銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~

ma-no

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二章 逃亡生活

058 プーシー6号


 狩場で異変が起きているのにプックが新しい銃ができたからと押し付けて来たので、シモンは手に取ってよく見る。

「しっかし、よくこんな短期間で作れたな」
「そりゃ移動中とかやることなかったから、設計図ばかり書いておったからな。その中でも簡単な部類を作ってみてん」
「簡単? 前のと弾が違うのに。この引き金がふたつあるってのも違うだろ?」
「よう聞いてくれました。そいつには2発弾が入るねん」

 プックはシモンから銃を返してもらうと、説明しながら銃の中ほどをガチャッと折った。つまりこの銃の正体は、とある世界で言うところのショットガン。マニアックな言い方をすると、水平二連散弾銃だ。

「作り自体は簡単やねん。プーシー1号のように、撃鉄起こして弾の尻を叩くだけやからな。でも、一発じゃおもんないから、二発撃てるようにしてみてん」
「てことは、試作機?」
「そや。面白い連射の仕組みを考え中や」
「まぁ……いいんじゃないか? 明日試して……あっ! ダメだ」

 シモンはプックほど完成に喜んでいないが使わないと悪いと思ったけど、そもそもなことがある。

「何がダメなん?」
「さっき言っただろ? ホーンホークが大量に押し寄せてるんだ。明日も同じだと、使ってる余裕がない」
「へ~。なんでそんなことになってるんやろうな~」

 この件はプックは興味ナシ。心配すらしてないよ。

「いっそのこと、プックが使うか? てか、ついて来てくれ」
「えぇ~。忙しいのに~」
「じゃあ、4号だけでいいや。貸してくれ。ユーチェに使わせる」
「なんであんなヤツに、あーしの子を貸さなアカンねん!?」
「元々俺のだと思うんだけど……」

 サブマシンガンも資金を提供したのはシモン。しかしプックはユーチェに貸すぐらいなら、鍛冶仕事は諦めてついて来ると言ってくれるのであった。


 その後は、プックに銃の整備を任せてシモンはせっせと弾倉に弾込め。今日の狩りでは弾倉が足りなくなりそうだからって、少しの時間でもできたらずっと弾込めをしていたからシモンは飽き飽きだ。
 次の日は朝早くから狩りへ出発。昨日より多い人数で挑み、ホーンホークを運ぶ者は非戦闘員に頼んでいる模様。

 シモンはしばらくしたら、馬をユドークスの隣に寄せた。

「昨日、ホーンホークのこと報告したんだろ? 女王様は何か言ってなかったのか?」
「女王陛下は忙しいから、俺たちに一任すると言ってたわ。兵も多く出してくれたから大丈夫やろ」
「ふ~ん。忙しい理由は、ホーンホーク関連か?」
「別に止められてないが、言ってもいいんやろか……」

 シモンがなんとなく質問したら、ユドークスは少し悩んでから理由を語る。

「昨日、勇者が入口の迷宮街で暴れていたらしいんや。その対応でな」
「ついに来たか……」
「客人の言った通りや。シモンという冒険者とドワーフの女を探しているみたいやったと報告があったって。あとは、エルフの女はどこにいるかってな。それに一番怒っているみたいや」
「いまはどこにいるかわかるのか?」
「出口の迷宮街に向かったとこまでやな」
「そのまま出て行ってくれたらいいけど……そういうワケにはいかないだろうな~」

 ユドークスから仕入れた情報は、すぐにプックの下へ。2人で「こっちに来るな~」と祈りながら進んで行く。
 岩山はプックがヒーヒー言っているので、シモンが時々背負って移動。これがあるからプックは来たくなかったみたい。

 なんとか頂上に登ったら……

「もう来てるぞ! 多い!!」
「ああ! 総員、戦闘準備! 弓と魔法で援護するで!!」
「えぇ~? もうちょっと休ませてや~」

 すでに10個以上の黒い影がこちらに向かっていたので休んでいる暇はない。シモンはプックには休んでいるように言って、射撃台に飛び込んでアサルトライフを構える。
 ユーチェが背中側についたら、2人の準備は完了。アサルトライフルのスコープを右から左に動かして、射程距離に一番近いホーンホークを探す。

「左上……射程に入ったけど、わかるか?」
「はい。2の11に合わせて」
「おう。このまましばらく真っ直ぐ来る」
「3、2、1、撃て」

 戦闘開始は、シモン&ユーチェの協力射撃。見事にホーンホークの頭を射貫いた。

「次は……チッ。動き出しやがった……」
「どうするんどす?」

 仲間が狙撃されたのだから、ホーンホークも黙ってられない。ジグザグに飛んだりわざと旋回したりと、攻撃が当たる確立を減らすような動きで頂上に迫る。

「オヤジさん。一撃で殺すのは難しいかもしれない。落とすだけにしたら、下は大丈夫か?」
「ああ。兵士は出番をほしがっていたぐらいや。連絡するわ」
「わかった。それと、ここは何羽までなら同時に対応できそうだ?」
「余裕を持ってということなら……4羽だな。近付いたヤツは俺たちに回して、遠くのを落としたってくれ」
「んじゃ、それで行こう」

 軽く打ち合わせしたら、シモンはまた射撃。1羽に掛ける時間が長くなっているので、近付き過ぎたホーンホークはエルフたちに任せる。
 シモンはできるだけ頭を狙い、無理そうなら胴体に放つ。いまのところ胴体でも墜落しているから、ウィンチェスター弾は効いているみたいだ。

 シモンの狙撃を抜けたホーンホークは、エルフの弓と魔法で狙い撃ち。単体なら一斉射撃で落とし、2羽の場合は手分けして。
 たまにしつくこ突っ込んで来たホーンホークがいたが、頂上に乗ったところで剣で斬られて転がり落ちて行く。

 ここまでで20羽の脱落。たった30分の出来事。しかし、まだまだホーンホークは迫っているので、シモンは声を張り上げる。

「プック!」
「よっしゃ! あーしの出番やな!!」
「おう! これ、弾込めておいてくれ!!」
「あ……うん。ここはプーシー4号が火を吹くところやろ……」

 その声に反応したプックだったが、シモンから弾倉と弾の入った袋を投げ渡されたので、「なんだかな~」と疎外感を感じるのであったとさ。
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