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二章 逃亡生活
063 エルフ捜索
祝勝会は大詰め。巨大怪鳥フレズベルク肉が振る舞われると……
「「「「「うんめ~~~!!」」」」」
エルフは大はしゃぎ。コルネーリア女王のテーブルには一番いい部位と一番いい料理人が調理した物が並んでいるから、一線を画す味のようだ。
「うまっ……こんなうまい肉、初めて食った」
「シモンはんでもかいな? てっきり狩りが上手いから、蒼き群雄時代にこれぐらいの魔獣、食べてるもんやと思ってたわ」
「ないない。迷宮以外では、あんなに大きな生き物だって見たことがないぞ。デカイから大味かと思っていたけど、旨味が増すんだな~」
「へ~。迷宮にいたモンスターも食えたら、こんなの毎日食えますのにな。いっそのこと、シモンはんは狩人に鞍替えしたらどないでっか? 僻地に行けばS級がゴロゴロいるかもしれへんで」
「イヤだ。あんなのと戦うなんて、生きた心地がしない」
シモンとプックが食事をしながらお喋りし、コルネーリア女王たちともたわいない会話をしていたら、フレズベルクはあっという間に売り切れ。
その残念そうな声を聞きながらシモンたちは先に席を立ち、泥のように眠るのであった……
祝勝会の翌日は、エルフの戦士は少人数で岩場を見に行くと言うので、シモンも付き合わされて山登り。プックは戦いに参加して疲れているので一日寝て過ごすらしい。
シモンは頂上まで来ると、見張りは元気な人に任せて寝袋に入ってる。昨日の疲れは、一日寝たぐらいでは取れないからだ。
お昼に起こされてランチにしていたら、平和との報告。フレズベルクが倒されたからか、ホーンホークは1羽も見付からなかったらしい。
それならばと、昼からも寝袋に入ってダラダラ。ウトウトしていたら、ユーチェが寝袋に潜り込もうとしてシモンに怒られていた。1人用なんだからバレるに決まってる。
結局この日はホーンホークを1羽も見なかったが、少人数のエルフ兵が1週間ほど見張りを続けるそうだ。
シモンももう大丈夫だと思ったので、しばらく狩りはしないで休む。もしもの時は動けるようにはしておくみたいだ。
隠し砦に帰ったら、ディナーと温泉。今日も疲れたとベッドに横になったシモンは、話し忘れがあったと体を起こしてプックに声を掛ける。
「とりあえずお言葉に甘えて、ここに滞在させてもらおうと思うけど、それでいいか?」
「ええで。鍛冶場はあるし、ベッドと温泉もあるさかいにな」
「じゃあ、次は作る順番だな」
「わかってまんがな。プーシー4号の改良版、新作、プーシー5号の改良版やな」
「俺のが一番最後になってるぞ?」
「てへ」
シモンが作ってほしい順番は、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガンの新作だ。プックも本当はわかっているから確信犯だな。
その点を文句言っていたが、プックはサブマシンガンが譲れないらしく、ジャンケン。シモンが負けて、サブマシンガン、アサルトライフル、新作という順で作ることに決定した。
「あ、そうだ。弾名の箱ももっと欲しい。戦闘現場では大変だっただろ?」
「せやな~……20個ずつもあれば足りたかな?」
「ひとまずそれでよろしく。時間があったら足してくれ」
「わかったわ。それじゃあ、プーシー4号ができたら箱に取り掛かるわ」
「5号の次な?」
またしてもプックは自分ファースト。シモンは釘を刺してから眠りに就くので……
「あーしがかわいいからって襲ったらアカンで~? ……もう寝てる!?」
今日もお約束のやり取りはナシ。プックはそんなに自分に魅力がないのかと悩むのであったとさ。
ところ変わって六層にある出口の迷宮街。そこの冒険者ギルドで、スタッフに絡んでいる一組のパーティがいた。
「シモンが来てるはずだ! シモンを出せ!!」
勇者パーティだ。しかし勇者ユウキがどれだけ怒鳴ろうとも、スタッフはそんな冒険者は見たこともないのだから「知らない」と「助けてください」の二言しか聞き出せない。
「くっそ~……じゃあ、エルフの女はどこだ? ここまで来るまでに、どこにもいなかったぞ。どこに隠したんだ!!」
この情報もスタッフは知らないと言い張るので、勇者パーティは手が出る。実際には、矢面に立つスタッフは知らないほうがいいとギルマスが判断して知らされていないのだ。
そんな暴れ方をしているのだから、エルフ族のギルマスも黙ってられない。勇者パーティの前に立ち、いい加減にしないと魔石の買い取りは生活費までにすると言い放つ。
「金なんてどこからでも奪えるから、俺たちは構わねぇぞ。それで脅しになると思っているのか?」
「クッ……それでも勇者か……」
「ハッ。俺たちはいきなりこんな文化レベルの低い世界に拉致されて、邪神と戦えと無茶振りされてんだ。金と女ぐらい献上してくれてもバチは当たらないだろ? てか、女神様は何も言って来ないから、好きにしろってことだ。さっさと女の場所を吐け!!」
勇者パーティは何を言われても聞く耳持たず。ギルマスを殴る蹴るの暴行でエルフの女性の居場所を吐かせようとした。
「チッ……こいつは口が堅いな。もっと口が堅いヤツで遊ぶか?」
しかし、ギルマスは喋らないまま気絶してしまったので、ユウキは仲間のキヨトに助言を求めた。
「冒険者ギルドではやるだけ無駄だ。やるなら一般人だ」
「ククク。聖者様の言葉とは思えない、残虐非道な言葉だね~」
「聖者様言うな。元はカルト宗教の二世信者だ」
「そりゃ神だって裏切りたくなるワケだ」
このままでは埒が明かない。勇者パーティは外に出て、酒場にて酔っ払いを殴り倒して情報を引き出す。
「ほお~。この国の女王様は、そんなに美人なのか。ペロッ……そいつはどこにいるんだ?」
「た、たぶん、王都だと……」
「そりゃそうか。野郎共! 王都を襲撃するぞ!!」
「「「「おお!!」」」」
酔っ払いは助かりたいからって、余計な情報まで喋ってしまった。そのせいで、勇者パーティは是非とも女王に会いたいと、邪悪な顔で迷宮街を立つのであった……
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