくように言って、シモンは次の準備。
「ユーチェも借りるな」
「本当にユーチェが役に立つんか?」
「まぁ邪魔になったらお返しする。あ、そうだ。俺の攻撃手段、絶対に秘密にしてくれよな?」
「いちおう口の堅い者を連れて来たんやけど……ユーチェはな~」
「もう聞いていたのか……」
ユーチェはどこまで喋っているのかが怖いけど、呼び寄せてシモンの後ろに立たせた。
「昨日と同じだ。風を読んで発射の合図を出してくれ」
「フッフ~ン♪ それぐらいお安い御用どす~」
「ちなみにホーンホークの動きの予想とかできるか?」
「お高い御用どすな……」
「わかった。それは俺がやる……来たな」
シモンがどこまでも広がる土肌の山脈を見ていたら、黒い点が近付いて来たのが目に入った。
「いいか? 見えるか?」
「あ、はい。まだ小さいな~」
シモンはアサルトライフルのスコープでホーンホークを追い、望遠鏡で見ているユーチェに確認を取る。
そうしていたらホーンホークはドンドン大きくなり、シモンが確実に当てられる距離の倍は離れた位置まで近付いた。
「この辺でいっちょやってみるか」
「はい。いまは風が強いから、ちょっと待ってください」
「ホーンホーク、切り返すぞ」
「あ~。変な風来た」
2人でああだこうだ言いながら、もうちょっと近付いたところでカウントダウン。ユーチェの合図で引き金を引いた。
「やった!」
「頭を捉えたな」
弾丸は見事にホーンホークの頭を撃ち抜く。それと同時に、ホーンホークは墜落して行った。
「あの位置、人がいるのか?」
「大丈夫どす。兵士になるようなエルフは以心伝心ってスキルが使える人が多いどすから。これぐらいの距離なら、もう末端に行き届いてるどすよ」
「へ~。そんな便利なスキルがあるのか。エルフの固有スキルみたいなモノか?」
「上の階層の人は使えないんや~」
シモンとユーチェが喋っていたら、ユドークスたちが歓喜の声を上げた。どうやらホーンホークを確保したそうだ。
それからもシモンとユーチェの活躍で、次々とホーンホークを撃ち落としていたら、1時間で6羽の成果を挙げた。
「まさかこんなに当たるとはな。ユーチェの指示は、本当に的確だ」
「いやいや。お兄さんの腕があってどす。正確な狙いに動きの先読み。ウチはまったくかないまへん」
お互いの能力を遺憾なく発揮しているので、2人ともベタ褒め。キャッキャッと盛り上がってる。
「最強コンビはあーしのはずやのに……」
その2人を見ていたプックは、苦虫を噛み潰したような顔になっているのであった……
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